学会のポスターデザインを行う際に意識したい10のシンプルなルール

学会のポスターデザインについて

今回は、人々の共感を得られる、そして影響を与えられるような、ポスターデザインの10のシンプルなルールをご紹介します。

学会や会議で使用する学術的なポスターの作り方

学会用ポスターのデザインは論文として文字にしたものをベースにしつつ、より明確にメッセージを伝えられるように視覚的に注意を引きつけるポスターを作ることが求められます。

大きく2つのパートに分けて解説をします。

前半は、デザイン性が高い目を引くポスターを作るための10のシンプルなルールについてです。後半は、ルールについて理解した後に、良いポスターデザインとあまり良くないポスターデザインの例を確認し、実際にどういうデザインが機能するのか、そして避けるべきデザインについてを考えていきます。

 

ポスターとは何か。

一般的に多くの学会用ポスター作成においては、学会や会議の場でその研究内容を伝えるものであり、議論内容と必要な情報を明確にする視覚的要素を備えるものです。そして詳細の説明をせずとも、その内容に詳しくない人にも理解できるようなものである必要があります。ポスターそのものだけで説明が成立している必要があり、ポスターの隣に立って、どういう意味かを細かく説明する必要があるものでは価値が高くありません。

留意すべき点として、論文をただポスターサイズにしたものは良いとは言えません。学術論文のフォーマットとポスターのフォーマットは全く異なります。情報をポスターのフォーマットに合わせて整理する必要があります。

 

学会ポスターデザインを作るときの10のルールについて

ルール1 : 伝える相手を知る

オーディエンスを理解する

ポスターセッションは、混み合った騒がしい会場を集中できない状態で参加者や訪問者がウロウロするという状況になりやすく、見る人の注目を集めることそのものが難しい状態です。一般的に、最初の3〜5秒でその人の目を引けるかどうかで決まるとされています。さらに、ポスターに含む文字情報は、その研究内容に詳しくないような、たまたまそこを通りがかったような訪問者にもわかりやすいものにするのが好ましいと言えます。ポスターに専門知識がある同僚や専門家向けの分析などの情報は必要ありません。

例えば「職場から離れた場所に住むと、車を運転するようになる」ということを、より複雑で多数の意味をもつ単語を使用すれば、次ような言い方になります。

「場所の目的を分ける、つまり雇用の中心地と個々の家族の住居地を分離することで、人々に車の運転を推奨することになる」

そして、最終形として、最も複雑な言い方として、教授や研究の同僚に対して話すような形式にすると

「単一目的使用の居住地と車両による移動が必要な距離には統計的に重大かつ積極的な関連性が存在する」のようになります。

このように比べると、3つの言い方で述べている内容の要点はすべて同じですが、異なる含意とニュアンスが表現されていることがわかります。

このようなことから、家族に説明するようなシンプルさで、教授を満足させるのに十分なデータと正確性をもつ文章を書くことが大切です。

ルール2 : より少ない情報でより多く伝える

量が多いことが必ずしも良いこととは限りません。文字のブロックが大半を占めているような状態だと、それだけで圧倒されてしまい、その内容にまで注意がいかないまま終わってしまいます。

例えば、「私の大きな考え」という導入と、その詳細を説明する内容の段落が1ブロックあり、そのあとに「つまり、私の大きな考えは新しく、ワクワクさせるような、そして独自のものだということです」とまとめているとします。もし、説明部分の段落が一見して読み切れるようなサイズであれば、読んでもらえる可能性は高いといえます。一方で、もし論文を単純にポスター版に拡大するようなことをすると、大量の文字情報は観る人を圧倒するだけで、そのポスターの前に立ち止まってわざわざその内容を読もうとする人は誰もいないでしょう。

つまり、ざっと文章を読んで理解できる分量にまで情報を圧縮することが重要ということです。

写真や視覚情報はこの場合とても役立ちます。この写真には、ロサンゼルスの高速道路の渋滞が写っているだけですが、どんな3000語クラスの論文よりも明確に都市部の混雑状況を伝えています。

