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ロゴとは?

ロゴとは?〜ロゴデザインの歴史と基礎知識

ロゴとは?

当たり前に存在し過ぎてあまり考えた事が無かったのですが、そもそもロゴとは一体何なのでしょう。今回はアカデミックに、ロゴの歴史とその基礎知識についてご紹介します。

ロゴとは?

ロゴは企業や組織、時には個人が一般世間に認められるために使うグラフィック、エンブレム、シンボルのことを言います。ロゴには純粋にグラフィック要素のみでできているもの(シンボル/アイコン)と、商品・企業名からできているもの(ロゴタイプ/ワードマーク)があります。また、それらの複合デザインを指します。

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ロゴの歴史

ロゴは古代メソポタミアの円筒印章(紀元前2300年)からはじまり、硬貨(紀元前600年)、グラフィック言語の文化的普及、紋章・印章の発展、そして印刷技術の進化などの様々な発明や技術から影響を受けています。

産業革命による広告産業の成長

産業革命が欧米社会を農業的なものから産業的なものへと変えた18世紀〜19世紀に、写真とリトグラフ(版画の一種)によってタイポグラフィと画像が統一され、広告産業を急成長させました。これと同時にタイポグラフィそのものに形と表現の革命が起こり、本に使われる地味な文字からポスターなどに使われる装飾的なタイプフェイスへと変わっていきました。

芸術にも変化が起こり、物語を表現する手段としての “アート” から、生活が向上した中流階級が好むブランドや製品を表す “デザイン” になりました。その流れの中で、デザインのコンサルタント企業や貿易企業が成長していき、1890年にはすでにアメリカに8000人以上の従業員を抱える700以上の印刷会社が存在していたと言われています。しかし当時の芸術的な評価は、デザイナー達ではなく印刷・製版会社に与えられていました。

具象から形象へ〜ビジュアルアートの革新

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・ジュール・シェレによるポスターデザイン “キンキナ・デュポネ”

1840年代のフランスの印刷企業Rouchonや1850年代のニューヨークのジョセフ・モース、1870年代のイングランドのフレデリック・ウォーカー、1870年代のフランスのジュール・シェレなどに代表される、ビジュアルアートの革新者たちは、それまでの色調を使った具象派のアートではなく、鮮やかなフラットカラーを使った形象的なスタイルを確立させました。

遊び心のある子供用の本や、新聞、雑誌などが個性的なビジュアルと編集スタイルで人気を博し、読者を増やしていきました。印刷費用が軽減され、識字率が増加し、ビジュアルスタイルが変化すると、ヴィクトリア朝の装飾アートに影響されたタイポグラフィを使ったロゴデザインが拡大していきました。

アーツ・アンド・クラフツ運動の隆盛〜デザイナーの評価が向上

その後、ヴィクトリア朝に影響を受けたタイポグラフィの大量生産に対抗し、19世紀後半に”アーツ・アンド・クラフツ運動”が起こります。アーツ・アンド・クラフツ運動は、その時代の大量生産から純粋な職人の技を取り戻すことを目的としていました。職人の技術とクオリティが再認識されてから、デザイナーとデザイン企業により良い評価が与えられるようになり、個性的なロゴデザインの誕生にもつながりました。

モダニズムの浸透

1950年には、ヨーロッパにおける前衛美術運動がアメリカを始めとして国際的に商業的な運動となり、モダニズムが根付いていきました。モダニズムのシンプルな視覚的要素と明確なコンセプトは、建築家ミース・ファン・デル・ローエの「余計なものは無い方がいい (LESS IS MORE)」という格言を具体化するものでした。モダニズムは、ロゴを作っていた若いグラフィックデザイナーたちに大いに力を与えました。モダニズムに影響されたロゴは、テレビによるビジュアルコミュニケーションや、印刷技術の発展、デジタルイノベーションの時代の成功を表しました。

 

現代のロゴデザイン

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・1876年のBass Breweryの三角形のロゴマークは、世界で初めて商標登録されたロゴ。

