UXデザイナーという職種は存在しなくなる?

UXデザインとは

UXデザインとは実際何なのでしょうか?UXデザインの仕事を探すときや、UXデザインとは一体何なのかを理解しようとするときに使えるような、わかりやすいUXデザインの定義はないものでしょうか?

僕の名前は、ジョナサン・コートニー。

かなりの数のUXデザイナーを雇っていて、僕自身もUXデザイナーだ。これからUXデザイン(UXデザイナー)とは何なのかについて話していくよ。

 

UXデザインの定義について

始めに簡単に「公式」のUXデザインの定義を確認しておこう。個人的にはこの定義は役立つものとは思わないし、特段実用的なものだとも思わない。けど「公式」とされるものが、どういう風にUXデザインを説明しているか?を感覚として知っておくことはいいことだからね。

まずは「インタラクションデザインファンデーション」のウェブサイトを見てみよう。かなりオフィシャルっぽい定義が書かれている。

ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインとは、ユーザーにとって意味があり関連性のある経験を提供する製品を創造するプロセスを指す。この作業は、ブランディングデザイン、有用性、機能性といった側面を含む、製品の獲得や統合といったプロセス全体のデザインに関連する。

これはかなりいい定義だね。ただここで触れられていないのは、どうやったらUXデザイナーになれるのか?という実際の方法。でもこれは一つの定義として挙げられるよね。

 

別の定義もみてみよう。ウィキペディアのユーザーエクスペリエンス(UX)デザインの項目では…

ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインとは、製品の有用性・入手しやすさ・製品を使う楽しさを改善することで、ユーザーの満足度を向上させるプロセスを意味する。ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインは、従来のヒューマン−コンピュータ・インタラクション(HCI)デザインを含んでおり、それをユーザーに触れる製品・サービスの全ての側面に関する作業にまで拡張したもの。

とある。ここまでの定義から分かることは、UXデザインは基本的に”デザイン全部”ということになる。

 

2019年のUXデザインについて話そうとしている理由は、状況が少し変わったからなんだ。YouTubeにはたくさんの動画がアップされていて、確かに実際のUXデザインの定義について話しているんだけど、どれも特段役に立つものではないんだ。

 

デザイン業界にいくつかの変化が起きていて、そのひとつが世界最大規模のある企業がUXデザイナーの求人を辞めたということ。その企業はUXデザイナーを探すのを辞めてしまったんだ。その代わりに職種の名称を変更したんだよ。

 

Googleの求人から見えるUXデザインとは

Googleの例をみてみよう。ここに挙がっているのが、Googleでのデザイン職。

職種にあるのが、まずUXエンジニア。

UXエンジニアは、Googleの革新的な製品コンセプトを、UXデザインや初期段階のエンジニアリングによって実現するデザインと開発をまとめる。

GoogleはもうUXデザイナーを探していないということなんだ。UXデザインは基本レベルのスキルとみなされているということだね。

次にビジュアルデザイナー。ビジュアルデザイナーは、アイコン、レイアウト、スペースとか全部の種類のビジュアルに関わる仕事。

その他に、モーションデザイナー、インタラクションデザイナー、UXリサーチャー、コンテンツ戦略担当・UXライターとある。

僕がいつも感じている問題のひとつが、UXデザインの定義だ。何でもかんでも詰め込もうとしているように思えるんだ。

実際、UXエンジニアリングと、ビジュアルデザインと、モーションデザインと、インタラクションデザインと、UXリサーチと、コンテンツ戦略UXライティングができるUXデザイナーを探すのはとても難しいし、こういったことを全部まとめることができる人を実際に見つけるのは難しい。

間違いだなと思うのは、UXデザイナーができることの全部の技術を少しずつ習得して、全部できるようになろうとすること。かなり難しいことだからね。

例えば、僕は決してUXリサーチャーとして優れているとは言えない。単純にリサーチに興味がそんなにないし、細かいことに集中できるタイプの人間ではないからね。僕はインタラクションデザインとかUXエンジニアとかビジュアルデザイナーとしては能力を発揮できると思うけど、UXリサーチャーとしては優れてはいないだろうね。

 

他の企業もどんな職種を求人に出しているか見てみよう。数年前に僕が話したのは、「UXデザイナー」という職種の名称は「プロダクトデザイナー」に変わるってことなんだ。実際、これはシリコンバレー中で起きていて、この動きはもうすぐ世界中に広がるよ。

 

Twitterの求人から見えるUXデザインとは

これがTwitterのプロダクトデザインの職務内容。注意してほしいのは、このプロダクトデザイナーの役割はUXデザインの要素を多く含んでいること。製品に関するデザインをしているUXデザイナー、つまりアプリの見映えを良くしたり、アプリの実用性を高めたり、アプリのコンセプトを考えたり、という役割が、将来的にプロダクトデザイナーと呼ばれるようになる…というのが本質的な僕の見解。未来というか、現在ということになるかな、Twitterのケースではね。

 

