チャマイエフ&ガイスマー&ハヴィヴ(Chermayeff & Geismar & Haviv)- 不朽のロゴを生み続ける老舗デザインファーム

Chermayeff & Geismar & Haviv_ロゴデザイナーアーカイブ

チャマイエフ&ガイスマー&ハヴィヴ(Chermayeff & Geismar & Haviv)はニューヨークにオフィスを構える古くて新しいデザイン事務所です。「グラフィックデザイン」という単語の存在しない時代に創業し、一貫して明瞭でクリアな企業ロゴを世界に提供し続けてきました。また、博物館などの展示や環境アートなどにも活動範囲が広がっています。問題解決することに主眼をおいてデザインするという姿勢は現在でも変わりません。

チャマイエフ&ガイスマー&ハヴィヴ

 

いつの時代も変わらないロゴデザインアプローチ

チャマイエフ&ガイスマー&ハヴィヴのサイト(https://www.cghnyc.com)にアクセスすると同事務所が手がけた100を超えるクライアントのうちのほんの一部のロゴが迎えてくれます。いずれも無駄をそぎ落としたシンプルかつ個性的なロゴです。各ロゴの制作年を推定するのは難しいのはないでしょうか。

チャマイエフ&ガイスマー&ハヴィヴのロゴ

テニスの全米オープン(US Open)は2018年、三大ネットワークのひとつNBCは1986年、ケーブルテレビ局のショウタイム(Showtime)は1997年、チェース銀行(Chase Bank)は1961年、ナショナルジオグラフィック(National Geographic)は2002年、ケーブルテレビのアニマルプラネット(Animal Planet)2018年、ステートファーム保険(State Farm)は2012年、スミソニアン協会(Smithsonian Institution)は1998年、高級百貨店バーニーズ・ニューヨーク(Barneys New York)は1981年、モービル(Mobil)は1964年、音楽・エンターテイメント企業Hitco Entertainmentは2018年、生物多様性の保全に取り組むNGOコンサベーション・インターナショナル(Conservation International)は2009年。

1960年代から2010年代までのさまざまな時期にこれらのロゴが作られたというのは驚くべきことです。さらに、スミソニアン協会のロゴが2018年にFisk Studioにより若干手直しされたことを除いて、上記のロゴは2019年7月現在すべて現役であることを知れば、時代に左右されないアイデンティティの強さがわかります。

10年前のインタビューで、長年にわたるキャリアの中でデザインへのアプローチは変わったかと質問された創設メンバーのガイスマーは次のように答えています。

「私たちは問題を解決できる最善のデザインを懸命に見つけ出します。想像力を使ってアーティスティックな発明をし、記憶に残る有意義なものを創造しているのです。その意味で私たちのアプローチはまったく変わっていません。」

1960年代のロゴも2008年のロゴもデザインへのアプローチ方法は本質的には同じだというのです。

 

デザイン事務所 チャマイエフ&ガイスマーの設立

チャマイエフ&ガイスマー
マンハッタンに立つ、アイヴァン・チャマイエフ(右)とトム・ガイスマー(左) – 1965

イェール大学で知り合ったアイヴァン・チャマイエフ(Ivan Chermayeff)とトム・ガイスマー(Tom Geismar)が1957年に事務所を創設しました。当初はロバート・ブラウンジョン(Robert Brownjohn)も加わっていたのでブラウンジョン・チャマイエフ&ガイスマー(Brownjohn, Chermayeff & Geismar)という名称でしたが、ほどなくブラウンジョンは離脱します。

1958年にベルギーで開催されたブリュッセル万国博覧会の米国パビリオンの展示を3人でおこなっています。カラフルでモダンなグラフィックやサインで空間を埋めて、活気あふれる「アメリカの街並み」を表現しました。

チャマイエフ&ガイスマーとなってから2人はレコードジャケットや社内報、パッケージなどあらゆるデザインをしていました。

 

