クライアントはあなたの敵ではありません。同じチームの仲間になろう!

クライアントはあなたの敵ではありません

Chris Do: Your Client Is Not Your Enemy – WordPress TV (CC BY 3.0)

目的=長期的な目標

今日のトピックを掘り下げる前に、目的を持つということについて話したいと思います。

ここで言う目的意識というのは、単にお金のためということではなく、もっと根本的な、自分の存在理由・人生の意味に関わることです。

長い間、僕にとっての目標というのは、二人の子どもたちを含めた家族を養えるだけの十分なお金を得ること、究極的には、もう働かなくても大丈夫なくらい頑張って稼ぐことでした。つまりは、その後の人生が満喫できるように、できるだけ早くリタイヤすることだったんです。

でも、リタイヤするために働くと、仕事のために朝起きるのが辛くなってしまうということに気づきました。壁にぶつかって、クライアントや従業員がらみで困難なことが起きて、それに対するクリエイティブな解決策が見出せなくて、気づけば午前2時。リタイヤのために我慢しているだけで、仕事自体に情熱を持って取り組めないなら、本物の目標とは言えないでしょう。

そこで、現在の僕の目的とは何かをみなさんに紹介したいと思います。僕はお金やビジネスについて話しますが、同時に人生の目的といったことを蔑ろにしたくないからです。みなさんにも人生の目的について是非真剣に考えてほしいと思います。

僕の人生の目的は何かというと、たくさんの人にデザインの仕事のことを教えることであり、 クリエイティブな人たちが力をつけて夢を叶えるのを助けることです。 なので、僕がこの20年間プロとして働く過程で学んだことをいくつかみなさんに伝えたいのですが、僕が伝えたいことは多すぎて全部は紹介できません。

目的を持つということは、つまり長期的な目標を持つということでもあります。長期的な目標というのは、人生全体だったり仕事だったり、何か自分が追究していることにおいて、今の自分の状況からはるかに改善していくような、劇的な飛躍や大きな目標のことを指します。

ゴールが実際に思った通りに達成できるかにこだわらなくて良くて、大事なのはゴールを達成しようとする中で自分が結果としてどんな人間になったか?ということです。人生において大事な意味を持つ旅になるので、よく考えてください。

ゴールは最終的な目的地なんだけど、どんな人間になりたいか?という自己実現について考えるということをしていきたいんです。

 

みなさんの多くはクライアントについてこんな気持ちになるかもしれない。

「自分のクライアントはセンスが悪い!」

このことについて一流のプロデザイナーが書いた記事があります。 『なぜあなたのクライアントはクソなのか』 「どうしよう、クライアントが話を聞いてくれない。なんなんだ!おかげで仕事がめちゃくちゃだよ」 クライアントが仕事を台無しにする。初めは良かったのに途中でどんどん酷いことになっていった。友達に見せてしまいたいくらいだ。

こんな風に思うこともあるかもしれない。

「クライアントを教育しないと」

学校でもないのに「クライアントを教育」するって…? 膨大な時間を割いても、自分の仕事が全く評価されないことだってある。

 

クリエイターとしての岐路

まず今回みなさんにやってみてほしいのは、自分の中のアーティスト的な側面を忘れて、このことについて考えてみるということです。例えば僕にとってのアーティスト・ペルソナといえば、ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)です。

ジャクソン・ポロック

「ジャック・ザ・ドリッパー(Jack The Dripper)」とあだ名されることもあるアーティストだね。

ゴッホ、彼は芸術家だ。

アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)、彼も芸術家だ。

 

今自分は人生の岐路に立っていて、大きな決断をしなきゃいけないと想像してみましょう。

僕が思うに、芸術家とは自分自身のために仕事をする人たちで、自らの世界観を作り上げてそれを世に出したいわけであって、特定のクライアントのために動くわけでもなく、自分の独特の世界観を世にひたすら伝えたいという種類の人たちです。

このような芸術家が仕事熱心で情熱的だったり、あるいは面白いアイディアがあって、それが時代や環境にマッチしていて、さらに少しの運があったりしたら、世界的に有名になって経済的にも成功する。でもそれはほとんど夢物語だ。ほんの一握りの選ばれた人しかそこに到達しないから。

 

