溶けゆくブルーの液体が、変化するサウンドをイメージさせるチラシデザインです。
使用する色を絞ることで、シックで落ち着いたイメージのチラシデザインに仕上げています。独特のイベントタイトルロゴも全体の雰囲気とマッチしています。有機体が解け合うような、不思議なイメージを形にしたアンビエントなデザインです。
デザイナーの振り返り
■ 液体が水と混じり合う有機的なビジュアルが、細胞融合というイベントタイトルとマッチしています。
■ 濃淡のはっきりした紙面が特徴のチラシですので、文字要素であまりそれを邪魔しないように気をつけました。ビジュアルの中に内包するような形でレイアウトしています。
■ ゆとりのある、余白を効果的に活用した、目をひくチラシデザインです。
流動的なデザインが音楽性と重なるチラシ作成例
プログレという音楽ジャンルは比較的新しい分野ではありますが、一言でその音楽性を総括するのは大変困難です。ある意味、各ジャンルのどこにも属さない独自性を持った音楽の総称と言えるほど多彩なミュージシャンを包括してそう称されてきた歴史がありますから、この言葉だけで初見のミュージシャンの音楽性を想像するのもまた、大変困難なことと言えるでしょう。
しかしこのチラシデザインならば、ライブの雰囲気や音楽性までを、何となくでも思い浮かべることができるのではないでしょうか。見ようによっては何らかの有機的な生命体にも見えるような、コントラストの強いモチーフがメインになっているこのチラシは、繊細なフォントデザインやドットのグラデーションを用いた円形プレートの効果で非常に幻想的な印象を抱く構成になっています。
その反面、無機質でクールなイメージを演出するのに効果的な濃紺や青のカラーリングで、ミステリアスな雰囲気も同時に漂わせることに成功していますから、音楽性を想像するには充分な要素を視覚的に表現し切っていますね。水に落としたインクが広がっていくような形状の液体は、心をざわつかせるような不安な造形を描き出している部分もあり、強いコントラストを視界にとらえた人の中には、思わず二度見してしまう方も少なくないことでしょう。それだけこのチラシには、じわじわと迫りくるようなインパクトがあります。
目立つチラシと言っても、その方向性は様々
チラシに求められるものは、集客に繋がる訴求力の高さですが、このチラシはデザインと構成だけでその役割を半ば以上に果たしていると言えます。情報を伝達するためのフォントの存在感がギリギリまで下げられているのは、この画像が持っているミステリアスな空気を阻害しないよう、明確な意図が込められているからです。多くのクライアントがチラシを作る際に求めてくる条件のひとつに「目立つように」というものがあります。しかしそれは、単に多くの情報を詰め込んで、フォントを大きく表示すればいいというわけではありません。
提示された情報を精査し、優先順位をつけ、目的の情報伝達のために必要な素材を作り、アプローチしたい層に訴えかけることができる構成を組み上げた上で、情報を伝えるための文字を選択し、あらゆるパーツとの関係性を考察してこそ、初めて訴求力の高い「目立つ」広告を作成することができるのです。そういった意味でも、余白の有効性を徹底的に生かし、情報を敢えて希薄に表現することによって強い印象を網膜に刻むこのデザインは、非常にプログレ的な表現であると言うこともできますね。ライブの方向性を体現したチラシに仕上げました。
制作フライヤー・チラシデザインに対する感想
まさに、今にも融合が起こりそうな幻想的なフライヤーデザインになっています。
水の中に絵の具を溶かしたような背景デザインは、まるで自分ふがその水の中に浮かんでいるような錯覚を起こしそうな雰囲気を感じ、少し恐怖に似たような怖い気持ちと、そこに混ざってみたい洗脳的な印象も受けました。タイトルのデザインは幻想的な印象が更に深まるミステリアスな雰囲気になっています。
全体的に不思議な印象が強いフライヤーですが、その中でもライブ情報などの情報がその雰囲気を劣らせることなくその空間にマッチした上で掲載されていることがすごいことだと思いました。丸いデザインの中に文字を載せることで、周りの印象を崩すことがないものなのかと思います。そのように工夫された上でライブ情報、そして地図などもわかりやすく掲載されています。イベントタイトルのテーマとマッチしたデザインのフライヤー。このミステリアスな空間に吸い込まれてみたい…そんな気持ちになってしまうフライヤーデザインです。
最低限の情報で、アートワークを全面に押し出したデザインがカッコイイですね。
個性的なアートワークを多く見かけるイベントやライブのチラシデザインですが、この場合には青系の色を中心に作成されています。夜に開催されるイベントやライブの場合には、背景を暗い色にすることが多いのですが、青とは言っても光が当たって白くなっているが特徴です。青の背景に光が当たることで、青の色が溶けていくようなイメージを演出し、1つの作品となっています。細胞融合というタイトルのように、1つの細胞が活発に活動しているような感じの絵が描かれているのも斬新でよいと思います。
字を多く用いておらず、必要最低限の案内のみになっているので、あまり文字を読みたくない人や、忙しいときでもサッと目を通して確認することができるでしょう。全体的に見ても、とても落ち着いたような感じに仕上がっていますし、幻想的な感じもするので、思わず見入ってしまいます。裏面は全く用いていないようですが、裏面に詳しいライブの内容や、出演者の写真を小さく載せておくともっとわかりやすくてよいでしょう。
※掲載しているフライヤーデザインサンプル・モックアップはイメージです。実際の用途・サイズ・仕上がりとは異なる場合がございます。