米インテルが第11世代CPUとともに新しい企業ロゴデザインを発表

2020年9月2日(現地時間)、米国の半導体メーカーの インテル(Intel)社が3代目となる新しいコーポレートロゴデザインを公表しました。2006年から使われていた先代ロゴから14年ぶりのリニューアルです。

インテル社の新ロゴ

Alexey Novikov – stock.adobe.com

インテル社はパソコンの心臓部であるCPU(プロセッサー)をパソコンメーカーなどに提供しています。キャッチフレーズ「インテル入ってる(intel inside)」や印象的なサウンドロゴを耳にしたことがあるのではないでしょうか。

同社のパソコン向け主力ブランド「Core」シリーズの第11世代の発表とともにリニューアルされた新ロゴは、サンセリフ系の小文字だけで構成されたミニマルなデザインです。歴代のロゴと、マーケティング史に大きな足跡を残した「インテル入ってる(Intel inside)」ロゴについて見てみましょう。

 

新デザインはミニマルなワードロゴ

 

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新しいコーポレートロゴは、「intel」という企業名を小文字で構成したシンプルなものです。使われている書体は、一般的なサンセリフ系のボールドのように見えるデザインで、モダンな印象を与えます。特徴的な点は、「i」のドットが濃いブルーになっていること、「t」のバーが突き抜けていないこと、真円に近い「e」のプロポーションです。同様の特徴を持つ書体はいくつか存在します。しかし、インテルの新ロゴは、単に特定の書体で「intel」と並べただけではないようです。

インテルの公式サイトに掲載されている動画で、デザイングリッドが示されています。「int」を囲む正方形と「tel」を囲む真円です。動画で示されているグリッドから、「n」のプロポーションが正方形であることがわかります。「n」を中心に拡大した正方形のグリッドと、「e」の真円を拡大した円の一部が重なって並んでいます。

インテルのロゴの変遷

 

ロゴデザインに隠されたふたつの図形の意味

正方形はCPUを象徴する図形です。それが、「i」のドットが色付けされている理由でもあります。真円の方は何かを象徴しているのでしょうか。

動画の冒頭で次のメッセージがアピールされています。

Do something small that leads to something big.
(大きなことにつながる小さなことをしよう)

パソコンに「大きな」力を与える、「小さな」CPUを提供する、というインテルの企業活動と、同社の世界に向けてのこれまでの貢献と実績を踏まえて、さらに未来を創造していく、というメッセージが込められていると考えられます。

正方形は、CPUでありインテル社です。部品であるCPUは、パソコンに組み込まれて初めて力を発揮します。そのパソコンを使ってユーザーは、ビジネスやクリエイティビティを実現します。

このことを踏まえると、真円は、インテル社製CPUを採用したパソコンメーカーのビジネスの拡大やブランドの向上であり、パソコンユーザーのビジネスやクリエイティビティの可能性を象徴しているのではないでしょうか。

正方形と真円が重なりながら並んでいるのは、インテル社とパソコンメーカーとの強いつながり、つまりパートナーシップを表現していると解釈できます。

 

「ドロップe」が印象的なインテル初代ロゴデザイン

インテルの初代ロゴデザイン

Adam Ján Figeľ – stock.adobe.com(インテルの初代ロゴデザイン)

インテル社は1968年にカリフォルニアで設立されました。望んでいた社名が他社に使われていたため、「integrated electronics」(集積電子工学)の単語のはじめの方、「int」と「el」を組み合わせて社名としました。

初代ロゴは、「e」がベースラインよりも下に落ちて(ドロップして)いるので、「ドロップeのロゴ」(dropped “e” logo)と呼ばれます。「e」を下げた理由は、社名が「int」と「el」の合成であることがわかるようにするためだったそうです。

最新のロゴを見ると、書体Helveticaを使って作られた初代ロゴのデザインテイストが受け継がれていることがはっきりわかります。

「intel in it」キャンペーンと「インテル入ってる」

インテルの日本法人は、80年代に新卒採用を始めましたが、テレビCMもない外資系企業ということで、リクルートに苦労していました。パソコンメーカーは盛んに広告を打っていましたが、その製品にインテル社製CPUが搭載されていることはほとんど知られていませんでした。

ブランドの認知度を上げるために、パソコンメーカーの宣伝活動とインテルブランドを組み合わせるプログラムが考案されました。パソコンの中にインテル社製CPUが入っていることをアピールする「intel in it」プログラムです。このときに、「intel in it」というキャッチフレーズをぐるりと囲んだ手書き風ロゴマークが作られました。これをパソコンの広告に掲載してもらおうというアイデアでした。

日本発「intel in it」ロゴ

「intel in it」ロゴ

しかし、ひとつの広告にパソコンメーカーとインテル社の2つのブランドが表示されることにメーカー側は否定的でした。いまでこそ、タイアップ広告やコラボ商品などで、異なるブランドが同時に使われているキャンペーンはめずらしくないですが、当時はきわめてまれなことだったのです。

そこで、インテル社がマーケティング上の支援をおこなうことで、メーカーに受け入れてもらいました。こうして1989年、有名な「インテル入ってる」というキャッチフレーズとともに、「intel in it」キャンペーンが開始されました。このキャンペーンでインテルブランドの認知度は飛躍的に高まります。

そして「intel inside」の登場

同じ頃、米インテル本社もブランド認知力を上げるために、広告代理店から提供された「Intel. The computer inside.」というキャンペーンを展開していました。圧倒的に市場を支配していたとはいえ、インテル社製CPUの同等品を製造していたライバルメーカーの勢いが強まっていることに危機感をおぼえていたからです。