そんなわけで、二つの岐路がある。「自分自身のために働くんだ」「僕たちにはクライアントという存在があるのだ(クライアントの存在を大切にしよう)」

どっちを選ぶか、決断をしなきゃいけない。

芸術家たちの多くは、家賃の安い地域に住んでいて、倉庫みたいなところやスタジオで絵画や彫刻などを製作するけど、それによって得られる収益があるとしても決して多くはない。自らの情熱を追究しているのであって、経済的に安定した生き方とは言えない。とても困難な生き方だ。

今日ここにいる皆さんのほとんどが、しっかりとキャリアを積んで家族を養いたいと思っているでしょう。 だから「僕たちにはクライアントという存在があるのだ」という事実をしっかりと心に留めておきたい。それをよく理解すれば、きっとクライアントに対して文句も言わなくなります。クライアントがいてこそ、僕たちのデザインという名のライフスタイル・アートや情熱が成り立つのだから。

 

まず第一に、外で講演すると必ず聞かれる質問があります。最近はさらに増えていますね。 それは「なんでクライアントはこんなに趣味が悪いの?」ということ。 その理由は、僕たちデザイナーがこういう考えを持つようになってしまったからです。

「クライアントが自分と契約してくれれば、自分のポートフォリオの構築に役に立つ」

これは昔からよくある過ちで、僕もこの間違いを犯しました。自分の生徒や、僕のチームで働いてくれているフリーランスの人たちがこういう考えに陥っているのも目の当たりにして来ました。 今回はその中から一つの実例を紹介したいと思います。

以前、元ロスのR/GA所属で、今はイマジナリー・フォーセズ(Imaginary Forces)にいるカイル・クーパー(Kyle Cooper)から、メインタイトルのストーリーボードを依頼されたことがあります。僕は当時、相手が僕の仕事に満足しているか?とか、何かおかしなことになっていないか?といったことは全く気にしていなかった。

当時の僕にとって大事なのは自分にとってカッコいいボードを作ることで、言ってみればデザインの形をした自慰行為だね(笑) 自分を満足させるためだけの非常に自己中心的な行為だったんです。今でも自分のポートフォリオのことばかり考えていて、クライアントのことをあまり考えない人も中にはいますね。

僕は1995年に学校を卒業して、実績もなければクライアントもいないのに、すぐに自分の会社を立ち上げるんだ!という輝かしい未来図を描いてました。成長したと思ったら全てを失って、もうビジネス自体を続けられないんじゃないかと思うところまで行ったりもしました。

 

自分の為ではなく、クライアントの為に素晴らしい仕事をしよう

この20年で学んだ教訓の中で、皆さんがさらに実力をつけるのに役立って、同じ過ちを犯さないために今回お伝えしたい事がいくつかあります。クライアントととても良好な関係が築ける事のメリットは多岐に渡ります。

一つは、クライアントのために素晴らしい仕事をするとあなたの価値が高まります。ウェブサイトやアプリのデザインであれ、ブランドメッセージやロゴのデザインであれ、クライアントにとってのあなたの価値が増します。 ここでいう価値というのは、大抵はお金に関することで(自分の市場価値)、単価2000〜5000ドルレベルのサイト案件にうんざりしてるなら、自分がクライアントに提供している価値について考えてみてほしいと思います。

クライアントとの良好な関係がもたらす恩恵にはもう一つあって、それは何かと言うと、彼らがさらに仕事を依頼してくれるということです。

営業やマーケティング(市場調査、顧客開拓など)については少し後で話すけど、必ずみんなが口を揃えていうのが、「自分の業績は口コミが証明してくれる」ということ。 じゃあ、実際にクライアントはどう思っているんだろう?

「ああ、うちが契約しているデザイナーは、私のことを【教育】しようとしてきたんだ。とても失礼だよ。私のビジネスにああだこうだと口出ししてきて、私がいかにデザインを台無しにしているかを延々と説教してきたんだ」 こんな口コミはイヤでしょう。

そしてこの口コミは僕が実際に自分のクライアントから(過去に契約したデザイナーについて)聞いたことでもあり、(僕の仕事を気に入ってくれたために)「もっと請求するべきだ(もっと報酬を出すよ。こんなに安くていいの?)」とまで言われました。 僕のパートナーには内緒だよ(笑)

 

今まで出会ったクライアントの多くは僕に良い言及をしてくれました。 他の人の前で僕のことを褒めちぎるので、恥ずかしくて恐縮してしまうくらいです。 でもこうして僕は自分のビジネスを成長させて実績を積み上げてきたし、誰もが夢に見るような良いクライアントに恵まれるようになったんです。

