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パッケージデザインを製造と共に考える

デザインと製造、2つのマインドを持つ事の利点

パッケージデザインを製造と共に考える

パッケージデザインは、商品最後の広告とも言われており、商品の売り上げを左右する強い力を持っています。それゆえに各企業が斬新なパッケージや、使いやすいパッケージを生み出し続けていると言えるでしょう。

そんなパッケージデザインに、私たちディレクター・デザイナーはどのように向き合えば良いのでしょうか。そんな記事を、海外のデザインWEBマガジン「JUST™ Creative」よりご紹介したいと思います。以下、翻訳内容です。


デザインと製造することは全く波長の異なるものに見えるかもしれません。

デザインはクリエイティブで視覚的ですが、製造することは構造的完全性が重視されます。

異なるアプローチではありますが、これら2つが合わさって初めて完全なパッケージが生まれます。つまり、実用的でありながら、目を引く視覚デザインを備えた、完璧なコンビネーションです。多くの製品の主なエッセンスは機能性や構造ですが、素晴らしいパッケージデザインは製品をもう一歩上のグレードへと導きます。

 

パッケージデザインを成功を導くには

多方面からの考察が鍵

パッケージデザインの多様性

パッケージデザインを成功させる鍵は、色、模様、質感を効果的に使って人の気を惹くことです。こうすることで人は自然に製品に目を向け、興味を持ってくれます。目標を達成するには、まずこういったことを理解している代理店、製造担当者、協力デザイナーを探すことです。

商品パッケージの視覚的デザインを始める前に、まずあなたのターゲットとする市場を理解する事が必要です。デザインは創造力の傘下に置かれがちですが、ビジネスマーケティングは最終的なデザインを定めるために、非常に重要な要素です。見込みのある消費者の人口を把握することが、最終的なデザインを決めると言えるでしょう。

ターゲットが定まったら、趣向を探り、構成を練りましょう。パッケージに余白はどれくらい設けるか、統一感は持たせるのか、色はどうするのか等、デザイン要素について考えることで、商品パッケージが消費者に対する影響因子となっていきます。統一感は、デザインが視覚的・概念的、またはその両方の形で一体となることで感じられます。統一感のあるデザインは秩序立って見えますが、おもしろみのないデザインになるリスクもあります。

良いデザインを作るためにはバランスと多様性を見つけ、視覚的に魅力的でありながら視覚要素だけにとらわれないデザインにすることです。

 

デザイン要素としての「余白」は、メッセージやデザインをどのように見せるかの判断材料となります。消費者へ効果的に商品を伝えるためには、余白の使い方は重要です。消費者がどこを見たらよいのかを考える必要がなく、彼らの目が自然とデザインの焦点に合うようにしなければなりません。

また、色は最も重要なデザイン要素として定義されることが多いものです。見る人の感情を呼び起こす助けになるからです。色の与える感情的なレスポンスは、あなたの製品のターゲットとなる市場を分析する際に重要なもう一つの因子と言えます。

そして、色は文化的背景や教育に大きく影響されます。マーケティングとパッケージデザインのブランド戦略を立てる際にデザイナーが考慮すべき重要な要素は、暗い色は明るい色より先に見えるため、わかりやすい色の使い方は消費者が製品を理解する手助けになるということです。

 

製品のパッケージデザインをする時、製品とその利点だけではなく、企業のビジョンと企業が何を表すのかを伝えなければいけません。デザイナーは、色やレイアウト、写真などをフル活用してそれに応えなければいけません。また、製造の立場から考えれば、短時間で組み立てられる構造・設計かどうか、という点も考慮する必要があるでしょう。

製品の利点を伝えるスペースをパッケージに作る必要もあります。もし製品が大きなものなら、スペースに困ることはないでしょう。しかし、もし製品が小さければ、販売文句や写真などのためのスペースをしっかりと考える必要があります。

 

企業のアイデンティティを忠実に伝えるオリジナルのパッケージデザインを作るためには、必要な製造知識を持ち合わせていることが大切です。例えば、独自の質感を与えたかったり、パッケージに個性的な形が必要だったりすれば、コンバーターや仕上げ担当者はそれを量産するための知識・技術が必要になります。現代の技術はデザイナーの創造力に応える柔軟性があります。

 

使いやすさ(実用性)を考慮したデザイン

実用的なパッケージ

グラフィックデザインは視覚的に刺激されるものですが、機能的な役割は果たしていないこと覚えておきましょう。視覚的デザインと構造デザインがうまく連携して、はじめて最終的な製品は魅力的なだけではなく、より実用的になるのです。そしてこれは絶対に理想的なコンビネーションです。

 

ブランド力のあるデザインを作るためには、製品のゴールを考えて、製品を初めて見た人がそれを使うまでの過程を考えましょう。

例えば、ランプをデザインしているなら、誰かがそれのスイッチをつけて、その光が色と素材を通じてどのように反射するのか、どのような部屋に合うのかなどを考えてみましょう。もちろん、安定性があるか、他の家具と合うか…などもです。しかし、素材をクリエイティブに使うことを忘れないでください。最後には、質感、模様、素材感がデザインを引き立てて、人々に購入のキッカケを与えてくれるでしょう。

教訓として、パッケージのブランディングは企業そのものとして考えられなければいけません。製品を探す時に、消費者は製品を見てから4秒でそれが自分に合っているかを決めます。

