欧州トヨタがフラットデザインの新ロゴを採用

トヨタ自動車の欧州での拠点トヨタ モーター ヨーロッパ(Toyota Motor Europe S.A./N.V.)が新しいロゴデザインを、2020年7月20日(現地時間)に発表しました。
トヨタがフラットデザインの新ロゴREUTERS / EDGAR SU – stock.adobe.com

メタリックな3Dデザインのシンボルマークと赤いワードロゴとの組み合わせであったものを、フラットデザインのシンボルマークのみとしました。欧州エリアにおいては、トヨタブランドとのあらゆるタッチポイントでこの新しいミニマルデザインのエンブレムが使用されます。自動車のフロントとリアにはこれまでどおりメタリックで立体的なエンブレムが装着されます。

 

力強さと高級感を兼ね備えた先代トヨタ ロゴデザイン

先代トヨタ ロゴデザインVanderWolf Images – stock.adobe.com

大きな曲面に貼り付けられたかのようなゆったりとしたふくらみを持つ、先代のシンボルマークは、車体にとりつけられたエンブレムを再現しているかのような印象です。しかし、3Dの演出はあまり複雑ではなく、フラットなロゴを単純に押し出して厚みをつけたスタイルになっています。また光沢の表現も、自動車のフロントとリアに取り付けられているエンブレムに比べると控えめです。

存在感のあるシンボルマークと組み合わされているのが、Helvetica(ヘルベチカ)やAvenir(アベニール)と同じテイストの太いサンセリフ書体のワードロゴです。シンプルで太く赤い文字がリアリスティックなエンブレムとうまくコントラストをつけながら、うまくバランスをとっています。

 

フラット化とともに「TOYOTA」も取り去られた新しいロゴ

https://twitter.com/toyota_europe/status/1285131689623257088

新しいロゴはシンボルマークだけになりました。3D効果は取り去られ、フラットデザインとなっています。ワードロゴは添えられず、色も黒または白という、ミニマルデザイン的アプローチのロゴです。

先代エンブレムと基本的な骨格は同じです。マークを構成している3つの楕円の線の太さには変化が付けられていたのですが、フラット化したことでそれが顕著になりました。

立体的なシンボルとワードロゴの組み合わせであった先代ロゴとフラットデザインのシンボルマークだけの新ロゴとではかなり印象が異なります。フォントに例えるならば、先代がHelvetica(ヘルベチカ)やArial(アリアル)のボールドとすれば、新しいロゴは、サンセリフ系でありながらセリフ系のようなエレガントさも持っているOptima(オプティマ)あたりかもしれません。

 

先代のロゴデザインは1989年(平成元年)に登場

トヨタ自動車ではシンボルマークは「トヨタマーク」と呼ばれています。大小の楕円を3つ組み合わせたトヨタマークは1989年(平成元年)に登場しました。1936年(昭和11年)から使われていた「トヨタ」の文字を組み合わせたデザインに代わって、「トヨタ車の先進性と信頼性を象徴する統一的なマーク」となりました。そして、初代セルシオを皮切りに、新たなエンブレムとしてトヨタ車のフロントグリルを飾ることになったのです。

高級車レクサスやネッツブランド、カローラシリーズなど、フロントに独自のエンブレムが設置されている車種でも、リアにはトヨタマークが輝き、世界中でトヨタのシンボルとして認知されています。トヨタマークに秘められた意味については当サイトの記事「自動車メーカーのロゴデザインに隠された意味とは」https://asobo-design.com/nex/column-13-2-1935.html)もご覧ください。

 

もともとフラットだった平成元年のトヨタマーク

ところで、「トヨタ自動車75年史」という公式サイトで1989年(平成元年)発表のトヨタマークとして掲載されているロゴデザインは、立体的にはなっていません。欧州トヨタの新ロゴによく似たフラットなマークです。色は「TOYOTA」のワードロゴと同じ赤ですが、シンボルマークは最新ロゴにそっくりです。

[登録商標の変遷]