ここでのアドバイスは「ポスターで使用する文言は250語以下※におさえる」(※英語論文の場合)ということです。あまり多くないように感じるかもしれませんが、250語以上をそのポスターを見ている人に読んでもらえるというのは、ほぼあり得ないことです。もしそこに来た人がその研究についてより深く知りたいというのであれば、その人に別途研究内容の論文のコピーを送ればいいということです。ポスター内に全てを含む必要は全くありません。

ルール3 : 格好良いタイトルをつける

ポスターにおいて、タイトルは最も重要です。そのポスターの内容を読んでもらうために、見るものを引き込む役割を果たします。聡明さがあり、ポスターの前を通りかかった人を引き寄せるようなもの。かつ正確で、研究結果として伝えようとしている議題とそれに対する結論をはっきりと示すようなタイトルを選ぶ必要があります。

例えばプロジェクトが【 高速道路と子供の喘息罹患率の関係性 】だったとしましょう。

“学術的”を意識したつまらないタイトルとして挙げられるのが、「不均衡な幼児の喘息高罹患率に関する調査:罹患率はロサンゼルス近郊の高速道路におけるPM2.5レベルの上昇率と一致」というものです。確かに一言にまとめられていて、必要な情報を盛り込んでいます。しかし読んでいる途中に寝てしまいそうな退屈さを感じます。

もっとワクワクするような格好良いタイトルの例として、「地獄へ向かう高速道路:ロサンゼルスの高速道路がどのように子供を殺しているのか?」はどうでしょうか。このような明確で議論を引き起こすようなタイトルをポスターにつけることで、混み合った会場であらゆるポスターを見て回っている人に注目してもらえる可能性が上がります。

ここでアドバイスとして伝えたいのは、「タイトルはかっこよく、賢く。でも、上っ面な感じにならないように。」少しは大げさな文言でも問題はありませんが、やりすぎは避けましょう。

ルール4 : ストーリー性は超重要

明確なストーリーは、研究内容の枠組みの構成に役立ちます。発展そして進化する関係性における社会現象や政策現象の複雑な設定を、研究内容の導入と結論に、明確に結びつけることが可能になります。

ヘンゼルとグレーテルを例として考えてみると、登場人物・それぞれの嗜好や願望が設定された、とても明確なストーリーが存在しています。ストーリーとは、見る者を最初から最後の結論まで、ひとつひとつ段階に導くものです。研究の段階を全部飛ばして結論だけ見せるというようなポスターにはしたくないはずです。

A→B→C→Dと進む物語だとします。ヘンゼルとグレーテルの例なら、物語を4つの段階に分解するのはとても簡単です。子供たちが森にキャンディを探しに行く→邪悪な魔女がキャンディをあげると言って子供達を家に誘き寄せる→子供が魔女に捕まり料理され食べられそうになる→そして最後に邪悪な魔女が負け、子供達は無傷でたくさんのキャンディを持って逃げる。

意識しておくポイントは、ストーリーの軸を明確に持ち、それぞれ異なる優先順位をもつ登場人物を明確に配置することです。このケースでは、子供たちは”キャンディを探していて問題を起こす者”で、魔女は”子供を食べようとする邪悪な悪魔”です。

研究に興味がわくような、そして明確な情報が盛り込まれたストーリーを作ることをまず心がけましょう。情報を見る者を結論まで導くことができるように構成します。データや政策と同等なレベルで、どのようにストーリーとして語るか?は非常に重要です。

ルール5 : 階層構造(メリハリ)を意識する

データ要素の中には、他のデータよりも重要なものが存在するということを意識しておくことが重要です。中心となるデータは、ポスターで最も目立つように見せる必要があります。一般的なルールとして、ヘッダーとして大きな文字で書かれるものは、より重要な情報であるべきです。また、ポスターに全ての研究情報を掲載することは不可能だということを意識しておきましょう。

ピラミッドのように情報を精査していきます。最も目立つ重要な情報は一番上において、明確に取り上げるようにします。

ポスターでは、大きければ大きいほど、その重要度は増すということです。

ポスターは見る者がどれだけの時間をそのポスターに割こうとしているのかにかかわらず、引き付けるようなものにすることが大切です。主要な調査結果に焦点をおき、何もかもを含めようとしないことが重要です。