みなさんが知っているような大企業で言うなら、ナイキやヴァースポート(VerSport)だったり、 ルルレモン(Lululemon)だったり、そういう名だたるブランドかもしれない。でもいきなりそういったクライアントと仕事はできない。そういう大きなクライアントに巡り合うためには、あなたの仕事をきちんと評価してくれて、知り合いにも自分のことをお勧めしてくれるような、良いクライアントのために素晴らしい仕事をすること。そうすることで、どんどん良いループで上昇気流に乗っていくように上に行ける。

 

僕はこのステージにたどり着くまでに20年かかりました。今は一流の上場企業のクライアントと直接仕事ができています。それ自体本当に素晴らしいし、これは今述べた「良いクライアントのために良い仕事をする」ということを積み上げた結果なんです。 様々なクライアントのために自分の力のベストを尽くして貢献していると、あるクライアントから金曜の夜に突然電話がかかってきたことがあります。

「やあ、今電話をしているのは、君に感謝の気持ちを伝えたいからなんだ。どうもありがとう。 君の仕事が気に入ってるよ。良い週末を」と言われたんです。

みなさんはこんな経験ありますか?クライアントにそんな風に言われたい?僕はもちろん言われたら嬉しいよ。だからクライアントとの関係のことを真剣に考えるようにして、大きな変化を起こしたいんだよね。

 

クライアントの立場になって考えよう

最後の、そしておそらく最も大事なポイントは、クライアントとの関係が変わると、あなた自身がずっと幸せになれるということ。

僕自身がよく遭遇するのだけど、多くのデザイナーが「今抱えているプロジェクトは情熱を持ってできるんだ」と言います。 この言葉を聞くと僕はいつも混乱してしまうんです。 だってそうでしょう、あなたの仕事がデザイン・ウェブ…何であれ、あなたは情熱を持ってできることを仕事にしているはずなのに。「趣味から趣味を得る」みたいで、なんだかおかしいでしょう。

まず僕たちはもっと共感力を育てないといけない。クライアントになるというのはどういうことか?クライアントの立場というものを理解しないといけない。

みなさんの中にもクライアントの立場を経験したことがある人はいるでしょう。考えてみてください。

「クライアントになるってどんな感じだろう?」

多くの場合、僕たちは自分たちの立場からクライアントというものを見てしまっていて一方的な見方に囚われてしまいがちです。 僕はクライアントという立場を経験してきていますし、クライアントにサービスを提供する側の 立場も経験しています。 フリーランサー、デザイナー、従業員ーーー僕はボスとしてこうした人を雇い、仕事を指揮するので、その意味ではクライアントです。 従業員は僕のために働きます。僕は建築士や弁護士、ファイナンシャルプランナー、その他あらゆる種類の人たちを雇ってきた経験があります。 彼らにはいい働きを期待していますし、僕に敬意を持って接してほしいと思っています。 また僕の言葉にしっかり耳を傾け、指示には従ってほしいと思っています。

 

では、ここで一つ例を出しましょう。

僕はヘアサロン関係の経験も豊富にありますから、このテーマで少しお話をしましょう。

では想像してみてください。みなさんはヘアサロンに入ります。 スタイリストさんにトム・クルーズの髪型にしてほしいと頼みます。スタイリストさんは了解したので、席に座ります。布をかけて、髪を切り始めます。 どう思いますか?

作業は始まりましたが、問題はトム・クルーズのキャリアが長いということです。 どの時期のトム・クルーズの髪型にしたいのでしょうか。

 

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『リスキー・ビジネス』のころ?彼がステージに躍り出てくるところの?それとも『ジェリー・マグワイア』? 『トロピック・サンダー』?『ミッション・インポッシブル』?『エッジ・オブ・トゥモロー』?

どのトム・クルーズか特定しないといけない。とにかくそのスタイリストさんはあなたに話しかけて、質問して、あなたの意図を理解しようとしている。そして髪を切り始める。これなら大丈夫だと思うでしょう?

でも、ちょっと待ってほしい。

髪の事情は人それぞれです。 僕は髪の毛がありません。あなたの髪は波打つ癖っ毛かもしれないし、直毛かもしれない。 顔立ちや顔の骨格も関係します。丸かったり尖っていたり角ばっていたり。 そこでスタイリストさんはあなたの髪に触れてこう言う。

「わかりました。顔を見てみましょう。そして現実を見てみよう。それが希望かもしれないけれど、髪質や個々のパーツ、全体を見て総合的に判断した上で、それはできない。」 …受け入れられるだろうか?