日本法人の「intel in it」プログラムの成功を知ったインテル社は、これを世界的な戦略として組み立て直すことにします。フレーズを「intel inside」に変更したうえで、このロゴをパソコンの広告に掲載したり、製品にロゴシールを貼ったメーカーに対して、出稿量や台数に応じて広告費の一部を負担するなど支援内容も強化しました。「intel inside」プログラムは1991年に開始されました。

初代の「intel inside」のロゴはコミック系の太いやわらかめの書体です。キャッチフレーズを取り囲む楕円も「intel in it」と異なります。2002年には、サンセリフ系のかっちりした書体で、初代コーポレートロゴと同様のドロップeの「intel」にリニューアルされました。

 

インテル社のイングリーディエント・マーケティング

イングリーディエント・マーケティング

「イングリーディエント(ingredient)」は成分や素材のことです。食品などの成分や材料なども「ingredient」といいます。イングリーディエント・マーケティングはインテル社以前からおこなわれていましたが、「intel inside」は代表的なイングリーディエント・マーケティングの成功例とされています。

これはどういうことかというと、一般のエンドユーザー(パソコン購入者)は、一部のパソコン自作派などを除くと、インテル製品を指名して買い求めることはほとんどありません。パソコンの部品だからです。パソコン自体のデザインやスペックでどれを買うかを決めるのが普通だったところに、インテル社がそのパソコンに内蔵されている部品のブランドを訴求するマーケティングを「intel inside」プログラムでおこなったのです。

インテル社のブランドイメージが高まれば、インテル社製CPUを搭載したパソコンに付加価値がつくので、メーカーにとってメリットがあります。そして、パソコンが売れればインテル製品の引き合いも増えるというわけです。

ゴアテックス

milotus – stock.adobe.com (ゴアテックス)

イングリーディエント・ブランドとして有名なものには、自転車変速機のシマノ、衣服などのファスナーメーカーYKK、登山靴やアウトドアシューズのソールのVibram(ビブラム)、防水透湿素材のGore-Tex(ゴアテックス)などがあります。これらはすべて製品の素材や部品でありながら、ユーザーが買い求めるプロダクトの信頼性や価値を高めています。

 

楕円形のラインに囲まれた2代目のインテルロゴデザイン

インテルの2代目ロゴデザイン

wolterke – stock.adobe.com (インテルの2代目ロゴデザイン)

コーポレートロゴは2006年にリニューアルされました。「intel inside」と同様の楕円形のラインで企業名を囲んだデザインです。ドロップeは廃止され、文字はすべてベースラインに揃えられました。書体Neo Tech Pro とNeo Sans Proをベースにデザインされた文字は、「i」と「l」の下端が曲線に変更されています。

カンパニーロゴとして使われる際には、新たに「Leap ahead(さあ、その先へ)」というタグラインが添えられました。

半導体メモリーの製造でスタートしたインテル社は、その後CPUに主軸を移して世界最大の半導体メーカーとなりました。2003年のからはCPU単体だけではなく、「Centrino」のように周辺のチップセットとCPUを組み合わせたプラットフォーム製品を供給しはじめます。2005年からは、プラットフォーム製品を事業の中心としました。

インテル社の事業戦略と実情に合う新しいデザインが必要になったのです。そこで、初代の「ドロップe」ロゴとは異なる書体と、プラスのイメージを持たれていた「intel inside」の楕円のラインが組み合わせられたのです。コーポレートロゴのリニューアルにともない、「intel inside」ロゴも変更されました。

 

過去を継承し未来につながるインテル3代目ロゴ

今回のブランドリニューアルは、半導体メーカーからAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった分野にインテルが進出しつつあることを受けておこなわれました。

先に紹介した公式サイトの動画には次のメッセージも現れます。

Do something that honors the past to forge the future.
(過去に敬意を表して未来を切り開こう)

これまでのメモリー、CPU、プラットフォーム事業での実績を踏まえた上で、新しい分野で社会に貢献していこうという同社の姿勢を表明しています。同時に、初代と2代目からデザインエッセンスを継承しつつ、新しいロゴを作るという今回のロゴリニューアルのコンセプトでもあります。

今回のリニューアルは一見すると地味な印象ですが、「intel」は世界の価値あるブランドリストの常連であり、そのブランドに悪影響を及ぼすようなリスクは避けなければいけなかったのです。初代と2代目のロゴと同じく小文字だけ使い、「i」のドットを正方形とし、初代と2代目を彷彿とさせる書体、コーポレートカラーのブルーの採用など、ロゴ自体のリニューアルの度合いは控えめと言えるでしょう。むしろ、資産の継承と新しさとのさじ加減は難しかったと思います。

一方で、カラーパレットはブルーだけでなく、グリーン、オレンジ、グレー、パープルなどバリエーションが大きく広がりました。プロモーションの内容や国、地域などによってブルー以外が使われる機会が増えるということです。また、「intel inside」シールのデザインは新しいものに変更されます。「bong」と呼ばれているサウンドロゴ(ジングル)は新たなバージョンが年内に登場するとのことです。


【参考資料】
Sparking the Next Era for the Intel Brand | Intel Newsroom (https://newsroom.intel.com/editorials/intel-brand-karen-walker/)
Intel | History, Products, & Facts | Britannica (https://www.britannica.com/topic/Intel)
傳田アソシエイツ株式会社|傳田流成功法_第8回 (https://www.denda-a.com/column08.html)
Intel Inside | Logopedia | Fandom (https://logos.fandom.com/wiki/Intel_Inside)
Tech Company Logos Reinvented | Intel Newsroom (https://newsroom.intel.com/editorials/tech-company-logos-reinvented/#gs.h5sxms)

※公式WEBサイト情報もあわせてご確認ください。

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