グラフィックデザイナー : エレナ・シュレンカー “6つの真実” – Made by Few 2015

エレナ・シュレンカーは、あらゆるグラフィックデザインに精通したアートディレクターです。この動画では、彼女が自主プロジェクトを行う上で大切な事、また自身の経験から発見した「6つの真実」、働き方について等を紹介しています。※以下翻訳内容です。

 

私はエレナ・シュレンカーです。私は、グラフィックデザイナーそしてアートディレクターとして、個人でスタジオをもって活動しています。

このスタジオで、さまざまなクライアントの仕事を受けています。本やアーティスト、小規模な個人出版社、大規模の出版社の仕事をしていていて、ビジュアル・アイデンティティやインタラクションデザインを作成したり、製品デザインや文具デザインも手がけています。

かなりたーくさんの印刷物、例えばポスター・パンフレット・レポート・背景とかを製作しています。私の作品のテイストみたいなものを、もうちょっと紹介しておこうと思います。今回は、そこまでクライアントからの依頼作品について深くお話できないので。

デザインのスタイルについて

私のスタイルにはいくつかの特徴的だなと思う点があります。私は全体的に仕事をするのが好きで、ロゴだけといったようなのが、一番好きじゃないスタイルです。だから、ジョップリンみたいな、ロゴだけを何千個も作るっていうのは、私にしてみれば悪夢みたいなプロジェクトです。もちろん、ビジュアル・アイデンティティをデザインするのも大好きなんですが、そのビジュアルのあらゆるピースを見ていくようなことが好きなんです。ということで、特に小規模なブランディングプロジェクトが特に好きで、ロゴは最も重要なパートではない、と感じるときすらあるくらいで。とにかく、いろいろなピースを全て見るのが本当に好きなんです。

それ以外では、プロダクトの細かなところが大好きです。デザインの楽しみの半分は、少なくとも物的なものに関しては、製造そのものが私が作り上げるものをコンセプトとしてどのようにサポートできるかを考えることなんです。コラボレーションも大好きです。というのも、普段ひとりでデザインをしていることがほとんどなので、できる部分に関しては、書体デザイナー、イラストレーター、写真家とチームを組むのが好きですね。最近では、クライアントの中には、雇い主というよりかは一緒にコラボレーションする人という風に感じるようになったという声もあって、私にとっては完璧な状況になってきています。

そして、自分の実績を多様性に富んだものにし続けるようにしています。先ほどお話ししたように、あらゆるさまざまなことをしていて、これは、私にしてみれば、デザインを面白いものにし続けるためなんです。私はもともとエディトリアルデザインからキャリアをスタートさせたんですが、1日中ひとつのことをしなければならない、というのは気が狂いそうなことだったというのは、おわかりになると思います。

 

自主プロジェクトについて

そして最後に、自分自身のものを作るのが好きです。パーソナルな作品は私の実績・キャリアにとってとても大きなパートを占めています。これは私の雑誌、「Gratuitous Type(無償の書体)」で、発行を始めて5年くらいになります。私はこれを「書体パンフレットのパンフレット」と呼んでいます。自主出版しているもので、基本的に全部自分でやっています。出版もデザインも読者への発送もやっています。発送が一番大変なんですが。他には、今年「Less Than 100(100未満)」というポップアップ・ショップを立ち上げました。この話は後で触れますね。でも、今日のお話のメインは、パーソナルな作品と今までの私のキャリア、そして今まで取り組んできた自主的なプロジェクトに焦点をおいています。

■ 6つの真実

これまでの仕事をする中、自主的なプロジェクトには6つの真実みたいなものがあると学びました。

1.やればできる

最初の真実は、それが実行可能なものであること。とてもシンプルに聞こえると思いますが、キャリアを築いていく中で早い段階で認識した最大の真実です。最初は、私の場合は大学の頃でした。ピッツバーグ大学に通ったのですが、そこではデザインの専門コースがなく、リベラルアーツの学校で、スタジオアーツ(制作)マーケティングを専攻していました。