ルール6 : 視覚的な流れを作る

ポスターは簡単にその内容を理解できるように構成する必要があります。一般的に人は左から右、そして上から下に読む習性があります。つまり、重要度が高い情報はポスターの上部に配置することが好ましいと言えます。

情報の視覚的な流れは作成する物語に密に関連しているため、ポスターをどのように構成するか?は、どのように研究内容を語るストーリーを作成するか?と一致していなければなりません。情報をまとめて配置する際に独創性をもつことを恐れる必要はありません。全ての情報を、必ず左から右、上から下という流れで配置しなければならないわけではありません。

きちんとした構成があると、そのポスターを見た時に、掲載された情報から何を学び取ればいいかがわかります。別途連絡を取りたいという人のために連絡先を入れておくのもいいでしょう。

ここでのアドバイスは「ポスターの視覚的情報を、データから紡ぎ出したストーリーと一致するように構成すること」です。

ルール7 : 文字は読みやすく

様々なポスター書体

書体はその文章の雰囲気やトーンを表現します。賢く書体を選ぶことが重要です。3種類以上の書体は使わない方が良いでしょう。雑多な種類の書体を使うと、気が散ってしまい、支離滅裂な印象のポスターになってしまいます。

特に意味もなく黒の背景に置いた白文字を使用すると、ただ読みづらいものになります。適切な文字サイズを選択するように注意することも重要です。文字が小さすぎると、人は見ようとも、読もうともしません。無視される可能性が高くなるということです。

3メートル離れてもポスターを認識できるようなデザインにすると良いでしょう。どのような場合でも読みやすくなるように、明るい色の背景に濃い色の文字を使うことがポイントです。

ルール8 : 色を効果的に使用してデザイン性を高める

色を効果的に使う

そこまで厳密になる必要はありませんが、ポスターデザインでは3つに絞って色を使うと良いでしょう。使いすぎると、色は気を散らせる要素にもなります。カラープロファイルは、印刷物のデザインをするのであればCMYK、プレゼンテーションなどで画面上のみで表示されるデザインをするのであればRGBを使うといいでしょう。

色で情報を強調する

文字情報において使用する場合は、色は常にその文字を目立たせ、強調するという効果があります。分割したりセクションを明確にする効果もあります。最も効果的に使用できる例として、情報の関連づけがあります。カテゴリに特定の色を設定し、関連情報に一貫して同じ色を使うという方法です。

色が情報の邪魔をするようなデザインは避けるべきです。色を多用しすぎると、色そのものに圧倒されてしまいます。重複しますが、色が見る者を圧倒するようなデザインは良くありません。色の多用は気を散らせることになります。研究内容ではなく、その色だけを見て終わるということになってしまいます。

ここでのアドバイスは「2~5色の色を選び、そのポスターではその色だけを使用すること」です。もし、どのような色を選んでいいのかわからない場合は、「colourlovers.com」や「Adobe Kuler」を見れば色を選ぶのに役立つでしょう。

MSオフィスのデフォルトになっている色はあまりオススメではありません。全体的につまらない色味が多く、何よりも重要なのはその色が「マイクロソフトオフィス」のデフォルトの色だということです。MSオフィスの利用者であれば誰もがその色がデフォルトだということを知っています。もしその色をポスターに使用していたら、「この人は、色の選択で一手間かけなかったんだな」という印象を見る者に与えてしまうことになります。

ルール9 : 画像の解像度に注意

どの画像も印刷サイズに適した十分な解像度のものであることを確認することが大切です。

低解像度画像

もし印刷サイズに対して十分な解像度がない状態で印刷すると、このような感じになってしまいます。ピクセル化が起き、ぼんやりした感じで、鮮明さに欠けます。アマチュアっぽい仕上がりになってしまい、研究発表を重要視していないような印象を与えてしまうので、避けたほうが良いでしょう。

