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ロゴデザイナーインタビュー : Kira Chao

LogoLoungeが贈る記事「センターステージ」の翻訳記事をASOBOADでは定期的に紹介しています。今回はブランディング、イラストレーション、UIデザインを専門とし数々の受賞歴のあるデザイナー”Kira Chao(キーラ・チャオ)”氏を紹介します。この記事は海外のロゴデザインWEBマガジン”LogoLounge“の記事(by Ellen Healy)を翻訳しています。※掲載はLogoLoungeとデザイナーの許諾を得ています。

Kira Chao氏

■簡単に自己紹介をお願いします。ご自身のデザインスタイルとお仕事について教えてください。

キーラ・チャオ(Kira Chao)です。コンクリートジャングルとして知られる香港で生まれ育ちました。マルチメディアデザイン科を修了した後、故郷にある広告代理店でデザイナーとして就職しました。そこで2年勤務したあと退職し、新たな挑戦を探すためにヨーロッパを旅しました。最終的に、多文化的な環境と興味深いアート文化のあるベルリンに落ち着き、そこにあるすべての機会が私にとっての理想であることに気づきました。当初は小さな代理店に数年間勤務し、仕事でもプライベートでも多くの波を経験しました。現在はブランディングとイラストレーションを専門とするデザイナーとして独立し、うまくいっています。

デザイナーとして冒険的でありたい私は、一つのスタイルに制限されません。様々なスタイル、テクニック、媒体を探求するのが大好きです。この好奇心をさらに育てるために、ビジュアルの実験をする「365days of Cacti (サボテンをテーマにロゴを作り続ける)」というプロジェクトをスタートしました。こんな「ワイルドな面」もある私ですが、いつだってシンプルさを重視していますし自分の作品に細かいディテールを追加します。デザインの本質的なもの以外を排除し、必要不可欠な要素だけにすることは私の哲学です。私の作品はミニマリストに見えるかもしれませんが、多くの場合は少しユーモラスな要素が入っています。

PANDAの動くロゴ

■デザイナーになろうと思ったのはいつですか?この仕事をしようと思ったきっかけは何ですか?

徹底されたアート教育の中で育ったので、いつも芸術に対して深い愛がありました。アーティストになるのだと信じて育ってきました。高校の終わりに将来やりたい仕事を選ぶ必要があったのですが、自分にとって機会が増えるだろうという思いから、アートではなくグラフィックデザインを選びました。

大学では、デザインに対して深い興味と敬意を抱き、ある日自分が「デザインとクリエイティブなアイデアに常に囲まれていたい」と思っていることに気づきました。地下鉄で見る天才的でインテラクティブな広告や、どこかで見かけた魅力的なお菓子のパッケージ、地元のカフェの賢いブランディングのアイデアなどに魅了されました。人の目を引くスマートな解決策を考えるのが好きな私にとって、デザイナーは天職だと思いましたし、アートではなくマルチメディアを選んだことは間違いなかったと感じています。

サボテンロゴチャレンジ

■デザインの制作過程について教えてください。プロジェクトを進めるときにどのような段階を踏んで作業しますか?

私のデザイン過程はそのプロジェクトの分野によって変わります。ここでは、あるブランディングのプロジェクトを例としてお話します。

ブランディング事例

商品イメージ写真

まず、クライアントにたくさんの質問をすることから始めます。打ち合わせで分からなかった事について次のような質問をします。

 ・なぜ消費者はあなたの製品/サービスを購入するのか?

 ・ライバル社とどのように差をつけているのか?

 ・伝えたいメッセージは何か?

これらの質問は、自分のリサーチを始める前にクライアントの製品と企業について知り、ベストな解決策を考えだすために非常に重要です。さらに深いことについて考え、目標を定める助けになります。

ロゴの作成過程

必要な情報がすべて揃ったら、私の一番好きな過程であるムードボードの作成とコンセプト化、スケッチへと移ります。その後最も良いアイデアに絞り、イラストレーターでのベクター化、色と形の実験へと移ります。自分が満足するものができるまで、これらの段階を何度も何度も繰り返します。

ロゴの作成例

■初めてのロゴ制作プロジェクトについて教えてください。それから自身のデザインはどのように成長したと思いますか?

私の初めてのロゴデザインは自分の学校の運動会のロゴでした。あまり多く考えを重ねることはしませんでした。その代わり、学校のスポーツの実績を表現できるものを可能な限り組み入れました。とてもありふれたデザインで、今それを見るのは苦しいですね。この初めてのプロジェクトから学んだのは、キャパシティーを超えることは絶対にしないこと、そしてシンプルさが鍵であることが多いということです。

ロゴ作成例2

■もし夢がかなうなら一緒に仕事をしたいクライアントはいますか?それはなぜですか?どのようなプロジェクトを手掛けてみたいですか?

今ある問題をスマートに解決できるテクノロジーのプロジェクトがあれば、大小問わずやってみたいですね。ベルリンのTech Open Airのカンファレンスに最近参加したのですが、とても興味深いものでした。Ocean CleanupやBoyan Slatの設立者が、テクノロジーがどのように私たちのエコシステムを進化させているのかについて感動的なトークをし、Magnus Appの設立者であるMagnus Reschがアート業界の実態について興味深い洞察をし、テクノロジーがどんな革命を起こせるのかについて話してくれました。どちらのトークも非常にインスピレーションを受けるもので、私たちの住む世界の将来を形作る助けになれるプロジェクトに是非参加したいと思っています。

ロゴ作成例3

■デザインをしていないときは何をしていますか?意外な趣味などはありますか?