すなわち、シンプルなパッケージデザインを貫き通すことが必要不可欠です。自身のブランド名が真っ先に見えるように書いてあって、その製品が何なのか、何の為に使われるのかが簡潔に説明されているものは、シンプルなデザインだと言えます。デザイン要素がブランドと合ってなければ消費者は困惑してしまい、製品を的確に表現したパッケージデザインを行っている他のブランドへ行ってしまうでしょう。製品を明確に表現している事、ブランドに対して正直であることが必要です。

パッケージデザインの際に考慮しなければならない2つの重要な要素は、誠実さと実用性です。消費者に信念をしみ込ませることはブランドマネージメントとマーケティングの必須構成なのです。あなたのパッケージや広告に表されているイメージやスローガンが、消費者が購入する製品について誠実であることはきわめて重要だと言えます。もし箱の画像やキャッチコピーが内容物にそぐわないなら、消費者の信頼は失われ、もう二度とあなたの製品を買わないかもしれません。

 

使いやすいパッケージ

その一方で実用性は特に製品パッケージの構造や素材のことです。(ボール紙やプラスチックなどの材質の選定や、容器のサイズ・形とその機能性)
パッケージが実用的であればあるほど、売り上げも伸びると推定するのは理論的なことです。これの良い例はハインツのケチャップがガラスのボトルから、プラスチックの上下逆さのボトルに変わった時の売り上げの伸びです。

実用性とは、その製品をどのようにして使いやすく、持ち運びやすく、保管しやすくするかです。パッケージデザインの過程の本質的な部分は、容器は消費者が最後に手にするメッセージであり、ブランドが彼らに購入してもらうための最初で最後の機会だということを忘れない事です。

はじめからチーム全体で実用的なデザインを作るんだと指針を立てた方が良いでしょう。こうすることで、デザインも製造も同時並行的に戦略を立てる事ができ、全ての要素を一度にデザインすることで、時間と費用の削減になります。

コンカレントエンジニアリング(=複数の工程を同時並行で進めること)の基礎的な考えは、実用性・生産可能性・組み立て・持続性に加え、製品が環境に及ぼす影響と、リサイクルを含む製品のライフサイクルを包括しています。さらに、そうした同時並行が生産性と製品の質を上げることができます。このほうが、ブランドの間違いを過程の早い段階で直すことができ、後で高い費用を使わなくて済むからです。

 

外的なインスピレーションを求める事を恐れない

 

もしあなたが視覚的に興味を持つものがあれば、他者もそれに興味を持つ可能性が高いでしょう。今のトレンド色を使う事の意義を調査しつつ、自然にデザインインスピレーションを受けるようにしましょう。

インスピレーションを豊かに

ポップカルチャーに影響された商品のほとんどと同じように、パッケージデザインにも流行があります。2015年に多様なデザインと文字を使う傾向が表面的になりはじめました。中でも目立つのは、コンピュータで作られたタイポグラフィから遠のき、生の要素を反映するデザイン要素を加えたものです。手描きのような自然さと、中間色を使ったビンテージ調のデザインと言えるでしょう。

これは生産性を考慮した商業的設計からの分離であり、デザインを通じて人間らしさを再設立させようという試みです。「過ぎたるは及ばざるが如し」という格言は現代のデザイントレンドの証明と言えます。微細でオーガニックな色使いと融合された手描き調デザインとロゴは、うるさく、元気で、眩しい定番デザインから離脱したものです。

 

エコを意識したパッケージ

また一方で、デザインは自然から影響を受けた、製品体験に価値を与えるようなパッケージが作られています。素材は慎重にセレクトされ、触感の体験ができるようになっているのです。パッケージの改革的な体験は生物と生態学からインスピレーションを受け、「地球的な」持続性に踏み込んでいます。

これからのパッケージデザインの鍵となる考えは、その素材が再利用できるかどうか、時には食用であるかどうかです。環境的な責任は、エコフレンドリーな製品を好んで購入する多数の人に語りかけ、ブランドの純粋で社会的な意識を反映します。

インスピレーションを見つけて様々なフィールドの資源を利用することで、あなたのデザインがエッジの効いたものになります。消費者は自らを関連づける事のできる製品や、自らのライフスタイルに合った製品に自然に惹き付けられるのです。

ブランディングとパッケージデザインはマーケティング戦略の全体を構成し、消費者が魅力的だと思うものの正確な理解は多くの場合外的原因によるものなので、すなわち外的原因をインスピレーションに使うことが鍵なのです。これらの視覚的ツールをパッケージデザインと合体させることは、完成した製品がより消費者と共鳴し、より大きな印象を与えるということに繋がります。
また、パッケージをクリエイティブに使うことで、ブランドのマーケティング価値が加えられます。独創的で巧妙なパッケージデザインは、製品を完全にするだけではなく、時にはそれを持ち運ぶ時間の価値さえ高めてくれるでしょう。

 

演出としてのパッケージ

実用的ではなく、関連性を表したり美的な用途に使われたりするパッケージもあります。その代わりに製品のブランドマーケティングに影響させるのです。

パッケージデザインの美しい所は、製造からの見方と視覚的(デザイン的)な見方の両方の専門技術を合わせることができるからでしょう。生産者がデザインの可能性を定め、デザイナーはクリエイティブな未来像を実現させるために、素材や全体的な構成の話ができれば、あなたはもっと自由なデザイナーになることが出来ます。最終的には、このパートナーシップはより賢く、より魅力的な製品デザインを可能にするのです。

 

出典 : JUST™ Creative ※翻訳・編集・掲載許可をいただいています。

 

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