シニアプロダクトデザイナーの仕事についてみてみよう。

「我が社のデザインチームに所属する、ウェブサイトとアプリの相互デザインシステムの構築に焦点をおくシニアプロダクトデザイナーを探しています。最近のデザインパターンに関する作業やその構築作業の経験が豊富ですか?」とある。

デザインパターンに関する知識を求めているんだよね。iOSやアンドロイドがどのように機能しているかを基本的に理解しておく必要がある。こういったオペレーティングシステムのデザインシステムがどう機能しているかや、特定のアプリのデザインシステムがどう機能しているかを知っているか。

例えば、最近よく見るパターンがカードナビゲーションと呼ばれるもの。ティンダーとかそういうアプリで使われているね。Twitterではプロダクトデザイナーとリサーチャーを完全に分けていて、別の役割としているんだ。エンジニアリングも別の役割としているね。

 

実際に「何をするか」はとても重要で、デザイン・プロトタイプ作り・開発と書かれている。一般的には多くの企業ではデザイナーに開発まで求めないから、この”開発”っていうのは珍しいね。「ウェブサイトと携帯アプリの秀でたデザイン・プロトタイプ作り・開発」ということだから、ウェブサイトや携帯アプリのデザインの仕方を知っていなければならないということになる。

つまり、Figmaみたいなプログラムの使い方を知っていることが求められるし、アプリが一般的にどのように見えて使われているかを理解することが求められているんだ。その知識があれば、クソみたいなものを作ることはないだろうから。

もし自分がTwitterのプロダクトデザイナーになるとしたら…という観点で考えてみよう。アプリ・画面のデザインの仕方を理解しているタイプの人間であることが求められるということになる。それがとにかく基本中の基本の当然のことってわけだね。携帯アプリとウェブサイト両方のデザインだから、それぞれのプラットフォームの制限についての知識も必要ということだね。

 

Twitter求人の2番目の項目には、「ユーザーの需要を特定し、プロトタイプを含む解決策の概略を作り、ユーザーリサーチチームと協働してその案を試し、ユーザーのフィードバックデータをもとにデザインを改良する」とある。

すごくいい文章だね。僕自身がUXデザインとして理解している要素を全て含んでいるんだ。この項目に書かれていることがUXデザイナーの本質だと思う。リサーチチームからデータを得て、ユーザーが何かしらのデータを書いたもの、直接的な批判であれ、PDF形式だったり会議だったり、ユーザーテストの結果だったり、それが何であれ、そのデータから解決策を導き出し、文字通り解決策を書き出すんだ。

この項目こそが、UXデザイナー、つまり2019年でいうところのプロダクトデザイナーになりたいなら、必ずできなくてはならないことの一番の鍵になると特に思っているんだ。オンラインでUXデザイナーの定義を見るよりも、求人ページを見る方が多くのことを学べるよ。ネットで紹介されている定義はなんだか昔の学校で教えているものって感じで、実態とかけ離れていて、概念的すぎるんだ。一方で、求人ページを見れば、もしTwitterで働きたいなら、どういうものが求められているのか?を正確に理解することができるんだ。そうすれば、次にどういうことを探せばいいのかも自ずとわかる。どういった種類の知識が求められているのかってことだね。

2019年2020年という時代において、Twitterの求人情報はUXデザイナー、つまりプロダクトデザイナーの職務内容として最高の例だね。今後はこういう内容のものがもっと増えていくだろうね。より総合的になるということではないし、より特定的になるというわけでもない。”何にでも当てはまるようなUX”ではなくて、それぞれのプロダクトについて特定して触れられるようになるだろうね。

 

Facebookの求人から見えるUXデザインとは

Facebookの求人ページもみてみよう。

ここでもプロダクトデザイナーと書かれている。これはプロダクトデザイナーがこれから重要な仕事になるっていう兆しを感じさせるものだね。プロダクトデザイナーはひとつの職種名で、他にもUXリサーチャーがあるね。Facebookでは、プロダクトデザイナーとUXリサーチャーを別の職種に分けている。それと、プロトタイパーっていうのがあるね。かなり職種の範囲を絞っているね。

プロダクトデザイナーの内容を見ると、「プロダクトデザイナーとして、新たな優れた革新的な製品のブレインストーミングからサービス開始直前のピクセルレベルの微調整まで、製品開発のプロセス全体に関わることになります。プロダクトデザイン・インタラクションデザイン・ビジュアルデザインの全般にわたるスキルを活用することが求められます。そして、幅広いFacebook製品における経験を積むことができます。このポジションはフルタイムで、ニューヨーク勤務です。」と書かれている。この最後の一文は重要なパートだよね!