これは人間関係自体に言えることです。 社会の中で個々人は様々な期待をしていると思いますが、鏡を見て「自分はトム・クルーズみたいだ」とは言わないでしょう。でもこうなりたいなという希望はありますよね。

スタイリストさん、つまりサービスの提供側は、時間を割いてあなたの話に耳を傾けて、あなたに合わせたサービスを提供する。

それは心地よいでしょう?

それがクライアントになるということなんです。自分自身のクライアントとの実際の関係・関わり方に置き換えて考えてみてください。

 

クリエイティブのゴールを見定めよう

次のパートは、明確に定まった目標を持つということについてです。 クリエイティブな精神を持ったメーカーによくあることですが、問題の本質や目標が何なのかをよく理解しないままに急いでモノを生産してしまいがちです。

数週間も作業をして、やっとの事でクライアントに出来上がったものを見せるけど、クライアントは納得しない。そんながっかりするような反応を示されたことはあるでしょう。 自分がバカみたいだ。自分の芸術を邪魔するような馬鹿げたことだと。こういったことが起こるのは目的が何かを理解していないからなんです。目的への曖昧で具体性のない理解ということです。

ここに僕のお気に入りの素晴らしい言葉を紹介します。

「ゴールの位置が分からなければ、得点することはできない」 (目標が見えていなければ結果は出せない)

僕たちがすべきことは、どこにゴールポストがあるのかをできるだけはっきり見定めることなんです。

クライアントとそのことについて話す時には、専門的な言葉ではなく、人間の言葉(普通の言葉)を使わないといけません。 専門用語で話してしまうと、クライアントは不安になってしまいます。 それでなんとなくあなたに話を合わせるようになる。誰だって自分がバカにみられたくないですから。

「サイトはresponsiveですか? nativeですか? adaptiveですか?」

クライアントにこんなことを尋ねても「なんだって?何を言ってるの?」という感じで理解は得られません。

それならむしろ、そんなこと話さない方がいいかもしれない。 ユーザーの立場やニーズを理解して、それに基づいた解決策を提示することが大切です。

 

質問ゲーム

ここで少しテストをやってみたいと思います。 みなさんがどれだけよく耳を傾けてきたかをチェックします。

ゲームの名前は『21の質問』です。

僕がある人物を想定します。

実在の人物かもしれないし、想像上の人物かもしれない。 生きているかもしれないし、死んでいるかもしれない。すごく賢そうな人たちがいるので、今回はちょっと難しくします。質問はYesかNoかで答えられるもののみです。 みなさんは21回質問できます。それが終わったら3回誰かを当てるチャンスがあります。 yes/noで答えられない質問をしたら質問できる回数が一回減るだけだからね(笑) これを5分間でやります。

じゃあ正解の人物を思い浮かべます。

よし、決まった。 準備はいいかな? では始めます。

ー生きていますか?
はい

ー想像上の人物ですか?
はい

ー男性ですか?
はい

ー髪(毛)はありますか?
はい。だから答えは僕じゃないね

ーマンガアニメのキャラクターですか?
はい

ー背は低いですか?
はい

ーテレビに出てますか?
はい

ー髪質はいい? 悪い? それとも髪はない?
(NG。質問はYes/Noで答えられるもののみ) 続けましょう(笑)

ー今もテレビに出てますか?
はい

ー悪の親玉の家来ですか?
いいえ

ー障害はありますか?
いいえ

ー人間ですか?
いいえ

ー子どもですか?
いいえ

ー黄色いですか?
ちょっと待って、黄色か。はい。

ー答えを当てにいってもいいですか?
いいよ、どうぞ
(参加者の回答)
違います

ーディズニーのキャラクターですか?
いいえ

ー動物ですか?
はい

ー映画に出てる?
はい

ー人形ですか?
いいえ

 

じゃあ、質問できる回数がもうなくなったね。回答権が3回あるから、誰か回答したい人いるかな?どうぞ。

 

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ホーマー・シンプソンだと思う? 違うよね。ピカチュウ?いいところついてるけど、違うね。あと1回 Tweety Bird? 違うね。

よし、オッケー。このゲームは基本的にクリアできないからね。100人も人がいて。大変だよ。難しい。じゃあ、今学んだことについて話そうか。

 

