吸収と遮断、孤高の色。黒の与える心理効果【色彩心理】

黒いデザインの心理効果
私達の生活には様々な色であふれています。暖色系である赤やオレンジは、温かみを増す色であるため体感温度を上げます。逆に、寒色系である青は体感温度を下げます。このように全く同じ生地や素材でも、人は色が与える心理効果によって温度まで影響されます。もちろん他にも時間や物の価値・イメージに影響を与えるのが色の効果です。

今回は色の中でも、暖色系でも、寒色系でもない、無彩色と呼ばれる黒が与える心理的効果について、ご紹介していきます。黒色は、白色や灰色と同じ無彩色と呼ばれる色です。無彩色とは、色の三属性である色相・明度・彩度のうち明度のみを表した色のことです。つまり、色味がなく、明るさのみで表現される色となります。その中でも黒色は、光を反射することなくすべての色を吸収・遮断してしまう色であるため、とりわけ影響力の大きい色といえます。黒色は、周囲の色を一際引き締めて目立たせる力をもちます。

黒色は他の色に与える影響が強く、色を組み合わせたときには黒のイメージが上乗せされます。強さや権威、神秘的な雰囲気を感じさせる効果がある一方で、他の色に比べて負のイメージが潜在的にあります。黒色には全ての光を吸収してしまう色と説明しましたが、そのため、何かを秘めた印象や影のある印象を与えます。さらに、黒色というのは男性色とも言われており、男性的な印象を与えます。

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従って、威厳や権威といったイメージにも繋がりやすい色です。自然を表現するときに、青・緑・赤といった有彩色がよく用いられます。対して、無彩色である、黒・白・灰色はほとんど使われることはありません。つまり、黒は自然と対象的なイメージである、都会的な洗練されたイメージを与えます。

さらに、同じ無彩色の仲間である”白”は、物体を軽く見せる効果がありますが、それとは逆に、黒は物体を重く見せる効果があります。この重たく見せる効果によって、重厚感というイメージを黒色は持つようになりました。それから派生して、高級感といったイメージも与えます。

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対照的に、黒というのは全てを吸収するイメージから、魂までも吸収してしまう印象があります。また一日の”終わり”である夜を彷彿とさせます。そのため、死を表す色といえば、黒色となります。死を表す色であるため、お葬式でも必ず使われる色となっています。

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このように、黒には高級感といった良い印象を与える一方で、死と直結した、暗い印象を与える色であるため、広告やチラシに用いるときには、悪いイメージを与えないように注意しなくてはいけません。それでは、黒の与える心理効果ごとに、実際に私達の生活やチラシデザイン・広告にはどのように使われているのか、具体的にみていきましょう。

黒が与える心理的効果には以下のようなものがあります。

・実際よりものを重く感じさせる。

・強さや圧力、権力など力を感じさせる。

・高級感を与える。

・自己主張を強くする。

・暗い気持ちになる。

・老化を促進させる。

実際のものよりも、重く感じさせる効果を実際に利用しているのは車です。とくに、最近よくテレビコマーシャルなどで目にするのが、高級感あふれる黒色の軽自動車です。そもそも、軽自動車というのは、値段も安く、燃費もよく、維持費が普通自動車よりもかからないことから、その売上を伸ばしてきました。
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しかし、軽自動車はお得ですが、やはり安いイメージがあります。その安いイメージはもちろん、頼りなさを払拭するために用いられたのが黒色です。黒色を使うことで、重厚感が増し、高級な軽自動車というイメージを築きました。もちろん、安全性も技術の進歩によりグンと上がりましたが、黒色を使うことで、高級感・安全性といったイメージを私達購入者に与えています。最近では様々な色の軽自動車が販売されていますが、高級感をイメージさせる軽自動車は、近年登場しその売上を伸ばしています。その背景には”高級車に乗りたいが、なかなか難しい。でも安っぽく見えるのは嫌!”といった消費者心理に黒色を使うことで、応えているといえます。

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そして、黒色は強さ・圧力・権力をイメージさせる色でもあります。よくドラマなどで見るように、権威を持つ政治家などの周囲を警護するガードマン、いわゆるSPと言われる人々が黒色のスーツに見をまとっています。実際にはつけていませんが、黒色のサングラスまでしているイメージもあります。その姿を見るだけで私達はSPに対して、屈強なイメージを持ちます。

そんな威圧感もある黒色ですので、例えば、保育園や幼稚園・学校などを対象にした商品やサービスに使われることはほとんどありません。黒色は、大人を対象とした、ビジネスに適した色といえるでしょう。そして、黒色には、自己主張を後押しする効果を持ちます。ですから、強いメッセージを与えたい時には、黒色を背景にして文字を白や赤にすると、強烈な印象を与えることができます。

例えば、アニメ「エヴァンゲリオン」では主人公の少年が戦うときに、必死に自分を奮い立たせます。そのときの言葉は「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」ですが、これも、黒色のもつ心理効果をうまく使っています。黒色をベースに、白色の文字でこの言葉が強調されています。私達に主張を伝え、さらに黒色のもつ威圧感をうまく使った表現の一つといえるでしょう。