現代のロゴデザインはこのBass Brewery(イギリスのビール醸造会社)の三角形から始まりました。現在まで、様々な企業・製品・ブランド・サービス・その他の団体がサインやアイコン、エンブレムをロゴとして使っています。大量にロゴが生まれた結果として、名前が無くても認識されているのは膨大なデザインのうち、ほんのわずかしかありません。覚えやすいロゴは文字や色、その他のグラフィック要素を効果的に使った個性的なデザインから構成されています。

国際化が進む市場ではロゴデザインは文字よりも効率的です。例えば、アラビア語でかかれた名前はヨーロッパ市場では認識されにくいでしょう。対照的に、ロゴデザインは両方の市場で製品の個性を保つ事ができます。

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・赤十字社と赤新月社のロゴ / Julius.kusuma

非営利分野では、名前を書かなくても誰もが知っているエンブレムとして赤十字社(イスラム教の赤新月社とイスラエルのダビデの赤盾も同義)のロゴマークがあります。赤十字と赤新月は世界で最も知られているシンボルに含まれています。これらのマークは戦時の医療従事者の保護を意味しており、その歴史は1863年にまで遡ります。また、紛争地域での被害者達と彼らを救護している人達の保護を意味しています。

ブランディングによって言語を超えたマーケティングの促進が期待できます。消費者はコカ・コーラの名前が異なる文字で書かれていても、色や「リボンのような波」を打つロゴのデザインでそれを認識することができます。

 

ロゴデザインについて

ロゴは視覚的に企業を表すものであり、ロゴデザインはグラフィックデザインで非常に重要な分野です。ロゴは、企業全体で機能しなければならない複雑なコミュニケーションの中心となる要素です。すなわち、ロゴをデザインし、それを視覚的なアイデンティティに組み込むということはグラフィックデザインの分野において最も難しく重要なことの一つです。

ロゴは大きく3つに分ける事ができます。

▼ 完全に抽象的なデザインのもの

▼具象的なデザインであるピクトグラム

▼そして企業名や企業名のイニシャルを使ったロゴタイプ(またはワードーマーク)

ロゴは企業のブランドや企業のアイデンティティを表し、消費者からの認識を得るためのものなので、ロゴを頻繁にデザインし直す事は逆効果になる可能性があります。企業にとってロゴの変更は大きな勝負であるとも言えるでしょう。

 

ロゴデザイナーという職業

ロゴデザイナーという職業は1950年代にアメリカで起こったモダニズム運動の拡大から著しく増加しました。これらのデザイナー達は、モダニズム運動に加えてロゴと企業のアイデンティティのデザインにおいてもパイオニアとされていました。

チャマイエフ&ガイスマー社はチェース銀行(1964年)、モービル社(1965年)、PBS(1984年)、NBC(1986年)、ナショナルジオグラフィック(2003年)など数多くのアイコニックなロゴを作った企業です。そのシンプルかつ大胆なデザインから、初期のロゴの多くは今でも使われています。さらにチャマイエフ&ガイスマー社は、最近ではアメリカ国議会図書館とファッションブランドのアルマーニ・エクスチェンジのロゴデザインも手がけています。

ロゴデザインのもう一人のパイオニアは、スイススタイルの創始者であるポール・ランドです。彼はIBM、UPS、ABCなどの有名なポスターや企業ロゴをデザインしました。

ロゴデザインのパイオニアの3人目はソール・バスです。バスはBell Telephone(1969年)とその後継者であるAT&T(1983年)など、北アメリカの有名なロゴを手がけました。日本の企業ロゴ(紀文食品・コーセー化粧品・味の素等)も手がけています。

 

ロゴの色

色はロゴデザインの鍵となる要素であり、ブランドの識別においても重要な役割を果たします。これは、人間が色とコントラストから物の視覚的な細部を理解するためです。

さらに、私たちは社会的や文化的な環境に基づいて色の含意や関連性を理解する傾向にあるので、ロゴの色を評価する際も同様です。ブランドの認知度やロゴデザインにおいて色は重要ですが、ロゴの実用性に影響することがないように、また”色の持つ含意や関連性は全ての社会や文化で同一ではない”ということを考える必要があります。

