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シンプルなロゴ制作例

本質をつく、文字や数字を主体にしたロゴ制作例

シンプルなロゴ制作例

みなさんは『ロゴデザイン』と聞くとどんなことが思い浮かびますか。

ロゴデザインは、企業または個人のブランドや各種サービスのイメージを凝縮させたマークです。このマークはまさに企業やブランドの『顔』とも言えます。マークを見ただけで、企業名やブランド名が頭の中にすっと浮かび上がり、企業やブランドの実績や最近の動向などを思い起こさせるのが、ロゴデザインです。企業やブランドのイメージはロゴデザインの良し悪しによる、といっても過言ではありません。

世界にはこの大切なロゴデザインを創作しているデザイナーが沢山います。今回ご紹介するのは、イギリスのロンドンを拠点に活動をしているイタリア人グラフィックデザイナー、Maurizio Pagnozzi(マウリッツィオ・パニョッツィ)氏の作品です。マウリッツィオ・パニョッツィは、南イタリアのカンパニア(Campania)州にある都市ベネヴェント(Benevento)のデザイン学校でを勉強した後、同じくカンパニア州のナポリ(Napoli)のILAS学校にてにおけるアート・ディレクションとコピーライティングを専攻し、2013年に同校を卒業しました。

2014年より、彼のデザインスタジオ『One Design』を設立、フリーランス・デザイナーとしてロンドンを拠点に活動を始め、次々とブランド・デザイン作品を作り続けています。創作活動と並行し、イタリア各地のグラフィック関係の教育機関にてワークショップを開いたり、講演会を行なったり、幅広い活動を繰り広げているデザイナーです。彼のロゴの特徴は、本質をついた直接的でシンプルなデザインであり、ロゴを通じて企業やブランドのコンセプトを明確に感じることができるとの定評があります。今日はマウリッツィオ・パニョッツィのロゴデザイン制作例を具体的に見ていきましょう。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, Maurizio!)

 

デザインスタジオのロゴ制作例

デザイン事務所のロゴ制作例2

パニョッツィのロゴデザイン作品のビジュアル的な大きな特徴の一つに、文字や数字を主体にして作られたロゴが多いことがあげられます。

デザイン事務所のロゴ制作例

この『One Design』はパニョッツィのデザインスタジオのロゴ、いわゆる彼の作品の特徴を最も明確に表している作品です。力強いサンセリフ系のフォントを幾何学的に製作し、正方形の枠の中に納めた非常にプレーンな構成です。一見シンプルに見えるこのロゴですが、文字と文字との距離感や正方形内に納めた場合の上下の微妙な余白の取り方など、ロゴマークとしてバランス良く見えるように緻密にデザインされた作品です。カラーバリエーションはモノクロームのみ展開となっています。

 

化粧品ブランドのロゴ制作例

コスメブランドのロゴ制作例

コスメブランドのロゴ制作例2

2B (bio &beauty)は、クリスタルの粒子を表皮に当てて表面の皮膚の傷を除去しながら若くて瑞々しい肌を生成するという、クレンジング方法に使用されるコスメ製品を製造、提供する企業です。

このロゴデザインは、『Bio(ビオ)』と『Beauty(美)』の頭文字の二つのBから成る『2B』がメインロゴです。「ビオ(オーガニック)」と「美を追求するというこの企業のコンセプトを表すように、『2』と『b』がお互い絡み合っているというシンボルのロゴが生まれました。ターコイズブルーを基調色として、ロゴデザインとパッケージデザインは展開されています。

ロゴパッケージ適用例

女性用と男性用のラインナップを持つ2B (bio &beauty)ですが、どちらも綺麗な美しい肌を作り上げるための製品という理念は変わりません。パッケージデザインに見られるターコイズブルーとグレーの小さな円で構成されたパターンは、2B (bio &beauty)の製品の皮膚を滑らかに均一に保つとされる粒子を表現しているようにも見られます。『2b』のロゴとこの円のパターンで構成されたコンビネーションのデザインは、製品の持つ、クールでクリーンなイメージを見事に醸し出しています。

 

架空の出版社のロゴ制作例

出版社のロゴ制作例

この『book』ロゴは、2013年、ナポリのILAS学校でのグラフィックデザインコースにて研究プロジェクトの一環で生まれたものです。プロジェクトの目的は、20世紀に活躍した重要なグラフィックデザイナーに捧げる書籍を出版する仮想の出版社のロゴ作成でした。