トヨタ企業サイト|トヨタ自動車75年史|車両系統図|【豆知識】登録商標の変遷

平成元年ロゴを手がけた日本デザインセンターのサイトで発表当時の印刷物を見ることができます。印刷物に掲載されているトヨタマークはいずれもフラットなデザインで3Dの演出はされていません。

[1989年ロゴ]

トヨタ自動車 トヨタマーク | 日本デザインセンター
(https://www.ndc.co.jp/works/toyota-emblem-1989/)

また、リア、ホイール、エンジンに取り付けられた(あるいは刻印された)トヨタマークは、あくまでもフラットなロゴを部品化したもののように見えます。フロントグリルのエンブレムはそれらとは異なり、曲面的で丁寧な仕上げになっているようです。しかし、3Dロゴとはニュアンスが違います。

リニューアル前の欧州で使われ、日本国内で現在使われている3Dロゴはいつ、どういう経緯で登場したのでしょうか。残念ながら情報を見つけることはできませんでした。

今回発表された欧州の新ロゴと1989年登場のトヨタマークを重ねてみると、ほとんど同一であることがわかります。非常に微妙な手なおしが加えられているようですが、基本的には平成元年トヨタマークの欧州におけるリバイバルと考えることができるでしょう。

 

ロゴのフラットデザイン化を進める欧州自動車ブランド

BMW社 MiniのロゴOceanProd – stock.adobe.com(BMW社 Miniのロゴ)

欧州の自動車ブランドの間ではここ数年、ロゴのフラット化が進んでいます。BMW社のブランドMiniは2018年にいち早くフラットデザイン化しました。

2019年8月には英国由来のLotusがロゴをフラット化。フォルクスワーゲン社も2019年9月の「フランクフルト・モーターショー2019」で、次世代EV車「ID.3」とともにミニマルでフラットなロゴにリニューアルしています。

2020年3月にはBMW社もやはりEV車コンセプトモデルの発表を機に、フラットデザインの新エンブレムを発表しました。デジタルメディアと親和性の高いフラットデザインへの流れは、これからも止まることがないと考えられます。

 

Steve Matteson氏によるカスタム書体「Toyota Type」

ロゴのフラット化については、欧州と米国で異なる解釈がおこなわれたようですが、リニューアルにおいては共通した点もあります。今回の欧州でのリニューアルでは、「Toyota Type」と名付けられたサンセリフ系のフォントファミリーが新たに導入されました。このフォントは、2019年の米国でのリニューアルの際に作成されたものです。

[Toyota Type]

Toyota Visual Identity System
(https://www.toyota.com/brandguidelines/typography/)

視認性の高いToyota Typeはモノタイプ社のクリエイティブタイプディレクターで書体デザイナーのSteve Matteson氏のもとで作成されました。Matteson氏は、Microsoft社のSegoeフォントやGoogle社のAndroidプラットフォーム用のDroidフォントをデザインしています。

デザイナーならどこかで一度は目にしたり使ったことのある、Andale Mono、Curiz、Droid、Noto SansなどはMatteson氏がデザインした書体です。

 

トヨタイムズのロゴ

トヨタ自動車の「トヨタイムズ」を目にする機会が多いと思います。これは、モノとしての自動車から、体験としての「モビリティ」を提供する会社への進化を訴求する広告シリーズです。そのワードロゴは、現在でもトヨタ自動車の社章として現役の1936年版「トヨタ」ロゴにインスパイアされたものではないでしょうか。


【参考資料】
[欧州トヨタ(TME)公式サイト] Welcome to the Toyota Motor Europe website (https://www.toyota-europe.com/)
トヨタマーク | スペシャルコンテンツ | トヨタブランド | モビリティ | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (https://global.toyota/jp/mobility/toyota-brand/features/emblem/)
Brand New: New Logo and Identity for Toyota (https://www.underconsideration.com/brandnew/ archives/new_logo_and_identity_for_toyota.php)
Steve Matteson | Monotype (https://www.monotype.com/jp/people/steve-matteson)

※公式WEBサイト情報もあわせてご確認ください。

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