18歳の私にとっては、とても理にかなったことだったんですが、おかげで最初はとても苦労しました。ということで、自主制作やインターンシップを多く経験しました。そして、その頃に、デザイン経験がもっと必要だと自覚させられました。そこで、その前からずっと雑誌に強い興味があったということもあって、自主制作の雑誌を立ち上げたいと考えるようになりました。

そして、実際に立ち上げたんです。題材を集めて、記事を書き、大学で資金集めをして、市からの助成金を取り、広告を売り、印刷機を見つけました。ちなみに、それまで印刷機を使って作業をしたことなんてありませんでした。そして、もちろん、雑誌のデザインもしました。全てをやるのに1年かかりました。このプロジェクトのために約15000ドルを集めたので、初版は無料で配布することができたんです。

そして、「Original(オリジナル)」という雑誌を出版しました。決して美学的観点からして秀でたものではないんですが…。実際ひどいものでした。ただ、やり遂げたんです。

これが背表紙です。こうやって、全て実行したということなんですが、これのおかげで仕事を得ることはできませんでした。私の傑作でもなけれは、これで有名になることもありませんでした。ポートフォリオにも入れていません。ただ純粋に自信をもつという観点では、私にとって大きな意味のあることでした。というのは、何かプロジェクトをやりたいと考えるとき、何かやりたいと思って実現したことがある、そしてその能力が自分にあるということを、この雑誌を見ることで振り返って思い出すことができるからです。

この頃は、キックスターターができる前で、Facebookの初期というような時期だったので、私はオンラインで資金集めはしませんでした。その頃実行可能だったものは、現代ではもっと簡単に実行できます。実行可能といっても、全てを完璧にする必要はなくて、ただ純粋に何かを始めたいと思い、お金と観客を見つけて、ひとつにまとめ上げることが、実行するということです。それは、本当に可能なことなんです。それを知っているということが、この先新しいプロジェクトに取り組む力を与えてくれます。

 

2.この先どうなるかを知っているのは自分だけ

この経験から得た別の興味深い気付きが、2つ目の真実で、それは「この先どうなるかを知っているのはあなただけ」ということです。どういう意味かというと、特に、学生だったり未経験だったりで、実績がない場合、周りの人たちが、ありがたいことにとんでもなく協力的だとしても、あなたが実際に頭の中で考えていることを知る由はない…ということです。

私の経験談ですが、「Original」を発行したとき、この雑誌に強い興味を持ってくれる人はたくさんいたんですが、その中にひとり、アドバイザーであり、私のために自身の学部からお金を捻出してくれた人がいました。彼女は雑誌についていろいろな人に話してくれて、いつも「雑誌の調子はどう?」と気にかけてくれていたんです。

雑誌が完成して、彼女に渡すと「ワオ、これって本物の雑誌みたいね。雑誌そのものだわ。」と言ったんです。もちろん、彼女は本当に良かれと思って言ってくれたんだとわかってたんですが、その時「バカ言わないでよ、雑誌に決まってるじゃない。ずっと雑誌を作るって言ってきたでしょ!」って心の中で思いました。私が何かをコピーするみたいなことを彼女が思っていたのかどうかわかりませんが、その瞬間に、彼女は本当に素晴らしい教育を受けた人だけど、それでも、「自分に見えているのと同じように、何かを見たり、自分にどのような能力があるかがわかる人は、自分自身以外誰もいない」と認識しました。

賛同し支援してくれる人をもつことは重要なことですが、ある意味では、自分自身でひとりになる必要があるんです。結局、自分がとんでもなく素晴らしく、とんでもない雑誌を作る、ということがわかるのは自分だけなんですから。そうですよね?

 

3.もう一回やってみる

そして、初号を出版した後、大学を卒業してニューヨークに移りました。知り合いもいなくて、史上最悪のポートフォリオだけがありました。仕事そのものは問題なかったんですが、デザインを盛りすぎている感じで、いろんなものをとにかく盛って「私って良いデザイナーでしょ」と見せつけるような感じでした。実際、そんな感じのひどい人に会ったこともあります。

当然ながら、デザインの仕事を見つけるのに苦戦しました。特にエディトリアルデザインを中心に職探ししていました。当時最も興味がある分野だったので。そして、遠隔で「Original」の制作を続けていました。第2号が出版された時、私はニューヨークにいて、クレイグスリストという求人広告コミュニティで見つけるような、絶対にやっちゃダメと言われているような変わった仕事をしていました。人には薦められないような仕事をしていたんです。

