デザイン界最高峰のD&AD賞が贈られた無類のパッケージデザイン例

パッケージの賞について

表彰の始まりが1960年代初頭にまでさかのぼる英国のA&AD賞は、すぐれたクリエイティビティに与えられる世界最高峰の栄誉のひとつと考えられています。優秀作品には、ブラックペンシル、イエローペンシル、ウッドペンシルなどの賞が贈られます。2021年のパッケージデザイン部門で受賞した作品の中からコンシューマー向けプロダクトのデザインをご紹介しましょう。

 

既存ビジネスへの挑戦とシンクロする自由奔放なパッケージデザイン

スウェーデンの「Lykke Kaffegårdar」は、だれにも害をおよぼさずコーヒービジネスを営むことをコンセプトとしています。「コーヒー業界に良い影響を与える」ことが同社の目標です。中南米のコーヒー農園を農家と共同所有し、仲介業者をとおさずに焙煎から販売まで一貫して手がけています。これは、従来のコーヒービジネスへの挑戦でもあります。ブランド名は、「しあわせコーヒー農場」といった意味合いのスウェーデン語。

 

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パッケージを含むアイデンティティの依頼を受けた、ストックフォルムのデザインスタジオOpen Studioの大胆なアプローチには驚かされます。

コーヒー豆の袋には、誰かがあとから落書きしたかのような、文字やイラストが全面に描かれていたり、手描きの大きなレタリングが上下さかさまだったりしています。

スプレーの落書きほど極端な表現がおこなわれていないパッケージもあります。そのほとんどは、60年代ポップカルチャーを思い起こさせる、奔放で活きいきとしたデザインです。

同ブランドのロゴも、素朴で楽しい虹の絵と、アナログタイプライターのようなワードロゴとの組み合わせです。虹のモチーフはコーヒー豆以外のグッズのパッケージやプロモーションツールにも展開されています。必ずしも一般的なレインボーカラーにはとらわれていません。まさに自由奔放。

タイポグラフィにも、見慣れたスタイルとは異なるアプローチがとられています。製品情報やユーザーへのメッセージなどのテキスト要素には、ヘルベチカ系のサンセリフ書体とスラブセリフ書体の2種類しか使われていません。文字サイズは1種類だけ、マージンなどの設定はデフォルトのままです。いってみれば、あえてデザインしないデザインというスタイル。

Open Studioは、Lykkeのユニークなビジネスモデルと関係者たちが、もっとも重要なインスピレーションだったとして、公式サイトで次のように述べています。

「Lykkeが業界を根底からくつがえしたのですから、私たちもデザインでそれと同じことをする以外ありませんでした」

このLykke Kaffegårdarのプロジェクトに対して、パッケージデザインとブランディングのふたつの部門で、銀メダル的意味合いの「グラファイトペンシル」賞が贈られました。

 

フランスの伝統的ワイン産地に対する「破壊的」リスペクト

フランスやイタリアには及びませんが、オーストラリアでもワインがよく飲まれています。ひとりあたりの消費量は日本とは1桁違う多さです。ワイン好きにはよく知られていますが、米国、チリ、アルゼンチン、南アフリカなどとともに、ワイン生産国の「ニューワールド」に数えられています。

オーストラリアワインの特徴のひとつは、研究と実験がさかんにおこなわれていることです。多様な文化にも似て、世界中のさまざまな種類のブドウが栽培されているとともに、ワイン用スクリューキャップを世界に先駆けて開発するなどの先進性も持っています。

オーストラリアのワインブランド「Fourth Wave Wines」も、ここ数年で人気が上昇中の缶ワインを発売するなど、進取の気風に富んでいます。ワインのネーミングやラベルのアートワークも非常に印象的です。

フランスのロワール地方のワインは、歴史的な産地でありながら過小評価されていると考えたFourth Wave Winesは、「La Noblesse(貴族)」と名付けられた新製品のパッケージデザインをDenominationに依頼します。Denominationはワインのブランディングやパッケージデザインを専門とするデザインスタジオです。

 

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現代の消費者にアピールするデザインを求められた同スタジオは、伝統に敬意を表しながらも、消費者に強いインパクトを与える画期的な表現を生み出しました。

中世のロワール渓谷では、古城に貴族が集まってワインを飲みながら交流していました。そこで、Denominationのデザイナーは、エングレービングで描かれた貴族の肖像をラベルのメインビジュアルとしますが、目から上をカットして大胆にトリミングしました。顔が全部見えていると別の意味が強く出てしまいます。それを避けて、「貴族」と「歴史」という抽象的な概念を伝えるための理性的な判断なのでしょう。カートンボックスにも印刷されるため、よりいっそう効果的です。

