ブランドマネジメントとは?ブランディングの歴史と用語

ブランドマネジメントとは?ブランディングの歴史と用語について

ブランドマネジメントとは?

マーケティングにおいて、ブランドマネジメントとは「そのブランドが市場でどのように受け止められているか」を分析し、計画を練ることです。ブランドマネジメントはターゲット市場との良好な関係を築くことが不可欠です。

ブランドの構成要素

有形要素は、商品そのもの、つまり見た目です。価格やパッケージデザインなども含まれます。無形要素は、消費者がそのブランドを通じて得た体験と、ブランドとの関係性です。ブランドマネジメントの担当者は、これら全てを統率しなければなりません。

2001年、Hislop 氏はブランディングを

「競合他社との棲み分けや顧客ロイヤルティの構築を目的として、企業製品と顧客との間に感情的な関係性やつながりを作り出すプロセス」

と定義しました。

ブランドマネジメントは、ブランドのコアバリュー(核となる価値)を特定し、ターゲット顧客へコアバリューを反映させるプロセスです。現在のブランドという言葉は、企業、製品、サービス、または人を示している可能性があります。

ブランドマネジメントはブランドの信頼性を構築します。そして、信頼できるブランドだけがブランドロイヤルティを構築し、危機的状況を跳ね返し、価格にシビアな顧客からも利益を得ることが出来ると言えます。

グローバル化がブランドの価値をより重要なものに

ブランド力強化への関心が高まっている背景には、グローバル化の加速が挙げられます。市場のグローバル化により、これまで以上に市場競争が激化しています。製品の優位性だけでは、もはや成功を保証できる時代ではなくなってしまったのです。

技術開発の高速化、模倣品・類似品が市場に出回るまでのスピードの速さは、製品のライフサイクルを劇的に短くしてきました。そのため多くの企業が、ブランド力のような、より永続的競争力のあるツールを求めるようになっています。

ブランドマネージャーの仕事とは

ブランドマネージャーの仕事は、気になっている人を見込み客に、見込み客を買い手に、買い手を顧客に、顧客をブランド支持者(ファン)に変えるための戦略を立てることです。

ソーシャルメディアがブランドマーケティングの戦術を変えたとしても、目標が顧客をブランドに惹きつけ、維持することに変わりありません。

しかし、企業は今、ソーシャルメディアの導入によって新たな課題を経験しています。顧客自身がソーシャルメディアなどのプラットフォームを通じて、ブランドを口コミで広めることが可能になりましたが、その一方で企業自身の中核となる戦略的マーケティング目標をコントロールし、それぞれの適切なバランスを見出すことが求められています。

ソーシャルメディアを介した口コミマーケティングは、バイラルマーケティング(不特定多数に広める)に該当します。このマーケティング手法は、消費者がブランドについての意見を広めることを可能にし、企業の露出を生み出しています。

 

ブランディングの歴史

ブランディングの最古の起源は、有史以前に遡ることができます。

ブランディングの習慣は、新石器時代の中近東の農場動物の「焼印」から始まったと考えられています。石器時代と青銅器時代の洞窟画には、焼印を押した牛が描かれています。時が経つにつれ、この習慣は陶器や道具などの個人の所有物にも拡大し、最終的には貿易を目的とした商品に何らかの種類の焼印やバッジ・タグが付けられるようになりました。

酒類、化粧品、織物などの大量生産を開始した紀元前4世紀の古代メソポタミアの都市革命の後に、ブランディングはより必要性を増しました。商品に厳しい品質管理が課せられ、ブランド化を通じて消費者に価値を伝える必要があったからです。

アンフォラManiacParisien (CC BY-SA 3.0) – アンフォラ

紀元前 1500年から500年の間の地中海貿易で使用されたアンフォラ(必需品を運搬・保存するための陶器)には、多種多様な形状やマーキングが施されており、それが交換の際に購入者に情報を提供していたことを示しています。大多数に文字が浸透する前の社会では、アンフォラの形状や絵文字のマーキングはブランドとして機能し、内容物、原産地、製品の品質に関する情報、さらには生産者のアイデンティティに関する情報まで伝達していたと考えられています。

アジアのブランディング

東洋でも、ブランディングの起源ははるか昔に遡ります。最近の研究によると、中国の商人はブランディング、パッケージ、広告、小売店の看板を広範囲で利用していたことが示唆されています。 既に紀元前200年の頃から、パッケージデザインやブランディングは家族、地名、製品の品質を示すために使用されていました。

宋(960~1127年)の時代に、中国社会は消費文化を発展させました。消費文化の台頭は、慎重に管理された企業イメージ、小売店の看板、象徴的なブランド、 商標保護などのブランド概念への商業投資につながりました。

日本でも、ブランディングには長い歴史があります。「紋」や「印」は東アジアのブランドや商標の独自形態です。

ブランディングがより広く普及するきっかけとなったのは、生産者に最低限の品質仕様を満たすことを要求したり、重さや尺度を標準化したりする政府の法律があったことが多く、その結果、交換における品質や公平性に対する国民の関心が高まりました。

中世〜近世ヨーロッパのブランディング

織物ギルド織物商組合の幹部たち(レンブラント 1662年)