人は聞きたい事だけを聞いている

まず第一に「ハッピー・イヤー(Happy Ears)」という言葉がある。 ハッピー・イヤーというのはセールスの分野でよく使われる言葉だけど、僕は1年半くらい前まで知りませんでした。

この言葉が意味するのは「人は聞きたいことだけを聞いている」ということ。

クライアントなどがどんなことを言っても、「答えはホーマー・シンプソンだ」と思ったら、ずっとそう思い込んでしまう。その前の質問で「動物ですか?」と質問があって、僕が「はい」と答えたし、「小さいですか?」という質問にも「はい」と答えたよね。ホーマー・シンプソンだとその2点と矛盾するよね。だから人というのは自分の聞きたいことだけを聞いてしまうものなんだ。

「ハッピー・イヤー」について理解するのにいいもう一つのたとえは、機関車に乗っていると想像してみること。機関車は前進するか、停止するか。方向転換はできない。方向を変えて巧みに操作できるようになりたいよね。

ここでわかったことは、アクティブ・リスナーになるということは実はとても難しいということです。自分の頭の中の雑音を消さないといけないし、心を常にオープンにしておかないといけないし、きちんとした証拠に基づいて先に進まないといけない。こんなことにも気づいたかもしれないけど、話すよりも聞くことの方が大切だということ。

この中にもメモを取っている人がいました。一方で取っていない人もいました。それが結果として明らかに表れます。

 

的確な質問によって、領域を絞り込もう

他に質問の仕方でぜひ学んでおきたいことが一つあります。それは一つ一つの質問が可能性のある領域を絞り込むのに役立つようにしたいということ。誰かがあなたにウェブサイトの構築を依頼したとして、ウェブサイトの領域はとても広いからこのままじゃどうしていいかわからない。 運よく勘が当たるかもしれないけど、それはたまたまであって、しっかりと考え抜かれたプランに基づいたものとは違います。

このゲームであれば、 1つは「それは実在の人か、架空の人か」 これでまず半分に領域が絞れます。 次の質問は「男性か、女性か?」 これはわかるかな、僕は答えを言ったかな?そうだね。男性です。というわけで、今回の人物は架空の男性で、これで25%まで絞れたようなものだ。これで推測がすごく楽になるよね。

そしたら今度は年齢について聞けばいい。 大人や子どもの定義にある程度解釈の余地はあるかもしれないけど、上の方の年代だとか子どもだとかはっきり言えば、この二つで混乱することはないでしょう。 こうやって絞っていきます。具体的な年齢まではわからないけど、大人だろうと考えました。子どもでもお年寄りでもないからです。そして動物です。

さてそこで今度はそのキャラクターが出ているのはTVなのか、映画なのか、それとも本なのかを特定したい。そこで質問をかなりピンポイントに絞らないといけない。 映画と言ってしまうと、ほとんど全てのものが映画化・映像化されているよね。映画だったものはTV番組でやったりもしているね。 そこで「このキャラクターは”元々”映画に出ていたのか、TVか、本か」という質問にしたい。

そのキャラクターは僕の知る限り元々本で登場した。 そのキャラクターはガーフィールド (Garfield) だ。

 

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(一同「あー」)

君がそのキャラクターは黄色か?と質問した時、僕は一瞬止まってから「そうだ」答えたよね。そこで僕が答えた時のニュアンスに注意してほしい。多くの質問に僕はすんなりと「はい」か「いいえ」で答えられた。即答できたのは答えが明白だったからだ。(ガーフィルドの色が黄色かどうかが微妙なラインなので解答に詰まった)

つまりアクティブ・リスニングとは、僕のボディランゲージや声のトーンまで読み取ることも意味する。

これらのポイントが少しでも仕事に役立つといいなと思います。

 

そしてもう一つ注意したいこと。僕たちは今グループの形でワークをやっているけど、様々な形式がある中で、グループという関係の中で(クライアントとの関係に応用できることとして)何を学んだだろう?