ボトルには手書き風の書体で、製品名「La Noblesse」、地域「Loire Valley」、そして国名「France」と印刷されています。フランスのワインショップの棚にならべられたボトルには、ダーマトグラフのような筆記具で価格や生産国などが書き込まれていることが多いのですが、それを模したものです。これによってフランスワインであることを印象付ける意図があります。

DenominationがデザインしたLa Noblesseのパッケージにはウッドペンシル賞が贈られました。

 

コロンブスの卵ならぬチリソースの楽しいパッケージデザイン

中国広東省の深圳(しんせん)市のデザインスタジオ、ShenZhen BOB Designは、チリソースのパッケージリニューアルでウッドペンシル賞を獲得しました。

コロンブスが最初にアメリカ大陸からヨーロッパに持ち帰ったといわれている唐辛子。大航海時代を経て世界中に広まり、現在ではこれなしでは始まらないという料理が世界各地にあります。

唐辛子を使ったチリソースは中国でも人気で、チューブ入り製品もホットな市場競争を繰り広げています。そんな中、パッケージデザインをShenZhen BOB Designに依頼したブランド「農夫望天」の要望は、店頭の陳列棚で一番目立つようにして欲しいというものでした。

チリソースのパッケージデザイン

同デザインスタジオが出したソリューションは、キャップをヘタの形状にして、チューブに唐辛子の実を大きく印刷することでした。味と辛さの違いによって、赤、緑、黄の3種類があります。この商品がスーパーの棚にずらりとぶら下がっていれば、消費者に大きなインパクトを与えるのは間違いありません。

ぶらさがった商品をフックから取るときには、まるで農園で唐辛子の実を摘んでいるような気分が味わえるとか味わえないとか。チュープはコーンスターチを原料としているのでコンポスタブルです。生分解によって6ヶ月後には完全に土に還るサステナブルなパッケージにもなっています。

 

200ドルのプリンターが生み出すノンアル飲料のエコでアートなラベルデザイン

新型コロナ感染症の広がりを抑えるためにロックダウンなどによって飲食店が休業を余儀なくされたのはロシアも同じです。バー「Kollektiv」とデザインスタジオ「Zero Culture」は、店でお客さんをもてなせないのであればと、自家製ソフトドリンクの新ブランドをたち上げました。それが「Zero Culture Beverages」です。

Zero Culture Beveragesは、サステナビリティ実現のために、プラスチックカップではなく、ガラス瓶を使うことにしました。ドリンクは、炭酸レモネードやコーヒーなどさまざまな種類を注文に応じて少量生産します。





ラベルの印刷に使うのは、なんと200ドル(約2万2千円)の熱転写ラベルプリンターです。新しいドリンクを開発しても、ローコストでラベルを準備できるというわけです。いってみればほとんど手作りでラベルを印刷してボトルに貼っていくわけですから。

ラベルのデザイン

ラベルはキャンバスとして、地元のアーティストの作品発表の場にもなっています。ボトルの首に貼られる小さなステッカーもユニークです。スマイリーマークとイナズママークは、それぞれドリンクのタイプを明示する機能を持っています。スマイリーマークが線で消されていれば炭酸飲料です。イナズママークは、カフェインの量を3段階で表示ます。

ボトルを洗浄するときに、印刷を損なわない特殊な殺菌剤を使うことによって、最高8回までラベルごと再利用されます。

ファッション誌仕立てのメニューは、Zero Culture Beveragesのコンセプトを必要以上に飾ることのない写真でエモーショナルに伝えていて、ブランディングに大きく貢献しています。

Zero Culture Beveragesもウッドペンシル賞を獲得しています。


【参考資料】
Packaging Design Jury | 2021 D&AD D&AD Awards Winners | D&AD (https://www.dandad.org/profiles/jury/111798/packaging-design-2021/)
Lykke Kaffegårdar (https://www.dandad.org/awards/professional/2021/235035/lykke-kaffegardar/)
Nyrostat kaffe | Direkt från gården hem till dig | Lykke Kaffegårdar (https://www.lykkegardar.se/)
La Noblesse (https://www.dandad.org/awards/professional/2021/235051/la-noblesse/)
Nongfu Wangtian Chili Sauce (https://www.dandad.org/awards/professional/2021/235005/nongfu-wangtian-chili-sauce/)
Zero Culture Beverages (https://www.dandad.org/awards/professional/2021/235037/zero-culture-beverages/)

※公式WEBサイト情報もあわせてご確認ください。

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