抽象的ロゴのインパクト

1960年に状況が激変します。チェース・マンハッタン銀行(チェース銀行の前身)の新しいロゴの制作を依頼されました。

チェース・マンハッタン銀行のロゴ

当時、抽象的な企業ロゴはほとんど存在していませんでした。枠の中にさまざまな要素を詰め込んだマークが主流だったので、チャマイエフ&ガイスマーの先進的なロゴデザインはクライアント内部でも大きな抵抗を受けます。チェース銀行は親会社も含めて組織に紆余曲折がありましたが、1961年の発表以来現在までそのロゴマークは生き続けています。その姿はスマートフォンの画面上のアイコンとしてもまったく違和感がありません。

それ以来チャマイエフ&ガイスマーはロゴデザインの姿勢を変えることなくこれまでに100を超える世界中の企業にロゴを提供してきました。

 

サギ・ハヴィヴの加入 – 「&サギ・ハヴィヴ」へ

サギ・ハヴィヴ

3つめの名前を連ねることになったサギ・ハヴィヴ(Sagi Haviv)はクーパーユニオン大学(The Cooper Union)でグラフィックデザインを学びました。2003年の卒業後、熱意を買われてチャマイエフ & ガイスマーで働くようになります。2006年にパートナーへ昇格。2013年にはハヴィヴの名前が社名に追加されました。これは同事務所設立から56年経って初めてのことでした。

 

チャマイエフのアート作品

コラージュポスター

チェマイエフはコラージュ作品でも知られています。封筒、菓子の包み紙、チケットの切れ端、ときには道に落ちていた手袋の片方などを、日頃から集めては、それらを切り貼りして人物の顔を描いていました。カラフルで無邪気な印象を与えるコラージュ作品は個人的な楽しみのために作られたものです。同じように廃材で作られたオブジェもあります。

イラストレーターとしてもポスターや絵本を残しています。

ポスターデザイン

サーカス団「ビッグアップルサーカス」のジャグリングする像、アメリカ自然史博物館の恐竜などのポスターは無垢な楽しさを感じさせてくれます。また、グッゲンハイム美術館や、国境なき医師団のハイチでの活動を支援するポスターなどは、これ以上ないほどシンプルで見事です。

絵本のデザイン

作家のカート・ヴォネガット(Kurt Vonnegut)とのコラボレーションで「Sun Moon Star」という絵本も作成しました。

 

トム・ガイスマーのことば

ガイスマーはあるインタビューで、ロゴは単に紙の上のデザインではなく、最終的には組織のあらゆる特質を体現し、組織に関するさまざまな考え方や見方とロゴの「デザイン」を分けることはできなくなる、と述べた上で、次のように言いました。

「デザイナーが直面する難しい仕事は、ロゴが最終的にどのように理解されるか、どのようにクライアントの役に立つかをクライアントにわかってもらうことです。気に入ってもらえるかどうかではありません。」

ガイスマーから学んだことをハヴィヴは次のように述べています。

「(ガイスマーが)なによりも、機能するかどうかに重きをおいていることが、年月を経るにつれますます明確になりました。ロゴがどこにあろうと矛盾することなく一貫して機能することがどれほど重要かがはっきりしてきました。」

紙に手描きでスケッチすることをガイスマーは重視しています。もっとも早くアイデアが試せて、スケッチしていく間にアイデアやコンセプトが浮かんでくるからです。アイデアが十分に固まったあとのバリエーション検討にはコンピューターがうってつけだと考えています。

 

アイヴァン・チャマイエフについて

アイヴァン・チャマイエフ

1932年にロンドンに生まれ、1940年に米国へ移住しました。イェール大学、ハーバード大学、イリノイ工科大学デザイン大学院で学びます。デザイン大学院では当時もっとも尊敬していたポール・ランドからも教えを受けました。イェール大学卒業後しばらくの修行期間を経て、1957年にチャマイエフ&ガイスマーを創設。