例えばアメリカでは、赤、白、青は愛国心を表したい企業のロゴに使われる事が多いですが、他の国では愛国心を表すのに他の色の組み合わせが使われます。同様に、異なる分野の企業で異なる色の組み合わせ(カラーパレット)が使われます。ファストフード企業は鮮やかな色を好み、銀行や保険会社などではよりシックな色が使われています。

企業のロゴの色は長い間その企業のイメージになると同時に、競争者と差を付けるものとなるので、ロゴの色を決定するのはとても重要なことです。

 

ロゴデザインのプロセス

良いロゴを作成するためには、マーケティング部署がデザイン会社と協力する必要があります。ロゴのデザインを始める前に、コンセプトや企業の価値に加えターゲットとなる消費者グループについての理解などが求められます。ロゴデザインの過程には【リサーチ→概念化→調査→承諾されたデザインの洗練→様々な製品でのテスト→そして最後に、ロゴの採用と運用】が含まれます。 

詳しくはこちらを参照→ 良いロゴを作るためのプロセス

 

ダイナミックロゴ

ダイナミックロゴとは、イベントやシーズンに応じて柔軟に変化するロゴマークを指します。

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1898年にフランスのタイヤ製造会社のミシュランが、食事をしたりお酒を飲んだり、スポーツをしたりする”ミシュランマン”というカートゥーンキャラクターを生み出しました。

21世紀初期には、MTVやニコロデオン、グーグル、モートンソルト、サックス・フィフス・アベニューなどの大手企業がこのようなしばしば変更が加わる「ダイナミックロゴ」を取り入れました。

 

WEB(インターネット)に対応したロゴ

ロゴタイプを使っている企業は、企業のURLと一致しているロゴを望む事があります。そのため、2文字から3文字の短いロゴタイプを使っている複数の企業が同じ文字を使っていることがあります。例えば「CA」というロゴは、フランスの銀行Credit Agricoleやオランダの衣料品製造小売業のC&A、アメリカのソフトウェア企業のCA Technologiesなどに使われていますが、CA.comというドメイン名を使える企業は一つしかありません。

現代のデジタルインターフェースに溢れる世界では、ロゴが大きなモニターから手のひらサイズの小さなデバイスにフォーマットされます。このようにロゴは常に拡大、縮小されフォーマットし直されるので、デザイナーたちはよりシンプルなロゴをデザインするようになってきています。そうすることで小さなスペースで他のロゴと一緒にされたり、異なるメディアで閲覧されたりしても混乱することはなくなります。このようなロゴにはツイッター、フェイスブック、リンクトイン、グーグルプラス等があります。

 

デザインの保護

ロゴデザインは、様々な世界中の知的所有権機関などを通じ、保護することが可能です。例えばイギリスでは登録されたデザインや意匠、商標はイギリス知的財産庁によって管理されています。

詳しくはこちらを参照→ ロゴの著作権や権利について

 

スポーツにおけるロゴ

多くのチームにとってロゴや「紋章」はチームの歴史を表すのに重要であり、時には相手を威嚇することもできます。チームのロゴの色でユニフォーム等も統一することが多く、ロゴマークだけでなく、チームカラーも大きな意味を持ちます。

マンチェスター・ユナイテッド、トロント・メープルリーフス、ニューヨークヤンキースなどは同じスポーツのファンなら誰もが知っているロゴを持っています。スポーツチームのロゴの多くは、例えばマンチェスターシティのように、特定の都市の歴史に基づいています。


まとめ

ロゴデザインは冒頭にもあるように、様々な発明や技術の進化から影響を受けながら生まれ続けてきました。古代、貨幣の偽造を防ぐためにエンブレムは複雑化していきましたが、今はその真逆にシンプル化が進んでいます。デジタルデバイスの普及に対応するため、数々のロゴがリニューアルを遂げているのです。今も昔も、デザインには理由があります。ロゴデザインの歴史は、私たちの生活や文化の歴史でもあると言えるでしょう。

 

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参考 : Wikipedia ロゴについて
当記事の文章(テキスト)はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license / CC license)に基づいて編集しています。(記事内の画像・デザインや映像の権利は個別のライセンスにより保護されている場合があります。)

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