1)開かれた心 (Open Mind)の重要性

2)可能性を絞るために質問をする

3)初めは広く、だんだん狭めて特定していく (2択の質問でやったように、できれば一回ごとに可能性のある領域を半分に狭めていきたい)

4)聞くこと 耳を傾けることの重要性

5)狭まるにつれて、答えが何なのかについて仮説が生まれてくる。 そうなったら投げかける質問もピンポイントになっていく。 曖昧で目的の見えない質問をしないように気をつけること。

例えばクライアントに質問する時
「グラフィックですか?」
「そうですグラフィックです」
「素晴らしい。じゃあそれで仕事をお願いします」 というやりとりがあったとして、大事なのはグラフィックという言葉は人によって意味が千差万別だということ。

曖昧な質問をしていると、曖昧な答えが返ってきて、それに腹をたてる。 誰が腹をたてる資格があるだろう?実のところ自分のせいだよね。自分の質問が良くなかったせいで、良い回答が得られなかったのだから。

でもこれを避ける方法がいくつかあるよね?

それが今やった「広い範囲から初めてだんだん狭めて特定していく」ことなんだ。そして「よく耳を傾ける」こと。

 

これであなたは傾聴と質問、そしてゴールを特定する達人になれたという気分になるかもしれない。素晴らしい!

けど、それでも問題は起こる。

そこで「メンタル柔術」という言葉があります。「メンタルチェス」と言ってもいい。とにかく身体的なイメージです。空手はお互いの拳で撃ち合う、力や荒々しい肉体的な強さがあるけど、柔術は一方でレバレッジ(てこの原理)とポジショニング(体や力の持って行き方・置き方)を使います。これはそういうイメージです。

ではここで、クライアントの話をじっくり聞いてから仕事の仕上がりを見せたのに、反対されてしまったという状況を想像してみよう。この時に望ましいのは、エンブレイス(Embrace)とピボット(Pivot)(=相手を優しく受け入れて、自分の体の向きをクライアントに相対する形から、相手と同じ方向を向くように方向転換すること)です。

そうすることで敵ではなく、同じチームの仲間になれる。

このことはいろんな角度から考えられるよね。広げていけば、僕たちの人間としてのあり方にまで昇華できる。

 

想像してほしい。街を歩いていると向こうからまっすぐ人が自分を見ている。 自分をにらみつけながら自分の進む道の先からこっちに向かってくる。このままだとぶつかってしまう。

戦うか?逃げるか?ーーー決断をしないといけない。

この2つの選択肢だと、どっちを決断してもクライアントとの関係のためにはならない。この2つの選択肢のどちらかを決断させるような状況にクライアントを置きたくはないよね。

じゃあこんな状況はどうだろう。ある人があなたと隣り合って一緒に歩いている。自分の方に近づいて「あの通りにあるあれ、見た?」なんて言う。

これなら敵対する感じじゃないよね。フレンドリーだ。

つまり僕たちデザイナーはクライアントと同じ方向を向いて仕事をすべきなんだ。 難しいけどね。

 

ここでさらに、このポイントを単純明快に説明するために別の例を挙げよう。クライアントはほとんど必ずと言っていいほどこんなことを言う。

「もっと大きくしてくれ」

最初に見せたスライドみたいに、頭を付き合わせるような対立状況になってしまったら、 クライアントとの関係に摩擦が生じてしまう。

あなたは「いや、小さいままにしておきましょうよ。その方が味わいがあるし、大きくしちゃっ たらすごく妙でダサくて台無しになる」と言う。

こうなると結局クライアントは自分の意見・視点・立場に固執してしまう。人の奥底には一貫した立場をとりたいという心理がある。一方が大きい方がいいと言えば、もう一方が小さい方がいいという。

そこで喧嘩になる。

大きさに元々そこまでこだわりがあったわけじゃなくて、「中くらいの大」みたいな感じで「小さいよりかは大きめの方がいい」くらいのものだったのに。

一度対立すると、人は自分の立場を守ろうとする。

どんどんクライアントをコーナーに追い込んで、争いをするんだ。 人は立場の一貫性を保とうとする

そこでこういう事態を避けるための一つの方法がある。 素晴らしい原理で、人生のどんなことにも応用できるんだけど、 「”なぜ”を3回繰り返すこと」だ。 こうすることで物事の本質・根底に辿りつくことができる。

このケースの場合、クライアントが大きくしてくれと言ったら 「面白いですね。どうしてそう思うんですか?」と尋ねる。

すると相手は 『うーん…文字は黄色なのに、背景は白でしょう。私は視力があまり良くないし、これだと読みにくいから』

「ああ、そうですか!つまり大きさというよりは、それはむしろコントラストの問題かもしれないですね。黄色の暗い影を文字につけたら見やすくなりますか?」

『そうだね!』

「わかりました。じゃあ次の打ち合わせでそのパターンをお見せしますね。その上でそれでも大きくした方がいいかを決めましょう」

お互いがお互いの言葉をはっきり聞いて認識して、共有しています。 適切な解決策を提示した上ではっきりと述べています。

これは言ってみればニーズ対ウォント(Need vs. Want)です。

 