父は著名なロシア系英国人建築家のサージ・アイヴァン・チャマイエフ(Serge Ivan Chermayeff)です。また、弟のピーター・チャマイエフ(Peter Chermayeff)は建築家で、大阪の水族館「海遊館」を設計しました。その外壁のタイル画はアイヴァンのデザインです。

 

トム・ガイスマーについて

トム・ガイスマー

米国ニュージャージー州生まれ。デザイン専門学校とブラウン大学で学んだのちにイェール大学でグラフィックデザインの修士号を得ます。2年の兵役を経てチャマイエフ とデザイン事務所を創業しました。

ロゴの制作に加えて、展示デザインにも熱心で、博物館、美術館、パビリオンなど多くのプロジェクトに関わっています。その中には、自由の女神博物館、エリス島移民博物館、トルーマン大統領図書館などがあります。また、1970年に開催された大阪万博のアメリカ館ではキュレーターとデザイナーを兼ねました。

 

神童サギ・ハヴィヴの「ロゴモーション」

ハヴィヴは『ニューヨーカー』誌から「ロゴの神童」と呼ばれています。

ハーバード大学出版局のロゴデザイン

ハーバード大学出版局(Harvard University Press)のロゴや、前述の全米オープン、コンサベーション・インターナショナル、Hitco Internationalなども彼の手によるものです。

また、チェマイエフ&ガイスマーの代表的なロゴを10分にまとめたアニメーション作品「ロゴモーション(logomotion)」はニューヨーク・アートディレクターズ・クラブなどから賞を受けました。ドキュメンタリー番組などのオープニング・シークエンスなども手がけています。

 

アイヴァン・チャマイエフ(Ivan Chermayeff)
1932年〜2017年
米国(英国生まれ)
グラフィックデザイナー、イラストレーター

トム・ガイスマー(Tom Geismar)
1931年〜
米国
グラフィックデザイナー

サギ・ハヴィヴ(Sagi Haviv)
1974年〜
イスラエル
グラフィックデザイナー


【参考資料】
・Chermayeff & Geismar & Haviv(https://www.cghnyc.com/)
・60 years of Chermayeff & Geismar & Haviv、Logo Design Love(https://www.logodesignlove.com/chermayeff-geismar-haviv-60-years)
・SVA Subway Series Hall of Fame: Ivan Chermayeff(https://www.youtube.com/watch?v=Y2Dq8cgUEAU)
Ivan Chermayeff obituary、Art and design、The Guardian(https://www.theguardian.com/artanddesign/2017/dec/28/ivan-chermayeff-obituary)
・An interview with Tom Geismar、Logo Design Love(https://www.logodesignlove.com/tom-geismar-interview)
・Chermayeff & Geismar & Haviv、Wikipedia
(https://en.wikipedia.org/wiki/Chermayeff_%26_Geismar_%26_Haviv)
・Tom Geismar、Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Tom_Geismar)
・Sagi Haviv、Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Sagi_Haviv)
brussels world’s fair 1958 – Robert Brownjohn(http://robertbrownjohn.com/featured-work/brussels-worlds-fair-1958-us-pavilion-streetscape/)
・「ロゴにトレンドなど無い」世界的企業の”顔”を60年つくり続けるデザイン事務所が知る〈ロゴの髄〉、HEAPS(http://heapsmag.com/godfather-of-corporate-logo-cgh-nyc-60-years-change-visual-landscape)

■余談
チャマイエフに関するウィキペディア日本語版の説明は、ミドルネームがアイヴァン(Ivan)である父親との混同が見られます。
・「Serge Ivan Chermayeff」「ロシア系イギリス人建築家」という記述は父親に関する情報なので誤りでは。
・ウィキペディア日本語版の海遊館の記述にも父と息子の混同が見らる。父親のサージ・アイヴァン・チャマイエフは関与していないはずでは。

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