例えば、イーストビレッジの金持ちの子供が通う小学校の卒業アルバムの制作とかそんなクソみたいな仕事です。でもその経験のおかげで、3つ目の真実に出会いました。それは、1つ目の真実のフォローアップでもあるんですが、実行可能だけど、一度実行した後に、やり直してもいいということです。最初に挑戦した時にしくじってしまってるかもしれないから。「Original」の第2号は、初号に比べて著しく良くなったというわけではありませんでしたが、成長はありました。そして、出版を続けたんです。そして、ついに雑誌制作の仕事を手に入れることができました。

そこで仕事をしているときに、ロデール社から連絡を受けたんです。ロデール社を知っている方がいるかどうかわかりませんが、この出版社は健康・予防に関する雑誌を出版していて、もしかしたらお母さんがご存知かもしれないのですが、地元のスーパーとかで売っているような小さな雑誌です。そこで、2人のチームで20から30くらいの特集号のデザインの手伝いを不定期でやっていました。雑誌だったんですが、そこでは「Book-zine(本雑誌)」という最悪の名前でした。それって、私は死ぬほど嫌いだったんですが…。

そこでの仕事では、有名なタイトルもあるんです。スロークッカー、糖尿病予防雑誌だったり。拍手していただいて構いませんよ。「糖尿病予防」プロフェッショナルシリーズは、お近くの病院で購入可能です。「お腹を凹ます食べ物」は、アボカドを食べてお腹の脂肪をとるという内容で、それからスムージーとかいろいろあります。スムージーは担当できて光栄だと思っています。本当に誇らしいです。

夢中になって雑誌の仕事をしていた一方で、それは、やってみたいと思っていたカッコいいインディな感じのことではありませんでした。でも、本当に素晴らしくて、とんでもなく才能のある上司に恵まれました。彼女からたくさんのことを学んだんです。それがデザインスクールに通うみたいなことだったと思います。いろいろな場面で、全く同じことをしていなくても、まだ学べる場面に自分の身を置くことはできると私は思います。実際、彼女から学ぶことで、本当に貴重な経験をすることができました。

私は、自分のポートフォリオをロデール社での作品と副業で始めていたクライアントの作品でスタートさせました。副業の仕事は、友達や友達の友達からの依頼がほとんどで、その繋がりでどんどん増えていきました。それと同時に、「Original」の制作は続けていて、自分が満足できるものを作ろうとしていました。ティボー・カルマンの言葉に私が大好きなものがあるのですが、もしかしたら聞いたことがある人もいるかもしれませんが、彼が言ったのは「何もかも2回やってみろ」と。

1回目は何をやっているかわからなくても、2回目はわかる。3回目には、つまらなくなる。3回目になるとつまらなくなる…というのに賛成かというとどうかわかりませんが、1回目と2回目の挑戦に対する想いはとても重要だと思います。時には、何がなんだかわからないということもあると思います。それでいいんです。

私の場合は、「Original」を4号制作して初めて、ある程度の満足度みたいなものを感じることができました。お見せできるほどの満足度ではないのですが。皆さんにも、若かりし頃ってものはありますよね。心配しないで、後で写真が出てきますから。とにかく、そういった経験は本当に重要です。私は、4号制作して、やっと次に進む準備ができました。そして、キャリアにおいて次のステップを進むうえで、出版した雑誌とクライアントから受注した作品を携えていることは役立ちました。その時に就いたのが、コンデナスト社のコーポレートアート事業部でした。コンデナスト社で、私は記事広告のようなものをデザインしていました。タンポンの箱の写真を撮って、それをいい感じに見えるようにデザインしていく作業はとっても楽しい挑戦でした。素敵な人たちと一緒に仕事をすることができたし、その人たちと一緒に楽しいことを経験しました。

素晴らしいペーパーアーティストが作った等身大のシャンプーボトルとか。社内のカードも担当しました。チームで、コンデナストのブランド刷新みたいなことをしました。それ以外には、かなり面倒くさいこともやったんです。例えば、CEOの奥さんがボートパーティーをするから、その招待状を作成してくれないか…とか。