驚く人もいるかもしれませんが、私はけっこうな問題児として育ったんです。中に何があるのか知り、メカニズムを知るために物を分解するのが大好きでした。兄弟のメカ玩具から、授業で使うために教室にあったVHSのビデオテープまで、興味のあるものなら何でも分解してしまう子でした。それは今でも変わりません。物を分解するのは今でも好きですが、幸い、それを元に戻すことも大好きになりました!

ロゴ作成例_Nature-Drink

■駆け出しのデザイナーたちに与えたいアドバイスはありますか?また、ベテランのデザイナーたちが新鮮でいるためのアドバイスなどはありますか?

駆け出しのデザイナーたちは、批評やマイナスなフィードバック、終わりの見えない修正リクエストに苦しむことも多いかと思います。まず1つ目のアドバイスは、それを個人的にとらえないことです。そのプロジェクトを成功させたいのはお互い同じで、あなたのクライアントのほうが製品についてより深い理解があることを思い出してください。クライアントの提案は役に立つので常に可能性としてとらえてください。次に、自分のデザインが完璧であることは絶対になく、いつだって改良の余地があるということ。批評を受け止めてしっかりと理解することは、自分の知識と経験を増やしながら成長するためのカギとなります。全くタメにならない無関係の批評はどうすればいいの?と思うかもしれません。それについては、気持ちはわかりますが、クライアントがなぜそう思うのかを考え、それから自分がなぜそのようなデザインにしたかを説明するのが一番簡単です。デザイナーはクライアントの問題を解決することを目的とするのと同時に、なぜ自分たちがそのような判断をしたのかを説明する必要があります。行ったり来たりする過程を楽しんでいれば、そのうち自分のデザインスキルが成長し、良いデザイナーになるために必要な図太い神経を得られますよ。

ベテランのデザイナーたちへ、私から恐縮ながらアドバイスをするとすれば、その調子でデザインの知識を深めていってください。デザイン業界がここ数年でこんなにも変わったことはショッキングです。ですから、スキルアップのために、自分の専門分野に集中してトレンド追いながら、自分のスタイルは捨てないでください。自分が今持っているスキルを深め続け、探求し続けることはとても重要なことです。その分野のエキスパートとしてさらに尊敬される存在となって、自由にデザインできる力を増やせば、最終的にその探求の継続がさらに面白い作品(とよりよい収入)へと導いてくれるはずです。

デザイン_Cactus-Alhambra

■あなたにとってのデザインヒーローは誰ですか?もっともインスピレーションを受けるのは誰ですか?

間違いなく父ですね。彼はとってもクリエイティブな人です。家具を進化させるのが好きで、古い家具を全く新しいものにしてしまうんです。例えば、古いタンスを椅子にしたり、古いテレビをテラリウムにしたり。彼の作品は見た目がいいときばかりではありませんが、いつだってクリエイティブで実用的なのです。

ロゴ作成例_Neon-Burgers

■クライアントのフィードバックに反対した時があれば教えてください。その状況をどのように切り抜けましたか?

それは常にありますね。私の美的感覚とデザインスタイル、クリエイティブアプローチを信じて私を雇ってくれたクライアントが相手でも、自分のデザインを守る立場になってしまうことが多いです。あるクライアントのフィードバックにどうしても賛成できず、彼らの意見が主観的だと思ったことがありました。彼らの考えをもっと理解するために更に質問をしました。何年か経って、デザイナーの考えができない人もいるということ、視覚的要素と戦略の重要さがわからない人がいることがわかりました。そのクライアントのフィードバックが現実的でないことを知り、再度自分たちの目標と達成したいことについて話しました。また、視覚的な見方と戦略的な見方の両方から、なぜ私がそのようなアプローチで制作したのかを説明しました。

ロゴデザイン_Golden-Ratio-Shrimp

■あなたにとっての成功とはなんですか?また、失敗とはなんですか?

私にとっての成功とは、私のデザインがしっかりと問題を解決することです。もしそうでなければ、それは失敗ということです。自分の失敗について振り返るとき、多くの場合が物事について十分に考えていないことが原因でした。しかし、それらの失敗は自分が良いデザイナーになる助けとなると思いますし、失敗から学び価値ある知識と経験を増やす助けになると思います。

ロゴデザイン_Digster-Music-Deal

これからのキーラ・チャオについて教えてください。今後の人生とデザインの予定について教えてください。

香港での休暇のあと、たくさんのアイデアやプランが浮かんでいます。現在、あるアートプロジェクトのために90年代の昔の本や写真、書類などを故郷から集めています。これらを他のデザイナーの友人たちと一緒にVRのプロジェクトにしようとしています。彼らと一緒に、本来なら10年や20年で忘れられてしまう本や写真の伝統や歴史をクリエイティブに視覚化したいと思っています。お楽しみに!

designer : Kira Chao

 

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