クリエイターの営業活動について

営業はクソだ。売るという行為が大嫌いだ。そう思う人は、営業担当者に最悪な思いをさせられたことがあるからだ。

車のセールスだってそうだし、訪問販売の営業マンがドアに足を引っ掛けたりもあるし、電話をしつこくかけてくる営業もある。店頭の販売員だってそうだ。

例えばいけてるブランドのお店にいったら、最初から居心地が悪い。ちょっと行って軽くショッピングしたいだけなのに、店員はしつこく迫るように話しかけてくる。

「これを試してみてください」「これなんか似合いますよ」

そんなにガツガツ来られると、ちょっと引いたようなリアクションしちゃうよね。

だからここで発想を変えて、物を売るということはどういうことか?を考え直してみたいんだ。 僕にとっては営業というのは問題に対する解決策を提供することだ。もし何も問題がなかったら僕は何もサービスは売らない。僕は自分の仕事の価値を信じているし、僕の仕事内容にはクライアントのビジネスに対して与えられる価値や良い影響があると信じているし、それはシステムやプロセスの改善の根幹に影響する物だと思っています。

つまり僕は営業をモノを売るんだという意識でやっていないんです。僕は価値を提供しているのであって、それができなければさっと身を引きます。

 

そこでしっかり考えてほしいのは、 1)「何か解決すべき問題はあるか」 2)「自分にそれが解決できるか」 3)「クラアントは自分を雇えるか」 ということ。

1)誰かと打ち合わせしていて、 「仕事をしてて何か問題はないか」 「どんなところで困るか?」と尋ねてみて欲しい。より具体的に 「ウェブサイトで何か困ってることはないですか?」 と聞いてもいい。

2)そこで自分に問いかける 「この中で自分に解決できる問題はないだろうか?」と。SEOやSEMだったり、サイト改築が得意なのかもしれない。 自分にできることをとにかく考えてほしい。自分に解決できるかもしれないことに照準を合わせて質問をしていく。

3)クライアントの中には僕には見合わない報酬で仕事を依頼したがる人もいる。なので、その点は最初にはっきりと知っておきたいと思ってます。3回も打ち合わせをして、やっとeコマースのサイトをやるのに2000ドルしか予算がないとわかる。その金額でできる人もいるけど、僕はやらない。多くの場合でちゃんと明らかにしておきたい大事な疑問がこれです。

クライアントは自分を雇えるか?自分に仕事を依頼するのに十分な予算があるか?」

正面から攻撃的な雰囲気で、子供のこととか関係ないことをあれこれ質問して来て、ぎこちない感じだったらどうだろう?

「結局僕を雇うの? 雇わないの?」と思ってしまう。こういうことはよくある。

「で、結局いつ僕を雇いたいの?」 『お互いのことをよく知ってから…』

いい関係とはいえないよね 、じゃあディナーに連れてってくれるとか、花でもくれてもいいじゃない(笑) さっさと決めてしまった方がいいよね。

 

話すだけが営業ではない

営業について話したから、今度はこれについて話そうか。

人は常にこういうことをする。僕たちはアイディアや実務に大きな労力を費やすけど、クライアントが一度その案に「YES」と言ったらそこで黙ること。

人はとにかく喋るたがるけど、売り込むことからさっさと離れよう。

ジョーダン・ベルフォート(Jordan Belfort) 、ウォール街のオオカミと言われた人だ。

 

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架空のネタから出てきた実在の人物だ。彼の映像を見たことがあるかな?語るべき逸話があるんだけど、ざっとお話ししよう。 彼はメルセデスを買おうとしていた。稼ぎがいいし、今ノリに乗ってる。メルセデスの代理店に行って、この車がほしいと言ったんだ。

営業担当は、「この車のポイントを紹介しましょう」「この車に乗ったことはありますか?」 タイヤシートの前でどんどん話して止まらない。そこでイライラして店を出てしまった。