そこで私が学んだとても重要なことは、自分がキャリアにおいてやりたくないことです。それは、広告の仕事や巨大企業のオフィスで働くことでした。そして、言ってしまえば、コンデナストで働くことそのものだったんです。コンデナストで働くことは全く問題ないことなんですが、ただ私には合っていなかったということです。ということで、新しいことを学ぶ中で、良いことも悪いこともありましたが、まだ自分が作りたい作品は作れていませんでした。

 

4.作れば、それは実現する

そして、そのことによって次の真実に出会うことになります。それは私の夢の分野みたいなものですが、「何かを作れば、それは実現する」ということ。

ということで、これの制作に取り掛かりました。「Gratuitous Type」です。私が強く感じるのは、もしあなたがやりたいことで誰も雇ってくれないなら、自分自身の手でそれを作り出す必要があるということです。誰かがあなたが作りたいものを作ってと頼んでくるのを待っててはダメ。ただそれを作ればいいんです。ある程度の部分で、人間は本当にわかりやすくて、リスク回避するものだと思います。そして、人はあなたの過去の経験を求めるものです。

別のケースでいうと、私の場合は、ただもう少し経験が必要だったり、経験値となるようなことを何かする必要があるだけなのかもしれません。私には絶対的にそういったことが必要でした。だから、自分が好きなものを作るむず痒さを感じながら、この新しいプロジェクトに取り掛かったのです。「Original」を制作した経験から、自分に何ができて、どのように進めていきたいかということに対するより明確な感覚がありました。まず自分自身でやりたいということがわかっていました。「Original」ではたくさんのスタッフがいて、締め切りこそが自分の運命ばりに全てを管理しようとしていました。そして、貯金を始めました。広告販売も助成金申請もしたくなかったからです。

そして、是非ともインタビューしたいという人に連絡し始めました。これも「Original」から学んだ教訓の一つで、カイルも言っていたことですが、人は本当に親切なもので、ちょっとお願いすれば、たくさんのことを得ることができると。ほら、こうやって皆さんが私のカンファレンスに来てくれたみたいに。実現できました。私のちっさな雑誌で私と対談してもらえない?とか自分自身について話をしてくれない?と言えば、大抵は「いいよ」と答えてくれます。そしてその知識もあり、第1号を創刊しました。先ほどお話しした通り、デザイン業界魅力、特にページを占領する大きな文字のようなエディトリアルデザインの魅力をリフトオフする「書体ポルノのパンフレット」と私は呼んでいます。文字をそこにおくというのは、とっても簡単なことにみえるんですが、みんなこれを見ると「ワオ、すごく素敵」となるんです。それは文字通り面白いことだと思うんです。

それで、この号では、私はポルノ雑誌っぽい言葉遣いと構成を採用しています。このように中央見開きのタイプです。ここで、書体についていくつかの方法で説明をしています。例えばこのFerrisという書体では、書体に関しておきたあらゆる動きを、恋愛模様が進行しているかのような感じで説明しました。

ということで、「Original」の時と同じように、出版にこぎつけることはできました。でも、最初の挑戦で完璧にうまくいったという感じにはなれませんでした。それでも、大きく前進できましたし、自分自身でも誇らしいことだと思っています。たくさんのポジティブなフィードバックもあり、販売したいと思う書店に置いてもらえたので、これは続けられると感じました。そして、その時すでに次に話したいと思う人の候補はたくさんいました。私はいつもこのことを “誰かの秘密を盗みにいくこと” と表現しているんですが、素晴らしい作品を作り上げている人に連絡をして、どういう人か?そしてどうやって制作しているか?を聞く口実があるというのはとっても最高なことでした。

実績を積んでいくにつれて、インタビューの内容も進化していき、ただただやり遂げていくことが喜びになっていきました。そして、第2号に向けてまとめ上げる作業を始めました。ある程度の部分で、毎号デザインをし直していきたいと思っていました、というのは、そうすることで実験し続け、達成感を見出し続け、ひとつにまとめ上げることができたからです。

