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アパレルのデザイン3

日本古来のモチーフを独自のセンスで表現したグラフィックデザイン

近年インターネットの普及により、世界各国の習慣、文化、ニュース、トレンド等を簡単に知ることができるようになり、日本に対する文化的なイメージも外国人に伝わりやすくなりました。また、日本を訪れる外国人観光客の増加や世界的に拡がっている和食や、マンガ・アニメーションの普及も、経済効果を上げるだけではなく、日本を認識してもらえる重要な事象です。

ここ最近、海外のデザイナーの間で注目されているのは日本のポップカルチャーです。先に挙げた漫画やアニメをはじめとする日本のポップカルチャーは、日本国内の見ならず海外においても、若い世代を中心に人気を集めているのが現状です。特にヨーロッパでは、このジャパニーズ・ポップカルチャーからインスピレーションを受けた数々の作品が発表され、話題となっています。その中で、日本の魅力を凝縮したファッションブランディングを展開している Gravika 氏のグラフィックデザインをご紹介します。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Gravika! )

Gravika氏は、ポーランドのワルシャワを拠点として活動しているアートディレクターです。ワルシャワのヨーロッパ芸術アカデミー(European Academy of Arts in Warsaw)の修士課程グラフィックデザインを卒業後、自身のブランド『Gravika』を設立。ファッション・文化・ライフスタイルに焦点を当てたデザインやイラストレーション作品を精力的に創作しています。彼女がイラストレーション、テキスタイル、パターンデザインを担当した『IKIGAI COLLECTION』を見てみましょう。

 

日本語の「生き甲斐」を冠するデザイン

『IKIGAI COLLECTION』は、視覚的な創造性やデザインに対する新しい概念を持った広告業界のクリエイターの創作活動を推進するポーランドのデザインコンテスト、「2017年KTRコンペティション」に参加、イラストレーション部門にノミネートされた作品です。コレクションの名称『IKIGAI』は、日本語の人生の意味や価値を表す『生き甲斐』から付けられました。長く幸せな人生というテーマがこのコレクションのコンセプトです。

ブランドのグラフィックデザイン

まずテキスタイルを見て目を惹きつけられるのは、日本をキーワードとした数々のモチーフですね。「日の丸」「富士山」「鯉」「鶴」「虎」「松」「城」「鳥居」「だるま」「傘」「桜を模倣した模様」など、色彩鮮やかに一面に渡って配置されている生地のプリントデザインです。所狭しと並べられたこのモチーフですが、どれも生き生きとして興味深いテイストで表現されていますね。

生き生きとしたイラスト

Tシャツデザイン

日本語で小さいものに対する愛情や愛着などを表現する言葉に、『かわいい』がありますが、その『kawaii(かわいい)』は、世界共通の言葉となっているのはご存知でしょうか。英語の『Cute(かわいい)』とは異なり、より興味がひかれるという意味の『Kawaii』は、Cuteを超越した言葉として海外で使用されています。もはやオックスフォード英語辞書にも採用されている日本発祥の言葉です。『IKIGAI COLLECTION』のモチーフのテイストはまさにその『Kawaii』。外国人がイメージする日本のモチーフを、ジャパニーズ・ポップカルチャー的に表現し、見る人の目を惹き、親しみやくポジティブな感覚を植え付ける『kawaii』様相です。

 

落ち着いた色を交えつつもポップな展開のカラーリング

この一連の作品は、カラーリングに関してもとても特徴的です。

バナーデザイン

アパレルのデザイン1

一般的に、海外の人からの日本の印象を色に例えると、「赤」「白」がトップに挙げられことが多いです。これは日の丸のイメージからきているためでしょう。赤白の二色に続く色は、「青」と「ピンク」。青は、ジャパニーズブルーと言われる伝統的な藍染の色への親近感や、スポーツの日本代表のユニフォームなどに採用されていることからの連想、ピンクは日本の花である「桜」のイメージと、ここでも日本のポップカルチャーを象徴する『kawaii』文化のイメージカラーであるためではないかと思われます。この外国人から見た日本のイメージ色、赤・白・青・ピンクにアクセントとして黄色を加えたカラーリングが全デザインを通して行われています。

 

日本の着物を彷彿とさせるコーディネート

アパレルのデザイン2

『IKIGAI COLLECTION』のもう一つの特徴は、日本発であり外国ではしない「重ね着」を採用したプレゼンテーションをしていることです。日本のファッションといえば着物ですが、その着物文化から生まれた「重ね着」は日本ならではの組み合わせ方です。

アパレルのデザイン3

『IKIGAI COLLECTION』はポーランドのファッションメーカー、Kolko-Krzyzyk社とタイアップして販売されています。Kolko-Krzyzyk社のモノクロームをベースにした丸やバツのモチーフで構成された別アイテムの作品とカラフルな『IKIGAI COLLECTION』を重ね着した着こなしは、独自性に富み、インパクトの強い個性的な雰囲気を創り上げています。

illustrations & design :: GRAVIKA ( Behance )
client:: ox_wear
photos:: Paulina Kania Photography
style:: Modelove
makeup:: Karolina Zgoła
set design:: Ula Kaczmarek


まとめ

日本文化は古くから世界のデザイナーを魅了してきました。モネやゴッホといった画家が日本文化に大きな影響を受けたという話を聞いたことがある方は多いかと思います。

Gravika氏の作品は、新しい日本文化であるポップカルチャーからインスピレーションを受け、彼女独自の方法で日本を表現して出来上がったグラフィックです。日本には、古来より有する『わびさび』や現代社会の『かわいい』といった対照的な要素を豊富に持ち合わせる独特の美が存在する国です。世界のデザイナーたちが日本文化に刺激を受けて創作するデザインが、今後もますます増えていくといいですね。

 

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