ルール10 :使用するソフトウェアを理解する

ポスターデザインにおいて汎用されているソフトウェアパッケージの代表的なものは2つあります。Adobe Creative CloundとMicrosoft PowerPointです。ポスターの制作を始める前に、使用するソフトウェアの解説をしっかり学ぶ時間を数時間でも取るようにする事が大切です。

 

実際のポスター作成事例

10個の良いポスターデザインのルールをご紹介しました。ここで、実際の例を見てみましょう。

良いポスター作成例

良いポスター制作例1

これは都市計画専攻の学生が作ったポスターで、ロサンゼルスにおける都市農業についての発表です。このポスターを見てわかるように、伝統的なよくあるスタイルのレイアウトではなく、長方形の形をとらないスタイルです。配色もうまく調和するものが精選されていて、異なる段階で見る者の注意を引くようにデザインされています。

タイトルが最も大きなサイズで書かれていて、角にニワトリの画像、そこからじっくり見てみると、サイズが小さくなり、そこに情報を含んだ図表と凡例の要旨があります。プレゼンテーションの場で、このポスターの前に通りかかったら、このプロジェクトがロサンゼルスの都市部における養鶏業に関するものだということがすぐわかります。かつ、あらゆるスタイルで注意を引き付けるようなデザインがされていることで、方法論、調査結果、まとめと順に読んでいくことができます。階層の使い方が秀逸です。

 

これも別の都市計画専攻の学生が作成した良いポスターの例です。素晴らしい配色で、全体のまとまりが良いです。キャンパス内の通りの地図を掲載し、そこに緑の風景をうまく融合させています。

調査結果は、地図上に目立った装飾なしで見せています。地図上のグレーの色で建物を表現し、実際通りを線で描き出すこともせず、ただそれぞれの数値と色分けだけにとどめています。左側は調査結果をとてもうまくまとめています。この一番上にある、議論を引き起こすような質問を使ったタイトルを見れば、このプロジェクトが何ついての調査か?そしてその結果がわかります。

 

最後に、これも都市計画専攻の学生が作成したまた別の例です。ロサンゼルスにおける水質管理に関するものです。こちらも配色が素晴らしく、ページの下部にある物理的な問題というまとめがよくできており、それぞれの問題がどういうものなのかが明確に伝えられています。

要約された調査結果もとても理解しやすくまとまっています。左側には2段階診断について言及しており、その2段階が何かが簡単に読んで理解できるように書かれています。そして、調査結果では、どのような結果だったかをうまく要約しています。提言を右側に見やすくまとめています。のポスターには明確な階層と流れが作られています。そして、カラースキームの効果的な使い方の代表例ともいえます。

 

見せ方が良くないポスター作成例

悪いデザインのポスターも見ておきましょう。

これは、学生が悪いデザインの例として作成したものです。このポスターの大きな間違いは、背景に大きな画像を使用していることです。この画像が暗いトーンの色なので、文字が読みにくくなります。

また、使っている色の数が多すぎて、ぶつかり合っているような状態です。そしてMSオフィスのデフォルトの図表が使われていて、エクセルからそのままコピペしただけのような感じに見えます。とにかく全体として見映えが良くないのと、読みづらく、悪い意味で圧倒させられるような感じがあります。こういうデザインは避けましょう。

 

見映えが悪いデザインのポスターのもうひとつの例です。これは、画像とデータの見せ方に問題があります。これを研究のまとめとして見ることは難しいです。「自分の研究を理解するためには、このポスターに書かれていることを全部読んでもらう必要がある」と言っているようなもので、それは見る側には重荷にしかなりません。

黒い背景に白字は読みづらく、全てを四角で囲んで秩序なく並べていて、しかも色が多すぎます。このポスターは、配置とシンプルな配色、そして視覚要素の選択を必要としています。

 

暗いトーンの色は避けましょう。明るいトーンのポスターに濃い色の文字を使うと読みやすくなります。画像をもっと使用し、文字情報の段落をいくつか減らすといいでしょう。この文字量だと圧倒されてしまい、読みづらくなります。

ポスターデザインの作成はこちら

 

参照リンク : 10 Simple-ish Rules of Poster Design – Mark Simpson (CC BY 3.0)
当記事はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license / CC license)に基づいて編集しています。

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