ご覧になればわかるように、製造詳細も毎号違います。ポートフォリオを増やし、プロとしての成長をしていこうというだけではなく、自分自身のクリエイティブな満足感を見つけるためのプロジェクトという素晴らしい副産物を手に入れることができるからです。そして、私にとってそれが続けられる理由なんです。それと同じような理由で、発行頻度については明確に定めないようにしました。なので、この雑誌は不定期で、時々出版している、という感じです。だいたい年に一度という間隔になっています。でも、2号目ができるまでに2年間くらいの期間が空いていたので、最初はとても不安でした。

そこでわかったことは、まず、現実問題、人は毎日の生活の中でたくさんのものに触れているので、雑誌のひとつを死ぬほど待ちわびるようなことはないし、なんだったら気にもしてないし、自己中心的だし、私コーヒー飲んでるからみたいな感じで、こっちがやっていることなんて気にもかけていないということ。

そしてもうひとつは、急ぐよりむしろ、じっくり待つ方がいいし、ただまぁまぁのレベルのものを大量に出していくよりは、ゆっくり時間をかけてわずかなものをこのように出していく方がいいと、私は思ったからです。

私たちは、見たり、買ったり、話したりするもので日々満たされているということもあり、一方的に設定したスケジュールに間に合わせるために作った平凡なものを発表していくことが重要だとは思いません。そして、純粋に自分勝手な立ち位置でいうと、私にしてみれば、その方が簡単だし、クライアントから受ける仕事みたいに時計と競い合わなくていい、という方がずっと楽しいことです。

クライアントとの仕事は、時計との戦いになることが多いんです。そして私は、楽しみのための仕事がしたいんです。ここで「何かを作れば、それは実現する」という真実に戻ると、第2号を発行する直前に、プリンストン建築出版(Princeton Architectural Press)での仕事に応募しました。この会社は、ニューヨークのイーストビレッジにあるアート・カルチャー書籍の出版社です。応募した仕事は、書籍デザインという、それまで経験がなかったものでしたが、採用されました。

それはまさに第2号発行直前だったので、実際面接に自分が作ったものを持っていきました。それなのに、おかしなことに、採用されたんです。そして事実として、このプロジェクトのおかげで採用されたとわかっています。

私は仕事を得ることに成功して、切れ目なくまさに自分がやりたいことにつなげることができました。そして、書籍デザイナーとしてプリンストンで働き始め、これが私が担当した本のいくつかです。

本当に素晴らしいことで、たくさんのことを学びました。自分がやりたいことがやれたんです。でも、それと同時に自分の書体の雑誌も作り続け、個人でクライアントの仕事も受けていました。

 

これが「Gratuitous Type」の第3号です。これは型抜きを使用しています。すでに触れたかもしれませんが、毎号の表紙で、なんらかの方法で内容を曖昧にするか、検閲で削除されたかのようにしています。ポルノ本みたいに。もちろん程度はさまざまですが、この号では型抜きを使ったということです。

そして、これがプリンストンでのものです。そこで、面白いことが起きました。それは、私が自分のやり方で制作を続ける中で、いろいろな人が訪ねてきて、その人たちは「Gratuitous Type」を見た人たちで、そしてこんな感じのものを私たちのために作ってくれませんか?と言うんです。私たちのプロジェクトをやってもらえませんか?と。

そして、それを受け始めて、こんな感じのもの、例えばこれは財団立ち上げのためのブックレットですが、とっても素晴らしいものでした。これには、ニューヨーク市の図書館で1万ドルの助成金プログラムに関連して、5つの自治区の人たちの素晴らしいエピソードを集めて、このブックレットを作り、地域の議会に渡すことで、公共図書館により多くの資金がいくように提唱する意図がありました。

それと同時に、このコンベイヤー(Conveyer)という名の出版社とも仕事を始めました。ジャージーシティーを拠点にしている会社で、この雑誌を制作しました。これは、面白いものを寄せ集めた感じのもので、ごめんなさい、写真が変わっちゃいました。その部分の写真が割愛されてしまってますね。

これが、最新号で古い字体で、このかっこいいタイムトラベルみたいな書体を作りました。もしこれについて聞きたいことがあれば、いろいろお話できます。

 