 

職務内容を確認してみると、

「プロダクトチームやエグゼクティブチームの高いレベルの戦略的判断に貢献する」…これってシニアクラスに求められる事だけど、シニアとは書かれていないね。一般的にはUXデザイナーは戦略的思考をもっていないんだけどな。

「他のデザイナーとフィードバックのやり取りを行う」…これはTwitterの職務内容でも似たような事が書かれていたね。

「UXとUIを併せ持った総括的な製品デザインの経験値を発揮する」…とUXについても一度だけ触れている。これが今後のプロダクトデザイナーの方向性で、UXとUIのスキルを混ぜ合わせたような役割という感じだね。

この手のウェブサイトで出てきているUXリサーチャーという役割は、UXデザイナーの役割からユーザーペルソナやユーザーリサーチの部分を取り出して別の役割として独立させたもので、それ以外がプロダクトデザイナー。という感じになっているんだ。それがリサーチャーとプロダクトデザイナーの違いということ。

面白いのが、たった2年の経験しか必須とされていないんだね、これはいいよ、僕もここで働きたいよ。応募してみようかな。

 

その他の企業の例

従来のUXデザイナーの広告もちょっと見ておこう。シリコンバレーの超大手企業のものだ。この手の超大手企業が業界全体のスタンダートを決めているからね。どの企業も、今後2、3年後とかにプロダクトデザイナーを求人する際には、確実にFacebookやGoogleやTwitterのやり方をまずはコピーするんだから。

一般的なUXデザイナーで検索をかけてみると、例えばAnglian Water Services社のUXデザイナーでは、現状の表現が使われていて「UI/UXデザイナーとして」とあるね。「プロダクトデザイナー」って言葉に早めに変えるべきだと思うけど、「UI/UXデザイナーとしてブランドのガイドラインを守りつつ、ユーザーを意識した、ユーザーを惹きつけ、ユーザーが使いやすいと感じるユーザーエクスペリエンスをデザインし創造することが求められる」と。

気になったのが、この企業ではユーザーリサーチャーとUXデザイナーをひとつの役割にまとめていること。FacebookやTwitterでは職種として分けていたよね。

「複数のブランドにおけるペルソナとユーザーエクスペリエンスマップを作る」という項目も求人広告としてはあまり良くないと思うんだ。

というのも、この企業ではUX・UIデザインリサーチをひとまとめにしてしまっている。こういうひとまとめが、昔の学校で教えていたような古いスタイルだと思うんだけど、何でもできる人を求めるみたいな感じがする。今はそれで問題はないとは思うよ。僕自身がそうやって何でもやってきたデザイナーだったし。

ただ、この先数年のことに焦点をおいて話すなら、UX・UIデザインリサーチは別のものとされてるべきなんだ。もちろんプロダクトデザイナーとして働く上で、リサーチの部分を知る必要はあるんだけど、日々の業務としてデザイナーがやるべきことだとは思わない。

「有用性テストを実施する」…これはリサーチよりの話で、UXリサーチャーの役割と言えるね。

「関係者と協働してデザインコンセプトを作成する」…もちろんそうだね。

「サイトデザイン向上をリードする」…そうだね。

「ウェブサイトの原型を作成する」…この辺りは全部他と同じ内容だね。

「SEO対策をして機能強化を実装させる…」…これは絶対にUX・UIデザインの役割ではないね。

何だろ….これって、誰かうちのインターネット関連のことやってくれない?って感じだよね。ちなみに、Anglian Water Service社さん、僕は別に攻撃しているわけはないんだ。ただUXデザインとは何かを理解してもらいらいだけだから。SEOは、別の仕事だってこと。SEOはSEO関連の仕事を担当する人の話だね。

 

UXデザイナーは、プロダクトデザイナーとUXリサーチャーに分化する

僕の目標は、この先数年の間にUXデザイナーを募集するであろう企業が実際何を求めるか?をみんなに伝えるってことなんだ。単純にUXデザインってのはこういうことだよ〜。とか「The Design of EVERYDAY THINGS(日常品のデザイン)」を読まなきゃダメだよ。とか言うつもりはないんだ。

今のUXデザインとはどういうもので、UXデザイナーを起用している企業が実際求めているUXデザインの定義はどういうものか。学術的な定義とかじゃなく、企業が実際に必要としているスキルとしての定義について伝えていきたいと思っている。この先数年に起きることとして僕が予想しているのは、UXデザイナーがプロダクトデザイナーとUXリサーチャーに分かれて、別の2つの職種になるということ。プロダクトデザイナーは製品関連の全ての構築の仕方に関する知識が求められることになるけど、エンジニア的な部分は切り離されて、大抵の企業ではプロダクトデザイナーに開発関連の業務を求めることはないと思う。

もしUXデザインとは何なのかを理解すべく、インターネットであちこち答えを探し回って、結局ちょっと訳が分からなくなっているような状態なら、企業の求人情報ページを見ることはオススメだよ。それぞれの企業がUXデザインをどう定義しているかを読むこと。仕事内容を定義づけるのは結局のところ、その市場なんだから。デザインを研究しているような人が定義づけるものではない。

UXデザインが何なのかは、市場がUXデザインはこういうものと定めたものなんだ。今の市場では、UXデザインはプロダクトデザインと定義されていて、リサーチはUXデザインから切り離され始めていて、単体として扱われるようになっているんだ。

 

参照リンク : UX Design – What is it? (2019) – AJ&Smart (CC BY 3.0)
当記事はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license / CC license)に基づいて編集しています。

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