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ヤマトグループが新マークでブランドをリニューアル

ヤマトグループが新ロゴマークでブランドをリニューアル

ヤマトグループが新マークでブランドをリニューアル

クロネコヤマトの「宅急便」でおなじみのヤマトグループが2021年3月1日にロゴデザインのリニューアルを発表しました。親子ネコのロゴのデザイン変更は、1957年の登場以来はじめてとなります。また、未来への挑戦の象徴として「アドバンスマーク」を新たに設定しました。

宅配便事業を行なっているヤマト運輸をふくむヤマトグループ全体のブランドデザイン・リニューアルとなります。近年、物流業界の環境変化は加速しています。今回のブランドリニューアルにも関係しているのでしょうか。デザイン変更の内容とともに見てみたいと思います。

 

さらにシンプルになったクロネコマーク

ヤマトグループの公式サイトにロゴマークのデザインが2021年4月1日から変わることがアナウンスされています。「みなさまに親しんでいただいているマークが少し変わります」という説明のとおり、子猫をくわえて運ぶクロネコ親子のシンボルマークは変更前とほとんど同じように見えます。新しいロゴだけを見せられても、どこが変わったのかわからないというひとが少なくないのではないでしょうか。

ビフォー&アフターを並べて比べると、確かに変わったことがわかります。思いのほか違いは大きいです。全体から受ける印象が大きく変わらないように慎重にデザインされたのでしょう。ロゴマークが新しくなってもヤマトグループの核である運送サービスのエッセンスが変わることはない、というメッセージが込められているように思います。

オリジナルのシンボルマークでは、交差した前足と顔の輪郭がネガティブスペースで表現されていますが、新ロゴでは親子のシルエットはひとつのかたまりとなっています。また、左右の足は描きわけられなくなりました。耳、足、尻尾の先端の処理も変わりました。耳の角度や顔のプロポーションも異なるようです。黄色い背景を囲むアウトラインも取り去られています。全体にやわらかい、モダンな印象になりました。

「クロネコのマークは、目や耳など、細部のかたちまで、あらゆる可能性を検証しました。背景には、クロネコを囲うだけでなく、やわらかく広がりのある楕円を採用しています」(公式サイト)

ネットには変更を惜しむ声があげられています。いまでも古さを感じさせないオリジナルロゴの素晴らしさもあらためて感じます。フラット化とミニマル化をよりいっそう進めたのが新デザインといえるかもしれません。輸送用のボックスやバッグなどへ展開例が公表されていますが、ここにもロゴリニューアルの意義が感じ取れます。

環境に配慮したコーポレートカラー

コーポレートからも刷新されます。集配用トラックなどに使われている青緑(ヤマトグリーン)とクリーム色は廃止されました。メインカラーは、これまで使われてきた黒と黄で、新たに白とグレーをサブカラーとして加えた4色が新しいコーポレートカラーです。黄の色合いはオリジナルから微妙に調整されているようです。




集配トラックの新しいカラーリングを公式動画で見ることができます。荷室はグレー地になり、右上に新しいロゴマークがレイアウトされています。また左下の黄色い弧は、太いブラシを使ってフリーハンドでぐいっと描いたようなデザインです。動きを感じます。

新しいコーポレートカラーについて公式サイトには次のような記述があります。

「どのようなかたちになっても環境にノイズを生まず、それぞれの土地に根差し、自然に溶け込むように配慮していきます」(公式サイト)

動画の中にある、トラックが配送している様子をシミュレートした映像があり、この「環境にノイズを生まない配慮」が具体的にどういうものかが見られます。クロネコヤマトの視認性を確保しながら、景観との調和が図られているのを感じます。

 

「アドバンスマーク」は未来への挑戦の象徴

クロネコ親子については、オリジナルをベースとしたリデザインですが、まったく新しいシンボル「アドバンスマーク」が今回のリニューアルで追加されました。

案内動画では、点グリッド上を小さな三角形が次々につながっていってシンボルマークが構成されます。キラキラと輝いているように見えるステキなプレゼンテーションです。できあがったシンボルはクロネコ親子の顔を重ねたような形状です。

点と点を結ぶ線のイメージは、宅配という運送業態とマッチします。しかし、この新しいアドバンスマークは、既存の運送サービスのためのものではありません。動画内のドローンのボディに描かれていることからもわかるように、これからの事業のシンボルです。公式サイトには「既成概念に捕らわれない、新しい価値提供への挑戦の象徴」と説明されています。宅急便事業の枠を超えるネットワークで稼働する大型車両ではこのアドバンスマークがメインとして扱われるようです。

数年前から再配達問題が注目を集めてきました。また、新型コロナ禍で「置き配」も一般化しています。最近では配送ロボットの実証実験もおこなわれました。過疎地域での配送も解決すべき課題です。人不足、ECの拡大など宅配・運送業をめぐる環境の変化はますます大きくなっています。

点と点、過去と未来、といえばAppleの創業者スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)のスピーチが思い浮かびます。アドバンスマークのプレゼンテーションの中のグリッドの点は、未来の新しいサービスや事業、技術につながるタネなのかもしれません。

ヤマトグループの前身である大和運輸株式会社は1919年の創業です。2019年に創業100周年を迎えました。ヤマトホールディングス社長の長尾裕氏は、あるインタビューで、宅配以外の新事業については「第二の創業」のつもりで取り組み、ユーザーに「ヤマトって宅急便だけの会社じゃないよ」といわれることを目標にしていると語っています。

 

ヤマトグループの再編

Nagahisa_Design – stock.adobe.com

ヤマトグループの持株会社であるヤマトホールディングス株式会社がグループの経営体制を変えることを2020年1月に発表しました。同年5月には、新型コロナウイルスの影響から計画が一部修正されましたが、ヤマト運輸がグループ会社を吸収して再編し、2021年4月1日から新たな体制がスタートします。

ヤマト運輸は、「リテール」「法人」「グローバルSCM(サプライチェーンマネジメント)」「EC(電子商取引)」の4つの事業本部や「輸送」「デジタル」「プラットフォーム」「プロジェッショナルサービス」の4つの機能本部などで構成されます。

今回のブランドリニューアルもこの新体制と同時に「新たなヤマトグループの意思と、ビジョンを表すシンボル」となります。

 

原研哉氏によるデザイン開発

今回のリニューアルは、株式会社日本デザインセンターの原デザイン研究所が手がけました。ヤマトグループのサイトでは「デザイン開発パートナー」と記されています。原デザイン研究所は、日本デザインセンターの代表取締役社長であり武蔵野美術大学教授でもあるグラフィックデザイナー原研哉氏が率いるデザインシンクタンクです。

原氏はクロネコ親子のマークについて次のようにコメントしています。

「日本人の共有財産のようなものであり、数と密度においては環境デザインともいえる広がりがあります。そういう状況の中で、そのエッセンスを損なわず洗練させていくのに大きなエネルギーを費やしました」

原氏は、無印良品のアートディレクションや蔦屋書店、GINZA SIX、森ビルのVI(ビジュアルアイデンティティー)、長野オリンピック開閉会式プログラム、愛知万博プロモーションなど幅広い領域で活動しています。


【参考資料】
クロネコのマークが少し変わります。|ヤマトグループ (https://www.yamato-hd.co.jp/pr/logo2021/)
中期経営計画「Oneヤマト2023」を策定 | ヤマトホールディングス (https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/2021012902.html)
【ヤマトグループ公式】ネコマークが、変わります。(https://youtu.be/R9tmXatfWAo)

 

※公式WEBサイト情報もあわせてご確認ください。



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