ということで、突然、私自身のデザイン作品に上司となるような事務所をもつことになったのです。クライアントから受ける仕事が増えてきて、限界質量に達したということもありました。プリンストンでの仕事とそれ以外の仕事を全部こなすことができなかったんです。両方をきっちりこなすことはできませんでした。そして、自分がやりたいのは自分自身の仕事であり、日々の会社での仕事ももちろん大好きだったのですが、自分自身の仕事の方が達成感があると認識しました。請求書を作るとかそういうやりたくないことも、自分のためのことですから。自分で何かをするというのは本当に気持ちのいいことです。

ということで、ちょうど2年前にプリンストンを辞めました。そのことを振り返ったことはありません。他の仕事の中でも、この雑誌があることで、クライアントからの仕事は常にあります。だからこそ、出版を続けているのです。

これが最新号、先ほども話したように、最新号です。クライアントの案件につながるだけではなく、想像もしなかったような素晴らしいことにつながるようになりました。例えば、去年の秋はロンドンに行き、素晴らしいことに「KK Outlet」で雑誌を発行し、雑誌からの作品を発表するショーを仕切り、最高の時間を過ごしました。この人たちは、「発音に問題があることを話そう」という人たちで、発音しにくい文字を掲載しているんです。例えば、わたしゃオランダ語の言葉は全く発音できない…とか。だから彼らには言わないでくださいね。

彼らはすごくかっこいいことをしていて、これは最小の印刷機と呼ばれるものです。この小さなインサートを印刷して雑誌に載せていくんです。とっても楽しかったです。

 

5.行動は価値に変わる

そして、ここから5番目の真実に結びつきます。それは「やる価値がある」ということです。「Gratuitous Type」の最新号で、「Raw Color」という名前のオランダにあるスタジオとの対談をしました。そのスタジオでは、多くの自主制作を行なっていて、その多くがデザインと織物を融合させるようなものを扱っていて、とても素晴らしいんです。そして、雑誌では、自主制作がいかに費用がかかるものかについて話しました。

でも、彼らは、その状態を完璧な方法でまとめていて、「自主制作は常に多額のお金がかかる。でもどういうわけか払い戻される。窓からお金を投げたら、ドアからそれが戻ってくる。」と話してくれました。

自分自身の仕事をするという経験を完璧に描写していると思います。というのは、誰にも指図されずに自ら何かに投資することで、とんでもなく大きなチャンスを手に入れることができます。時に、精神的にも多くを費やすことになりますが、そこにかけた熱意みたいなものは、必ずやり通せることにつながると私は思いますし。そして、窓から放り投げたら、想像もしなかったような着地をして、本当に素晴らしい機会となってドアから戻ってくるんです。

自分の雑誌を作っているときに、最初の犬を飼いました。安っぽい犬の写真ですね。ひとりで作業をしているのですが、基本的に自分の夢はすべて叶いました。特に犬を飼うという点で。ひとりでニューヨークで仕事をしていて、本当に幸せです。何年ももがき苦しんだ後、すべてがしっくりとまとまった感じです。

そして、私の彼がピッツバーグで教鞭を執ることになったので、引っ越すことにしました。これは、彼と付き合う中でずっと話題にあったことで、彼はニューヨークが嫌いなのに、長い期間私のためにニューヨークに滞在していました。でも、やっとここにいたいと思える場所に私は辿り着いたんです。だから、なんだか突然自分の人生プランを壊さなきゃいけないような感じがしました。それでも、一緒に引っ越したんです。実際、それでうまく行きました。最高の形です。

 

6. 混沌を受け入れよう

今でもブルックリンにスタジオを所有していて、クライアントの仕事で必要があれば、そのスタジオに戻ります。そこで、今まで想像もしなかったペースの変化がありました。それが、最後の真実に結びつきます。心配しないで、サーバーに載ってるから。それは、「混沌を受け入れる」ことです。一部として受け入れるということです。