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しかし、黒色には気をつけなくてはいけないデメリットがあります。それは、人を暗い気持ちにさせたり、老化を促進させてしまうという効果です。黒色というのは、全ての色を吸収してしまうため、死と直結する印象をもつ色です。そのため、黒色は不安や恐怖によって、人間の活動エネルギーを低下させ、絶望感を抱かせる色です。それを証明するかのように、長時間黒一色の空間に人間を置くと、各臓器の活動が低下するといった研究結果もあるそうです。黒色を使うときには、こういったデメリットも十分理解する必要があります。

自分のサービスには、何が必要なのかを十分に考え、より洗練されたサービスであるのであれば、黒色をうまく使ってみましょう。黒色が与える心理効果をうまく利用し、自分の販売する商品やサービスをうまく宣伝してください。


黒色の与える心理を活用したデザインの制作例

印象深い色である黒を用いた活用事例を見ていきましょう。

 

黒は高級感を感じさせる色

黒いイベントフライヤー

ベリーダンス界の重鎮を招いたイベントであるこちらのチラシ制作例は、黒を効果的に使うことで重厚な高級感を表現しています。黒は影響力の強い色ですが、登場するアーティストに迫力があるので、黒の画面を引き締める効果とあいまって強力なインパクトのあるデザインに仕上がっています。

チラシの背景がモノトーンであることで、記載されている情報が頭に残りやすいというメリットもあります。高級感を醸し出す黒は、素材と上手く組み合わせて活用すれば、お互いを引き立てる相乗効果を生み出してくれます。より印象深いチラシデザインに仕上げることが可能です。

黒いダンスのフライヤー

出演者が100名以上という大きなダンスイベントのチラシ制作例です。モノトーンの中に出演者の才能の豊かさを示すような輝きを加えることで、ダンスイベントそのもののレベルの高さを表現しています。色合いはシンプルですが印象深いデザインに仕上がっている要因として、黒色の心理効果が活かされていることがあげられます。

真っ黒ではなく、反射表現や濃淡が違うことで、見ている側が何度見ても目を引かれるような味わい深いデザインに仕上げることが可能です。このチラシの場合は、さりげなくダンサーの影があらわされていることで、紙面全体に奥行を生み出す効果も添えられています。

 

黒ならではの素材を活かす

黒と言えば皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?実は意外と身近に存在する色合いでもあります。黒色の素材を活かすと他にはない個性的なデザインを生み出すことが可能です。

明るい色調の中でサングラスのような大きなメガネをかけた黒猫が存在感を放っています。黒というとSPや霊柩車などにも採用されていることから、重たすぎる色合いという連想をしてしまうこともありますが、小柄な猫はむしろキュートです。

黒猫ならではのクールさと、面白いメガネを加えることでパーティー感を表現しています。全体的にポップな紙面を引き締める効果も発揮してくれているので、バランスの良いチラシレイアウトとなりました。

チョークアートのフライヤー

黒板を活かしたこちらのチラシも面白い表現です。チョークアートを制作するお店のチラシなので、制作例がわかりやすくかつ印象深く表現できるように工夫してあります。注意点としては、全体を黒板に見立てて黒バックになっているので、暗くなりすぎないように配慮してあることです。

真っ黒なものは威圧感を感じてしまいがちですが、このチラシ制作例のように、画像や文字のフォントを工夫すると、適度な親しみやすさを残しつつオリジナルの個性を感じさせてくれるデザインになります。

文化交流イベントのチラシ

日本を代表する文化である漫画が盛り込まれたこちらは、日本と中国の若者交流イベントのチラシデザインです。漫画のレイアウトもあえて斜めにするなど工夫してありますが、このチラシでの注目ポイントの一つは、毛筆表現です。よく見るとタイトル部分や黒帯の部分が、墨と筆で描かれたようにデザインしてあります。

異文化の交流の場合、どちらの文化もバランスよく取り入れるように配慮することも大切です。日本と中国はどちらも毛筆文化から発展した歴史があり、親和性が高いことを活かした工夫を取り入れています。

中国語で書かれているので、文字で埋め尽くしてしまうと漢字ばかりで日本人には堅苦しくなってしまいがちですが、大きめにしたり、文字と文字の間に余白を作るなどのアレンジを施すことで、文字を図形のように使っていることもポイントです。

 

黒の重さを巧みにデザインに活用する

黒は強さや権力を表す色である分、使いすぎると人を暗い気持ちにさせるなどのデメリットもあることをご紹介しました。しかし、それだけ重さがあるということは、うまく使うと自身を感じさせたり、芸術性を表現することも可能です。

ダンサーのチラシ

バックに黒色を活用することで、ダンサーの艶やかさを表現しています。セクシーさを引き立たせる存在としても黒色の持つ高級な雰囲気は役に立ちます。また、アーティストのプロ意識の高さも言外に表現してくれる役割があります。こちらのチラシはダンサー募集のチラシですので、ダンサーの魅力を紙面から伝わるように工夫することで、趣旨にあった仲間を見つけやすくするという意図もあります。

アラビアンなフライヤー

本場エジプトのプロダンサーのチラシであるこちらは、黒と金を巧みに使うことで、ダンサーのセクシーさや表現力の高さ、ゴージャスさなどを表現してくれています。大人ならではの上質なイベントを表現する意味でも、黒は親和性が高い色です。孤高の色合いであることが、厳しいプロの世界で活躍している人の自信を感じさせてくれます。

 

使い方によって幾重にも魅力を見せてくれる黒。魅力的な黒をデザインに活かしていきましょう。

 

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