機能性と品質の良さを感じさせる上品な野菜のパッケージデザインです。
野菜の形状に合わせ下から上に広がる透明で開放的なパッケージのセンターに、品の良いベージュで帯をデザインし、白い楕円形を重ねて、もっともアピールしたい野菜がもつ栄養機能についてのコピーをゴールドで大きく打ち出しました。
楕円形の内側には植物柄をラインに合わせて配置し、野菜の品質の高さが伺える高貴な印象のデザインに仕上げました。
品名は楕円形のスペースの上に白色でスマートに配置し、パッケージの下部分には目に留まりやすい濃いワインレッドで、具体的な栄養成分の量をイラストを使ってレイアウトしました。
透明フィルムから見えるグリーンの葉に寄り添うような穏やかで上品なベージュ、そして注意を引くピンクで構成されたデザインは売り場で他の野菜と差をつける特徴的なパッケージデザインです。
栄養分にフォーカスした野菜パッケージデザインで意識したいこと
栄養分にフォーカスした野菜パッケージデザインにおいて「高級感・上品さ」は重要なキーワードです。一般の野菜パッケージでは、野菜そのもの、つまり野菜の新鮮さを前面に押し出したデザインのものがほとんどです。
同じ野菜でも、栄養分にフォーカスを当てる場合、その栄養分が「付加価値」となり、一般の野菜とは一線を画したものになります。デザインの技術をパッケージに活用することで「高級感・上品さ」を演出できます。「高級感・上品さ」の演出で重要なのが「カラーリング」と「装飾」です。
栄養素のイメージをカラーリングで表現
野菜などの食品にはイメージカラーがあります。人参であればオレンジ、大根であれば白といった具合に野菜の色がイメージとして私たちに刷り込まれています。野菜のパッケージの多くは野菜本来の色を見せるために、透明のポリ袋が使われていることが多いです。
作例ではリーフレタスのもつ「ポリフェノール」と「カルシウム」のイメージカラーをパッケージに採用しています。普通のパッケージであれば、リーフレタス本来の色である「緑」や「赤」をきれいに見せるために透明のポリ袋を使います。栄養分にフォーカスをあてるため、あえてポリフェノールのイメージカラーである「ワインレッド」とカルシウムのイメージカラー「白」がパッケージ中央に使用されています。
装飾で商品をワンランク上のステージに上げる
パッケージの「装飾」を工夫することで、野菜の高級感・上品さを演出できます。フラワーショップに置いてある花束と野菜の産直ショップの花束をイメージしてみてください。フラワーショップの花束の場合、茎部分をまとめている部分には、アルミホイルのような銀紙や透明のフィルムに装飾が施されたものが使われています。対して野菜の産直ショップに置いてある花束の茎部分には、古新聞やシンプルなビニール袋やポリ袋が使われています。
同じ花の種類の場合どちらが高級で上品なのかは一目瞭然です。野菜の高級感や上品さも同じ原理で演出できます。作例では、袋の下部分、マチの部分に植物の模様をデザインしています。普通の植物のツタをプリントするのではなく、シルエット状にプリントして野菜の高級感や上品さを演出しました。
パッケージデザインに世界観を与えることで「高級感・上品さ」が演出できる
高級感や上品さを野菜のパッケージデザインに反映させるためには、デザイン全体に世界観を与えることが効果的です。作例のような栄養素にフォーカスしたパッケージでは、栄養素がもつ働きや特別感が重要になります。
制作パッケージデザインに対する感想
VOICE
ナチュラルさを演出できるベージュがヘルシーなパッケージデザイン
野菜を色鮮やかに見せるくすみカラーが魅力
中央に帯のようにあしらわれたベージュは、両側にクリア面から顔を覗かせる野菜をより鮮やかに見せてくれるヘルシーなカラーリング。カルシウムとポリフェノールという伝えたい栄養素を掲げた白い楕円と組み合わせると、テーブルクロスとお皿のようにも見えてきます。ポリフェノールをイメージさせる落ち着いたワインカラーも、食欲をそそりますね。野菜というとフレッシュ!元気モリモリ!といった明るい色をイメージしがちですが、それだとパッケージの中の野菜が負けてしまうことも。こちらのベージュは、ナチュラルな風合いで清潔感もあり、オーガニックな雰囲気を添えられる色といえますね。
ボタニカルな白色のパターンがワンポイントに
パッケージの下部は白いグラデーションがかけられていて、清潔感があります。植物のツタのような模様もナプキンやカトラリーにあしらわれた模様のようで食べ物のパッケージにふさわしいですね。暮らしに溶け込む包装は、全体的に清潔感があって、毎日目にしても飽きのこないパッケージデザインといえるのではないでしょうか。
VOICE
エイジングケアを気にする世代に説得力がありそうです。
透明感のある袋のため、リーフの色合いがより感じられるように。2色のリーフが左右に配置され、他にはないパッケージに感じました。栄養分にフォーカスしたとのことですが、ポップなフォントや色合いを使わず、あえてエレガントなイメージにして伝えたところに注目してしまいました。誰にとっても必要な栄養素ですが、特にエイジングケアを気にする世代が注目しているのではないかと思います。
「食卓をオシャレに彩りながら、不足しがちな栄養素も摂取できる」と捉え、快く購入する方もいるでしょう。穏やかなベージュはリーフを邪魔せず、深みのある文字をより上品に引き立てるように。栄養素の具体的な数値や手間暇いらずに食べられるなどのメリットを、ほどよく目立たせています。下部にあるリーフ模様は白にすることで強く主張せず、躍動感でイキイキとした印象に。決して派手さはなく、文字量の多い説明もないのに、細部の工夫から説得力の強さを感じました。いくらリーフが新鮮で品質が良くても、それだけで魅力を感じさせるのは難しいところ。邪魔しすぎないちょうどいいデザインで、購入者にアピールしているパッケージだと思いました。
※掲載デザインサンプルのモックアップはイメージです。実際の製品・パッケージと仕上がりが異なる場合がございます。