このロゴマークは、シンプルながらも緻密に計算して配置した文字を主とするパニョッツィのロゴデザインに対する取り組み方の姿勢が顕著に表れています。正方形の中に『book』の4文字を2段組に配置した構成です。文字自体のデザインも、同心円をモチーフにして作られ、このロゴを配置したパッケージデザインにも、ロゴと同心円のモチーフのパターンが上手く調和されています。

出版社のロゴ展開例

出版社のロゴ展開例

カラーバリエーションは、基本ロゴは黒色。その他スペシャルエディションとして、赤色や金色にも展開して、こちらのカラーコンビネーションも非常に興味深いものに仕上がっています。

 

クリエイティブチームのロゴ制作例

ロゴマーク制作例

次は『Macride』のロゴデザインを見てみましょう。このMacrideの名称は、上記のナポリののILAS学校で知り合い、一緒に活動をすることを決めたMaurizio(マウリッツィオ)、Cristiano(クリスティアーノ)、Denise(デニーズ)の頭文字をとって作られた名前ですが、ギリシャ神話の中の妖精Macrideの名前でもあります。

神話によると、AristeoとAutonoeの娘であるMacrideは 、Dionysusという赤ちゃんに蜂蜜を与えながら養育したとあります。ロゴマークに使われている六角形は、ミツバチの巣の細胞の六角形からインスピレーションを受けたということです。

ロゴ活用例

ロゴデザインの構成は、三つの緑の長方形が起点となっています。Maurizio、Cristiano、Deniseの三人のパートナーをこの長方形で表し、「新鮮さ」や「生命力」そして「希望」を連想させるグリーンを基調色として展開されています。パートナーそれぞれに異なった個性があるように、異なるトーンを持つ三種のグリーンを使用。妖精Macrideが赤ちゃんのDionysusを育て上げたように、三人(長方形)がそれぞれの個性を大事にしながら共に活動することで新しいもの(六角形)を生み出す、というロゴ・コンセプトです。サンセリフ系のフォントが使用されたこのロゴは、見た目にもとても安定感のある落ち着いたものに仕上がっています。

 

ジュースバーのロゴ制作例

ジュースバーのロゴマーク

『pistinèga(ピスティネーガ)』はイタリアのボローニャ(Bologna)にあるジュース・バーです。店舗の名称pistinègaは、『にんじん』を意味するボローニャの方言から付けられました。にんじんやほうれん草、りんごやオレンジなど、新鮮な野菜と果物を使ったフレッシュジュースやスムージーを提供する新感覚な軽食店です。

ロゴのコンセプト

このロゴのコンセプトは、お店のコンセプト「新鮮な野菜(にんじん)・イコール(è)・自分たちの提供するもの(ジュース)」と連携しています。イタリア語のイコールを意味する『è』をにんじんのに見立て、イラスト化したものをネーム・ロゴに使用。

にんじんを象徴するカラーであるグリーンとオレンジを基調色とした構成であることも注目すべき点です。「新鮮さ」をイメージするグリーン、「食欲を増進させる」効果のあるオレンジの色をうまく採用しつつ、ポップで爽やかなものに仕上がっています。

このロゴを使用した、ラベルのデザインやパッケージデザインの展開を見てみましょう。

ロゴの展開事例

ロゴの展開事例

ネーム・ロゴのにんじんのイラスト部分が、お店のシンボルマークとして使用され、包装紙、カップ、またピンバッチなどのモチーフになっています。このにんじんのイラストを見ただけで、「あ、ボローニャのあのジュース・バーね。」と認識されるシンボルマークになりつつあり、見ただけでブランドの名前やその活動を感知させるロゴデザインの成功例の一つであるとも言えます。

 

物流企業のロゴ制作例

ロシアのモスクワに本社を持つNML Newmark Logistic社は、配送、貨物分野の全般サービスを提供し、また税関仲介業者としての業務も担っている会社です。

この会社のロゴ制作依頼は、NML Newmark Logistic社からは、高い専門性、現代感、そして強い責任感を持って業務をしていることを反映させながらの、『赤色の使用』、『シンプルな』、『記憶してもらいやすい』 ロゴという要望だったそうです。パニョッツィはこの要望を取りいれた三つのロゴ案を提案します。それぞれの案は、配送を全方位に示唆する矢印や、輸送を示唆する箱(ボックス)をモチーフにしたもの、またムーブメントをイメージして作られたものですが、ここでは第三案の採用案を見てみましょう。