それでBMWの代理店に行ってこの車がほしいと言ったら、 「素晴らしい。書類の方を済ませてしまいましょう」 すぐ座って書類関係を進める。 裏に写真が見えて、子供がバスケットボールをしているところだ。 「お子さんバスケをやるんですか?」 「子どものことなんですがね・・・彼はすごいんですよ」 と話し続ける。

結局またその店を出てしまう。

今度はポルシェの代理店だ。 この車が欲しい。書類を済ませよう。これが鍵です。 ありがとう。

早速乗って颯爽と帰っていく。

このように、買うことが決まっていて、準備万端の人には何も言わないこと。 とにかく黙って邪魔をしないこと。 ノーと言った時に初めて「なぜ?」と尋ねよう。そうすればネガティブをポジティブに変換できる。そこから学べるものがあるはずです。

クライアントの多くは自分自身のことを語り続けたがる。そんな時は言ってあげればいい。

「自分の会った人が、自分のことばかり喋ってるけど、そういう人のことをどう思う?」そんな失礼なこと言われたら、 僕はその場から立ち去りたいと思うけどね。

でも
「あなたの職務・使命はなんですか?」
「何がモチベーション・インスピレーションですか?」
「どんなことで苦労してますか?」 といった風に質問をすれば方向を調節できる。

そう、僕はここでもピボット(pivot)を使うんだ。 彼らは長々と自分のことについて喋り続ける。すごいね。

でも、僕たちの顧客(カスタマー)は どんな人たちだろう?と考えるようになって、カスタマーのことに感情移入して彼らの立場に立って考えてみるほど、すごく意義あるマーケティングができるようになるんだ。僕たちはクライアントのペイン・ポイント(Pain Point)、つまりどこに困っているか?を明らかにすることができる。クライアントのペイン・ポイントに対して僕たちが良い支援を提供できれば、それだけ僕たちの価値は高まるんだ。

僕は自分の仕事をアートとして評価はしてません。僕はアート作品を買うこともあるし、絵を描くのも好きだけど、自分のアートの価値観を自分のクライアントに押し付けることはしません。

僕が大事にしているのは、僕が力になれる人は誰か?どんな問題を僕が解決できるか? そうして始まったプロジェクトは必ずしも賞を受賞するようなものではないのかもしれない。僕はそこには重きを置いていないんだ。賞を受賞したところで人生を変えるようなことにはならないからね。本当だよ。ほとんどの人はそんなことに興味がないんだ。スロットル(Throttle) 、ウェビー(Webby)、オスカー(Oscar)を受賞してもそれはただのチェックリストだよ。裏口からするっと入って仕事を得るテクニックがあるんだ。表口は激戦区だろ?

とにかく問題を解決してクライアントにとって価値のある存在になろう。 僕が今仕事をしているクライアントの株価は現在とても低いんだ。6ヶ月前の4分の1にまで落ち込んでしまってる。ウォール・ストリートにこっぴどくやられてるよ。初めてクライアントのウェブサイトを見たとき、意味がわからなかった。ロボットが喋ってるみたいでさ。会社を説明をしているんだけどロボットが喋ってるみたいで誰も理解できない。そこでしばらく彼らと話してから、僕が名乗り出たんだ。

僕は彼らにこういった。

「人間の言葉を話してほしい。僕が小学5年生だと思って話してみてほしいんです。それが他のあなたのクライアント達、みなさんも感じていることだから。カスタマーのことを思い浮かべてみてほしい。専門用語やら略語やら業界用語みたいなものは使わないでほしい。誰にも何にも伝わらない。」

もし株価が今の倍くらいに、かつての半分くらいにまで上がったら、その配当を得るのは誰か?を思い浮かべてほしい。その会社はビリオンドル・クラスになる見込みです。

それって価値あることでしょう? 今グラフィックデザインの市場はまるでバーゲンセール状態です。みなさんがそれでやっていけるなら、 単価をいくらにしようと構わないけど。

みなさんはものすごく価値があるんですよ。投資利益率の高い株のようなものだと思います。

 

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書籍「実用的なチラシデザイン」にデザインが掲載されました。

雑誌掲載事例
デザイン総合情報誌「MdN」にWEBサイトが掲載されました。

メディア掲載事例について
インディーズCDの制作ガイドに、デザイナーとしてのインタビュー記事が掲載されました。

インターナショナルファッション誌 "En Vie Fashion Magazine" 内にデザインが掲載されました。

Adobe MAX Japan にて制作デザインが展示されました。

NEWS&PRESS情報一覧

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