プレス印刷機について:印刷史のなるほど雑学03

プレス印刷機について:印刷史のなるほど雑学

プレス印刷機とは?

15世紀中期に神聖ローマ帝国(現在のドイツに相当)出身のヨハネス・グーテンベルク(Johannes Gutengerg)が活版印刷技術を発明したといわれています。

活字に油性インクを塗り、印刷機を使って紙や羊皮紙に文字を写すというシステムがグーテンベルクによって初めて実用化されたのです。そのシステムで画期的だったのは、金属活字を鋳造によって量産する方法を発明したこと、水性インクに替えて油性インクを採用したこと、圧力をかけて文字を紙に転写する印刷機を作ったことです。

この印刷機はプレス印刷機と呼ばれ、現在の商業印刷や出版物に使われている印刷機と原理は変わりません。

 

ブドウしぼり機を改良した印刷用プレス機

グーテンベルクの印刷機

グーテンベルクの印刷機はブドウしぼり機をヒントにして作られたと考えられています。シンプルなブドウしぼり機の仕組みは、樽に収穫したブドウを入れて板を置き、上から圧をかけて果汁をしぼり出すというものです。そのひとつに、ネジの原理を利用してハンドルを回転させながら板を押し下げていく方式がありました。

グーテンベルクの印刷機もこれと同じく、人力でハンドルを回して圧をかけます。製紙業でも同じ原理で水をしぼり出す機械があったので、こちらを参考にしたのではないかと考える人もいます。

グーテンベルクの印刷機では、金属活字で組んだ版を水平にセットし、印刷面に油性インクを塗ります。そこに紙をのせて、プラーテン(圧盤)と呼ばれる板を押し付けることでインクを紙に転写します。プラーテンに圧をかけるのは、ハンドルを回転させておこなうブドウしぼり機と同じ仕組みです。

本サイトの記事「世界を変えた発明 – グーテンベルク活版印刷機の仕組み」では、グーテンベルクの活版印刷機の仕組みを紹介していますのでそちらもご覧ください。

時代が進み技術が発展するに従い、機械は木製から金属製に変わり、人力で圧をかけていたものが、蒸気や電気による動力にパワーアップしました。

 

プリントとプレス

日本の商業印刷や広告・出版業界では「プリント」と「印刷」ということばを使い分けていることが多いです。パソコンやスマホなどから紙に出力するときメニューには「印刷」と表示されていますが、この場合は「出力」「プリントアウト」といいます。こういったデバイスからの印刷はインクジェットプリンターやレーザープリンターで出力するのが一般的ですので、オフセット印刷機や輪転印刷機での印刷と区別するためです。

一般的にプレス機といえば金属素材に圧力をかけて加工する機械のことをいいます。「プレス」は、圧をかけるという意味の英語「press(プレス)」に由来していて、pressには「プレス機」という意味もあります。

英語では、印刷(プリント)するプレス機という意味でプレス印刷機を「printing press」といいます。また、印刷を前提としていた出版社や報道機関などの業種もプレスと呼ばれるようになりました。

 

プレス印刷機による活版印刷の魅力

グーテンベルクの活版印刷をおこなうためのプレス印刷機はいまでも利用されています。圧をかけて活字を紙に押し付けるので、紙にはインクと一緒に文字の形のくぼみができます。この活版印刷ならでは味わいに多くのひとが魅力を感じ、名刺やグリーティングカード、少部数の冊子などに人気です。


【参考資料】
Printing press – Wikipedia(https://en.wikipedia.org/wiki/Printing_press)

printing press | History, Types, & Facts | Britannica(https://www.britannica.com/technology/printing-press)
コラム 印刷術について | インキュナブラ(https://www.ndl.go.jp/incunabula/chapter1/chapter1_01.html)
ヨハネス・グーテンベルク – Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/ヨハネス・グーテンベルク)
謎の人グーテンベルク | インキュナブラ~西洋印刷術の黎明~(https://www.ndl.go.jp/incunabula/chapter1/chapter1_02.html)



印刷(印刷機)の歴史

木版印刷 200年〜

文字や絵などを1枚の木の板に彫り込んで作った版で同じ図柄を何枚も複製する手法を「木版印刷」(もくはんいんさつ)といいます。もっとも古くから人類が利用してきた印刷方法です。


活版印刷 1040年〜

ハンコのように文字や記号を彫り込んだ部品を「活字」(かつじ)を組み合わせて版を作り、そこにインクをつけて印刷する手法を「活版印刷」(かっぱんいんさつ)といいます。活字の出っ張った部分にインクを付けて文字を紙に転写するので、活版印刷は凸版(とっぱん)印刷に分類されます。


プレス印刷 1440年〜

活字に油性インクを塗り、印刷機を使って紙や羊皮紙に文字を写すという形式の活版印刷が、ヨハネス・グーテンベルク(Johannes Gutengerg)によって初めて実用化されました。印刷機はプレス印刷機と呼ばれ、現在の商業印刷や出版物に使われている印刷機と原理は変わりません。


エッチング 1515年〜

エッチングは銅などの金属板に傷をつけてイメージを描き、そこへインクを詰め込んで紙に転写する技法です。くぼんだ部分がイメージとして印刷されるので凹版(おうはん)印刷に分類されます。


メゾチント 1642年〜

銅版画の一種であるメゾチントは階調表現にすぐれています。銅板の表面に傷をつけてインクを詰め込み、それを紙に転写します。くぼんだ部分のインクが印刷されるので凹版(おうはん)印刷に分類されます。


アクアチント 1772年〜

アクアチントは銅版画のひとつの技法で、水彩画のように「面」で濃淡を表現できることが大きな特徴です。表面を酸で腐食させてできた凹みにインクを詰めて、それが紙に転写されるので、凹版(おうはん)印刷に分類されます。


リトグラフ 1796年〜

リトグラフは水と油の反発を利用してイメージを印刷する方式です。凹凸を利用してインキを載せるのではなく、化学反応によってインキを付ける部分を決めます。版には石灰岩のブロックが使われたので「石版印刷」(せきばんいんさつ)ともいわれます。版面がフラットなので平版(へいはん)に分類されます。


クロモリトグラフ 1837年〜

クロモリトグラフは、石版印刷「リトグラフ」を改良・発展させたカラー印刷技法です。カラーリトグラフと呼ばれることもあります。


輪転印刷 1843年〜

輪転印刷機(りんてんいんさつき)は、円筒形のドラムを回転させながら印刷する機械です。大きなドラムに版を湾曲させて取り付けます。ドラムを高速で回転させながら、版につけたインクを紙に転写することで、短時間に大量の印刷が可能です。


ヘクトグラフ 1860年〜

ヘクトグラフは、平版印刷の一種で、ゼラチンを利用した方式です。ゼラチン版、ゼラチン複写機、ゼリーグラフと呼ばれることもあります。明治から昭和初期まで官公庁や教育機関、企業内で比較的部数の少ない内部文書の複製用に使われました。


オフセット印刷 1875年〜

オフセット印刷とは、現在の印刷方式の中で最もポピュラーに利用されている平版(へいはん)印刷の一種です。主に、書籍印刷、商業印刷、美術印刷など幅広いジャンルで使用されており、世界中で供給されている商業印刷機の多くを占めています。



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