引越しに関してかなりビビっていたんです。で、長い通勤時間の間、座ってワンデル・ベリーのエッセイ本「Standing by Words(言葉による裏付け)」を読んでいました。その本では、「詩と結婚」という章があって、家に帰った後、彼にその話をして、結婚とは何かという話をしたんです。というのも、結婚は揺るぎない関係性のようなものだから、ビビらないでねということです。でも、このエッセイのコンテクストは、詩も結婚も特定の制限的で妥協を求める形式を強いるものだということです。

 

これが抜粋です。地下鉄で読んでいて、混沌を受け入れる準備をさせてくれた一説です。

「忠義というものが作り上げるのは、想像を超えるところに私たちを突き動かす。この世の中は、真実は、私たちが思っているより、豊かで、心地よく、厳しいもので、一見したものは、忠実のかけらもなく、乾いた頭蓋骨のようかもしれないが、突然甘さに溢れ出す。そして、その時、今まで存在したと思っていた場所ではない、予想すらできなかったようなところに身を置いている。それは、今までいたところに留まりたいという期待なのだ。」by ワンデル・ベリー

ここ書かれている考えは、自分自身のために計画したことや目標というのは、一人称の考え方で想像したものによって制限されていて、そこに他人が加わることで、交際相手あったり、ビジネスパートナーだったり、自分が計画した特定のプラン外から出てきた何かによって、突然自分の期待を超えて、自分では決して想像しなかった方向に動くことができる、ということです。そっちの方がいいですよね。

そして、私たちは1年前にピッツバーグに引っ越しました。ピッツバーグってこんな感じなんですが、実際はピッツバーグ郊外で、ペンシルベニアです。私の犬、スーパーセイは毎日ハイキングするのが好きなんです。

 

私はというと、素晴らしいクライアントに恵まれ、ニューヨークだけではなく、それ以外からも新しいクライアントの案件を受けるようになりました。ニューヨークのクライアントは、「私たちから逃げていくのかと思ったよ、引越しなら気にしないよ」という感じです。本当に素晴らしくうまくいっています。そして、今この新しいプロジェクトを引き受けていて、これはずっと前からアイデアとして持っていたものです。ニューヨークにいたのであれば、このプロジェクトを追求しようとは思わなかったと思います。というのも、家賃は高いし、いい場所の競争率はとても高いからです。ウェイティングリストに載せてもらっても、そこから返事をもらえることなんてありませんでした。

 

まとめ

今日の話の締めくくりとして、窓からお金を投げるような、私の人生における最新の混沌について簡単にお話ししたいと思います。

このプロジェクトは「Less Than 100(100未満)」というもので、「Less Than 100(100未満)」は、男女間賃金格差をテーマにした移動式ポップアップショップです。このお店で売られているもの全ては、アメリカを拠点とする女性アーティストやクリエイターが製作したものです。

「支払われている分だけ支払う」と私が読んでいる値段体系を採用しています。どうなっているかというと、男性は全額支払います。それが緑のシールです。そして女性が支払うのは…拍手してくれてありがとう。そして、女性は男性の賃金と比較した割合の金額を支払います。そのお店がその時に所在する場所における割合を1ドル単位で繰り上げた金額です。

ペンシルベニアでは、その割合が76%なので、このお店は「76は100未満(76 is less than 100)」と呼ばれています。このように、支払った割合がわかるようになっています。

それ以外にも楽しいイベントを開催していて、現地の女性の権限が強くなるように、そして女性たちのネットワークを作る意図があります。例えば、スキル習得のワークショップ、交渉のワークショップなどを開催しました。女性は統計的に交渉を嫌がったり、交渉しないということが多いからです。

他には、小規模事業主である女性をパネルに招いて、値付けなどの問題について話し合っています。そして、出品してくれているアーティストと地元の子供達と一緒に陶器を作るというような楽しいイベントも行っています。子供達は、本当に面白い質問をしてくれるんです。例えば、男性が女性の格好をして買い物をすれば、安い値段が適用されますか?とか。もしかしたらそうかもしれませんね。

そしてこれはすごく最高だったんですが、このキャシー・ドラーギがバスツアーをアレンジしてくれて、お店でみんなを乗せて、ピッツバーグ中のあらゆる女性アーティストに会いに行くというものです。そこでアーティストそれぞれがちょっとしたプレゼンテーションをして、どういう活動をしているのかを話し、そしてバスに乗って、お店に戻り、楽しくお酒を飲むという感じです。