中世ヨーロッパでは、ブランディングはより広い範囲の商品やサービスに適用されました。この時期にヨーロッパ中で勃興したクラフト・ギルド(工匠ギルド)は、品質と基準を保証するために製品に印をつけるシステムを成文化し、強化しました。

ギルドの紋章

チェコ共和国の様々なギルドの紋章 by Vitvit (CC BY 3.0)

パン職人、銀細工師、金細工師はすべてこの時期から製品に印をつけており、1266年にはイギリスのパン職人は、販売する各製品に印をつけることを法律で義務付けられました。いくつかのブランドマークは、何世紀にもわたって継続的に使用されています。

例えば、Staffelter Hof(シュタッフェルター・ホフ)というワイナリーブランドは862年以前のもので、今日でもその名でワインを生産しています。

お墨付きの概念

商人や市場に対して王室が許可を与えることは、中世初期からヨーロッパ全土で行われていました。製品の品質に対する懸念が大きな問題となっていた時代に、王室のお墨付きを得ることは「その生産者・販売者が王室で使用するに値する製品を提供している」というシグナルを一般の人々に与え、一般の人々の信頼につながっていたのです。

その為多くの製造業者は、王室御用達という強い武器を積極的に自社の敷地内に表示したり、包装やラベルに表示するようになりました。

中産階級の台頭

18世紀になると生活水準が向上し、中産階級が台頭します。人々はより贅沢な商品やサービスを求めるようになり、小売業の世界は大きな変化を遂げました。小売業者は特定の商品やサービスに特化する傾向にあり、現代的なマーケティング手法を駆使して様々な商品を販売するようになりました。

商品をブランド化するだけでなく、通行人を惹きつけるためのガラス張りのショーウィンドウや、店内の常連客にアピールするためのディスプレイ・カウンター等で、ブランド化された商品を陳列するようになりました。

マスメディアの台頭

20世紀初頭のマスメディアの台頭で、企業はすぐにマスメディアの手法を採用するようになりました。 スローガン、マスコット、ジングル等は、1920年代のラジオと1930年代の初期のテレビに表示され始めました。

広告主は、ブランドの個性、ブランドイメージとブランドアイデンティティの概念を開発することに焦点を当て始めるようになります。イギリスの広告代理店 W.S.クロフォード 社は、販売を刺激し「購買習慣」を作るためには、広告は「商品の周りにアイデアの決定的な関連付けを構築する」必要があると主張して、「商品の個性」と「広告のアイデア」の概念を使用し始めました。

アメリカでは、広告代理店のJ.Walter Thompson company (JWT)が、ブランド・パーソナリティとブランド・イメージという同様の概念を開拓していました。

LUXの広告デザイン

LUXの広告デザイン(1916年)

例えばLUXへの広告戦略として、従来の毛織物用の石鹸としてのポジショニングを拡大し、消費者が家庭内のすべての上質な布地に使用するための石鹸であると認識できるようにすることを提案しました。LUXはそこから高価な衣類やハイファッションとの長い付き合いをスタートします。JWT社は、広告が社会的に共有されたシンボルを効果的に操作することを認識していました。LUXの場合で言うと、ブランドは家事労働のイメージから切り離され、レジャーやファッションのイメージと結びついていきました。

1940年代になると、メーカーは、消費者が社会的・心理学的・人類学的な意味でブランドとの関係を発展させていることを認識し始めました。広告主は、消費者の購買に関する洞察を収集するために、動機づけ調査や消費者調査を利用するようになります。消費者が自分の個性と一致する個性を持つブランドを探しているという洞察に基づいて、商品やサービスに個性(ブランドパーソナリティ)を吹き込むようになっていきます。

 

ブランドに関する用語

・ブランド態度とは

ブランドを購入する動機を満たしているかどうかの買い手の総合的な評価を指します。

・ブランド認知度とは

消費者が様々な条件の下でブランドを識別できる度合いの事を指します。

・ブランド・エクイティとは

会計上の定義では、ブランド・エクイティはブランドの財務的価値の尺度を指します。(正味の追加的な資金流入、ブランドの無形資産としての価値の測定等) 別の定義では、ブランドに対する消費者の愛着の強さの尺度を指すこともあります。

・ブランドイメージとは

組織がブランドに投影したいイメージのことであり、ブランドに関連付けられた心理的な意味のことを指します。

・ブランドパーソナリティとは

ブランドの人格的な個性(パーソナリティ)のことを指します。「消費者は自分の個性と一致するブランドを好む」という考え方に基づいています。消費者はブランドの個性が自分の個性と一致するブランドに強い愛着を抱く傾向があります。

・ブランド選好とは

特定のブランドに対する消費者の傾向であり、ブランドから受ける刺激に対する認知情報処理を要約したものを指します。


【参考資料】
ブランドマネジメント -Wikipedia (CC BY-SA 3.0) – https://en.wikipedia.org/wiki/Brand_management
当記事の文章(テキスト)はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license / CC license)に基づいて編集しています。(記事内の画像・デザインや映像の権利は個別のライセンスにより保護されている場合があります。)

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