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オペラの公演ポスターデザインについて

古典舞台作品を現代に蘇らせる公演ポスターデザイン作成例

オペラの公演ポスターデザインについて

その起源が紀元前にある演劇は、元来は宗教的な儀式や神への捧げ物といった祭祀的要素の強いものでした。特にギリシャ悲劇をはじめとする悲劇は時代を超え、文化や国の違いを超え、常に人間の愚かさや儚さを忘れまいとするかのように、数多の名作が生まれ、再演が繰り返されています。100年以上前に生まれた古典と呼ばれる作品が、現代でも「昔のこと」としてではなく、リアルに観客の心を動かしていることに、芸術に流れる普遍性を感じることができます。

今回は、世界中で再演され、新たな表情を見せ続ける古典舞台作品の公演ポスターを集めてみました。歴史の中に光る「今」を摘み取ってください。(※紹介するポスターデザインは当サイトの制作事例ではありません)

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大胆なビジュアルが語りかける明治時代を舞台にした悲恋オペラの公演ポスターデザイン

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オランダの首都アムステルダムを拠点とするオランダ国立オペラ・バレエ劇場で上演された「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」の公演ポスターです。1904年にプッチーニによって作曲された有名オペラで、現在でも世界中で上演されており、このオペラを翻案して製作されたミュージカルも世界的ヒットを記録しています。開いた口にクローズアップした構成というだけでも、明治時代の日本人女性が主人公と考えるとかなり大胆なデザインですが、開いた口の中に意味深な錠剤が見えるというのは、何重にも伏線が張られているように感じざるをえません。白塗りや口紅の質感がリアルで、愛に全てを捧げた女性の生き様がにじみ出ています。

近年では、東洋人を主人公とする作品が海外上演される際に、「白塗り」を使用することは差別的だとして批判を受けるケースも増えてきていますが、ビジュアルのインパクトとして、アイコニックな要素をモダンに取り入れ、古典オペラに現代の色味を見事に加えた好例といえるでしょう。

 

現代的な解釈を感じさせる古典作品の公演ポスターデザイン

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フランス・パリにある国立劇場のひとつ「The Théâtre National de Chaillot(シャイヨー国立舞踊劇場)」で上演された演劇の巨匠ウィリアム・シェイクスピア 作「ロミオとジュリエット」の公演ポスターです。400年以上に初演された作品が言語を超えて、現代でも愛されていることは、公演ポスターをはじめとした公演ビジュアルの多様性からも窺い知ることができます。中央で切り裂かれたようなキャンバスの上に殴り書きのようなスタイルで描かれた赤字のタイトルからは、悲恋というよりも、若い男女が引き裂かれた痛みや怒りのような色味を感じ、「ロミオとジュリエット」の現代にも通ずる一面が表現されています。

手や涙にもとれるシルエットの向こうの男女をモノトーン にすることで、スタイリッシュさはもちろん、どこにも属さない中立な関係性が映し出されているようで、時代を超え、言語を超え、今の観客に語りかける普遍性のビジュアル化にも成功しています。公演ポスターとしての機能はもちろん、このビジュアルそのものが物語といっても過言ではない秀逸なデザインです。

 

スタイリッシュかつ繊細に日本らしさを映し出すの日本を舞台にしたイタリアオペラの公演ポスター

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ニュージーランド最大のオペラ団New Zealand Operaが上演した「マダム・バタフライ(蝶々夫人)」の公演ポスターです。先程紹介した同作のポスターデザインと比較すると、ビジュアルから読み取れるメッセージ性の違いに驚かされます。まずこのデザインの最大の特徴は、作品名を前面に出さず白塗りに白髪のオリエンタルな女性と、日の丸を彷彿させる目元のメイクと真っ赤な口紅というビジュアルを極限まで際立たせる構成をとっている点です。

米兵と恋に落ち、日本人だから日本で出会い恋に落ちたから、涙を静かに流すしかなかった、というこの物語の鍵となる要素を白と赤という本来であればポジティブなコンビネーションが皮肉にもなるような表現方法で美しく描いています。目を閉じる女性の表情そのものは、喜怒哀楽のどれにも当てはまらない、アルカイックスマイルにも近く感じられ、主人公の蝶々夫人の何にも揺るがない絶対的な愛の深さにも通じているのではないでしょうか。何百年も前のスタイルの中にある、現代にも通じる要素を引き出す方法を巧妙に駆使した非常に繊細なデザインです。

 

ポーランドの若手デザイナーがみたイギリス古典悲劇がビビッドに表現された公演ポスターデザイン

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ポーランド南部にある都市クラクフにあるTheater Scena STUという劇場で上演されたシェイクスピアの代表作のひとつ「ハムレット」の公演ポスターです。この作品は2014年にポーランドで実施された新進デザイナーのグラフィックデザインコンテスト「New Talent Annual 2014」で優勝したもので、クラクフのファインアートアカデミーの学生によって製作されたものです。

まさに現代に生まれた若いアーティストが描く1600年頃に生まれた悲劇の世界観は斬新そのもの。人の貪欲さ・復讐・裏切り・誤解といった人間の闇が、「生」の象徴である心臓そしてハートを支配した様子が生々しく表現されています。その闇に飲み込まれるように「HAMLET」の文字がおかれているところに、運命に翻弄される孤独な王子・ハムレットの姿を重ね合わせてしまいます。古典劇のもつ「荘厳さ」や「重厚さ」ではなく、この作品のテーマを現代の設定でリアルに描いており、そのリアルさが1600年頃に書かれたデンマークの王子・ハムレットに400年という時を超えて呼吸させているような感覚が新鮮ですね。生々しく、心臓の鼓動が見えるようなダイナミックなポスタービジュアルです。

 

「デザインインスピレーション」のコーナーでは、世界中のデザイン制作事例をピックアップして紹介しています。※当ページは世界中のデザイン制作事例を紹介するコンテンツです。当サイトのデザイン実績ではありません。

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