それ以外にも、私はこのお店を子供に優しい場所にしたいと思っていました。だから例えば、あるイベントで、ドリンクを振舞っていった女性が、パーティー後に自分の娘を見てくれる人がいないんだけど、娘さんはレモネードを作るのが大好きだという話をしてくれたんです。そこで、娘さんに来てもらって、レモネードスタンドをセットしたらいいかもしれないとなりました。すると、彼女はとんでもなくプロフェッショナルなレモネードを提供してくれたんです。彼女が入れているのは、普通のシロップで、それを炭酸水に注ぐだけなんですが、これが最高だったんです。本当に最高だったわ。

それと、お店には無料で持って帰れる賃金格差について取り上げた新聞を設置しています。新聞には、人種による割合についても掲載していて、というのは、有色人種の状況はもっと悪いからです。また、職場や地方政府に対して意見を出したいという人へのアドバイスも掲載しています。すごくおかしなことは、2週間くらいオープンするのですが、そんなに賑わうことはありません。イベント以外の時は、基本的に私だけがお店でうろうろしているような感じでした。

そして「平等賃金の日」があって、それはオープンして1週間くらい経った時だったんですが、そこからこのお店に興味を持つ人が少し出てきた感じでした。簡単なことですよね。例えば、「国民のハンバーガーの日」みたいなもので、そこで簡単にハンバーガーについて知ることができるんです。その「平等賃金の日」について記事を書きたいという人がいたみたいで、そこからあっという間にSNS上で拡散されました。

そこから数週間の間は、NBCのニュース番組に出演したり、ローカル番組に出たり、同時にたくさんのことがあって、待ち伏せされることすらありました。そして、ブラジルやドイツからも連絡があったりと、とにかくクレイジーな感じでした。こんなところまで広がるとは!という感じです。

ドアから戻ってきたものがどれほど面白いものかということです。このことで、ヘイトメールもたくさん受け取りました。ヘイトメールを受け取り始めたってことは、何かを成し遂げている証拠ですよね。全国の人たちから前向きなコメントを聞くようになり、自分の住む街で同じようなプロジェクトをやりたいという声もありました。そこで、タミー・マーキアーというアーティストが「66 is Less Than 100(66は100未満)」に向けて作業していて、66%なんてひどいですよね、それはニューオーリーンズで11月頭にオープンします。彼女がほとんどの作業をしてくれていて、私はオープン中の2週間店頭に手伝いに行きます。今、ブルックリン・サンフランシスコ・プロビデンス・トロント・アムステルダムといった都市でこのプロジェクトを実施する方向で話が進んでいます。本当に素晴らしいことです。

 

この辺でおしまいにしようと思います。こういったこと全ては、自分で求めていなかったたったひとつの出来事から始まったんです。そこでは私はしくじっていますが。でも、そのステップを踏むことで、自分にできることがわかり、そこから学ぶことができ、それが完璧なものではなくても、とても多くのことに導いてくれました。

ここでひとつボーナスの真実をお話しします。これは私自身の真実ではなく、私に真実を大切に思わせてくれた人のもので、それは私のお父さんです。あなたのお父さんも同じようなことをしてるかもしれません。彼の真実は、「自分のことを真剣になりすぎるな」という念押しのようなものです。私はこの仕事も、プロの仕事も、クライアントの仕事も受けています。それが好きだからです。そして、それが楽しみだからです。誰かに注目してもらえるからというわけではありません。もしその仕事を楽しんでいれば、他のことなんてどうでもいいと思うんです。

つい最近の話では、ここに来る話をしていて、父は「どうしてお前に話をしてもらいたいなんて思う人がいるんだ?」と言っていました。「そうね」と。そして、ひとつだけ言っておくよ、と。「お前が生計を立てるために何をしているのかさっぱりわからないが、大抵の人も同じだからな」と言いました。「自分自身のために、話をしてきなさい」と。

ということで、これで終わりたいと思います。どうもありがとう。

 

参照リンク : Elana Schlenker – Made by Few 2015 – Few (CC BY-SA 3.0)
当記事はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license / CC license)に基づいて編集しています。

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