すべてのデザイナーがセールス(営業)を学ぶべき理由

自身がデザイナーでありつつも「ビジネスの伝道師(Guru)」とも称されるクリス・ドゥ氏。今回は、「すべてのデザイナーがセールスを学ぶべき理由」を翻訳して紹介いたします。※以下翻訳内容です。

M (マーク):今回はセールスについて話したいんだけど、クリスはセールスやビジネスのセンセイみたいな存在だし、普段日常的にクリエイティブな領域で活躍しているよね。

フューチャー(The Futur)では、ブランディングやグラフィックについて、たくさんのコンテンツを提供しているけど、一方でビジネスやセールスといったことについてのコンテンツも非常に多い。どうして今のように、こういったコンテンツを作るようになったんですか?

 

C(クリス):まず僕はとても幸運で、「ビジネスの伝道師(Guru)」という素敵な呼び名で称されることもあって、とてもありがたく思ってます。僕自身はそんな風に自称はしないし、自分の中ではあくまでデザイン業界の一仕事人というつもりだけど、幸運なことにビジネスの様々な知識をシェアしてくれるような、心の広いひとたちに出会えたし、クリエイティブな人たちのほとんどがなかなか踏み込めない、セールス方面に関することを明らかにするために、ビジネスコーチとも一緒に取り組んできた。

例えば「コストなどの重要な話をするときは特に、クライアントの目を見て話そう」とか「クライアントと話していて相手が自分に何か反応したら快く2カウント分待ってから話す」(相手の話をさえぎらず、しっかり聞いて受け止めることで、心地よい対話の状況を作る)とかそういう内容だね。

友達や家族に勧められて、こういう情報をシェアし始めて、その方法もより透明性の高いものにしていった。それを人々が必要としていることがわかったからね。

自分の小さな檻の中に閉じこもっていたら、人々が何を求めているのか、何を知りたいのか、何が人の役に立つのかはわからない。

僕のことを知らない人のためにお話ししておくと、当時僕はデザイン学校で15年間教えてきていたから、教えるということ自体は特に新しいことでもなかったし、教える内容も自分好きなことだった。

ただ、デザイン学校で教えられていることというのは、主にはデザインのコンセプトや実際のやり方なんだけど、コミュニケーションだとか、交渉、信条、価格設定みたいなものについてはほとんど触れない。これらは必要なことなのに、学校でこういったことが教えられることは滅多にない。でも、それが必要なことはわかっていたから、僕はこういったことについて情報を共有し始めたんだ。

すると、僕の動画はすぐに幅広い人から注目を集めて、多くの人たちが僕のことをそれがきっかけで知るようになったんだ。

 

M: あなたの過去の動画を見たけど、素晴らしかったよ。確か2016のものだったと思うけど。教室でデザイナーにビジネスの講義したりもしていたよね。すごくよかった。

僕がとても興味を持っているのが、あなた自身のキャリアの中で、セールスやビジネスの側面をもっと強化したいと思った瞬間のことなんだけど、これについてもし思い出せるなら是非教えてください。

 

C: それは確か僕がデザイナーとして働き始めた最初の年だったと思う。ちょうどその頃いいビジネスチャンスがあったんだ。それはその時の良かったことで、同時に良くないこともあった。誰か見込みクライアントが自分に仕事の話を持ってきてくれると期待して、実際に仕事が来るけどその時に自分は準備が全然整ってなかった。その時にとても大変なことがいくつかあったんだ。

仕事の電話をもらった時、ルールやその他仕事上の決まりごとが全然わからなかった。打ち合わせの電話の時、大きなクライアントとどうやって話せばいいのだろう。

今問題にしているのは、小さなクライアントではなく、大きなクライアントだ。

ここで言う大きなクライアントというのは、自動車会社のニッサンみたいなところだ。僕はその頃22歳だったと思う。電話で僕は何を話せばいいのか? どんな質問をすればいいのか? どんなことに注意して聞けばいいのか? こういったことがまず第一の試練だった。

第二の試練は、仕事内容の計画と具体的な予算を組み立てることだった。何をして、それに対してコストはいくらかかるのか? そしてそれがさらにもう二つの問題を生み出したんだ。その計画は具体的にどうやって進めるのか? そしてどうやって価格設定をするか? ということだ。

この動画の視聴者にも、特にまだこういうことに関して訓練を積んでいない時なら、幾らかでも自分に関連づけて考えてみてほしいんだけど、具体的な数字のことを考えたら、それについてまず即座に自分自身と交渉をするんだ。

それで「これだと予算オーバーだ。クライアントはこのコストは支払えないだろう」ということがわかる。

そこで見積もりコストを削減していって、ちょうどいいところまで落とし込んでいく。

あるいはそれと逆のことも起こる。

つまり「ニッサンの案件だ。とても大きな数字が見込めるぞ。」そこであらゆる事項の数字を盛り込んでいく。提案書を作成してそれが17ページにも及ぶ。それを提出する。そうしたら向こうから返事はなく、話は自然消滅して流れてしまう。

これはどういうことなんだろう。

これはお金のことをまず最初に話していなかったために、ずっとモヤモヤと疑問が渦巻いていたということなんだ。

 

M: 多分誰もが思い当たる節があると思うけど、実際にそれに対して対処法を講じる人はあまりいないような気がするね。あなたはどういうきっかけで、そこを改善してビジネス上の成功を達成しようと思ったの?

 

C: 答えは単純だよ。「負ける(失う)のは最悪」(Losing sucks)だから(笑)

「これだ!」というプロジェクトにたどり着くような出会いもあるし、「これじゃダメだ」という形に行き着いて、物別れになってしまうことだってある。そうなったら他の人を雇わなきゃいけない。

 

M: そうなったらなお悪いよね。

 

C: うん。ビジネスで負ける時の味は苦い。その嫌な味を繰り返し経験して慣れようなことになりたくはなかった。

そこでプロデューサーをやっている人たちと繋がるように心がけて、(そんなにすごく多くの人ではないけど、)出会った人全員に、「こういう大きなプロジェクトについて知識や経験豊富な人を誰か知りませんか?」と聞いて回ったんだ。

そこで期待が実現した。

2回の電話の後、キャロラインという名前の女性と出会った。キャロラインは僕のところにやってきてそういった仕事関係のちょっとした手伝いをしてくれた。

彼女はとても寛大で、「このくらいの手伝いなら何のコストもかからないわよ。大したことないわ。あなたにいいプロジェクトが回ってくれば、私にもいい仕事が巡ってくるじゃない」と言ってくれたんだ。

彼女はそうやって手伝ってくれただけじゃなく、エクセルスプレッドシートで5ページの文書をファイルで残してくれた。

彼女は自分の持っている知識や知恵を包み隠さず僕に共有してくれたんだ。

こういう姿勢は素晴らしいと思う。

残念ながら僕らはその時仕事は得られなかったんだけど、彼女がその時僕に残してくれたものは、どうやって仕事を獲得するかということへの深い洞察だったんだ。それがまさにプロジェクトを即座に獲得できるようになるための道のりの始まりだったんだ。

 

参照リンク : Why Every Designer Must Learn How to Sell / Chris Do – Service Design Show (CC BY 3.0)
当記事はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license / CC license)に基づいて編集しています。

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