運送会社のロゴマーク

シンボルマークと文字部分の二つの要素から構成されているロゴですね。シンボルマーク部分は、配送ボックスを象徴した正方形の中に、動きや方向を表現する矢印の構成で成り立っているシンプルなわかりやすい形状です。矢印を採用するロゴマークは日常的にもよく見られますが、動きや速さを彷彿させるものが多いです。文字部分は、サンセリフ系のフォントを使用することで力強く厳格なイメージを作りあげています。

この二つの要素を合わせることによって、信頼性や緻密性を感じさせるロゴが生み出され、使用されている赤色の持つ『活動的』なイメージも付随した仕上がりとなっています。

 

石鹸ブランドのロゴ制作例

石鹸ブランドのロゴ制作例

Micelleという石鹸のブランドのロゴ、パッケージデザインです。柔らかいセリフ系の文字に繊細な装飾を加えることで、より一層エレガントでフェミニンな雰囲気を醸し出す文字に仕上がっています。

ロゴのパッケージへの展開例

採用しているカラーは濃紺紫とベージュのコンビネーションです。高貴で感性を豊かにする濃紺紫色と安心感と落ち着いたナチュラルカラーのベージュの組み合わせで作られたロゴは、石鹸そのものの品質を保証するのに役立っています。葉や花などをパーツにしたエンブレムと装飾された『M』の文字を使用したパッケージパターンは、伝統を感じさせるデザインに仕上がっています。

 

ブランドイメージの統合(リ・スタイリング)事例

最後に見て頂くのは、親会社ブランドResarch Square社と、サブブランドAje社と、Rubriq社の各々のロゴのリ・スタイリング例です。Resarch Square社は、世界中の科学や医学の研究者が各々の仕事や功績を伝えるためのツールやサービスを提供することにより、研究者を支援する団体です。Resarch Square社の傘下にあるAje社とRubriq社はそれぞれ言語翻訳・編集サービスや研究者のコミュニケーション支援サービスを通して、研究者や学術評論者と出版編集者のネットワークをサポートしています。

 

この三ブランドのロゴのリ・スタイリングのプロジェクトでは、

1)親ブランド(Resarch Square社)と二つのサブブランド(Aje社とRubriq社)の統一したロゴ・システムを作る。

2)Resarch Square社は現代的かつ革新的な企業であることをロゴに反映させる。

3)Resarch Square社は研究者のコミュニケーション問題をサポートする企業であることを視覚的に認識させる。

という三つの目標が掲げられました。ここで、この三つのロゴを見ていきましょう。

 

ロゴリニューアル例3

まず、Resarch Square社のロゴですが、社名の頭文字の『R』と『S』に、『Square – 四角いボックス』を、緑黄色の面で構成しながら簡略化したものを組み合わせて作られています。黄色は有彩色の中で一番明るく、見ているだけで楽しい気分にさせてくれることでコミュニケーションを円滑に保ち、また知性を刺激するのに効果的な色です。緑色は安心感や安定・調和を表し、心をリラックスさせる作用があります。この両色の採用は、Resarch Square社は現代的で革新的なアイデンティティを持ちながらも、同社が提供するサービスには信頼と安心感が持てるものであることを視覚的に促す効果をもたらしています。

 

次はRubriq社のロゴです。Resarch Square社のロゴを小さく取り入れることでResarch Square社との連携を表現しています。また、従来のロゴに使われたフォントを変更し、イノベーションやダイナミズム、そして現代性の感覚を反映したフォントを採用。従来のロゴに比べて、シンプルながらも学術的な意味合いの高いものを想像させる仕上がりになっています。

 

ロゴリニューアル例2

三つ目は、Aje(American Journal Experts)社のロゴです。Aje社はこの三つのブランドの中で、一般的に最も知られたブランドです。前述の通り、このリ・スタイリング・プロジェクトに課された最大の目標は、親ブランドとサブブランドの視覚的な統合ということですが、このAje社のロゴに関しては、顧客の認識している従来のロゴから、問題なく新しいロゴへ移行させ、再認識を図るという点が重要なポイントでした。

実際出来上がったものを見てみると、従来の書籍を模った様相を引き継ぎながらも、Resarch Square社のロゴの本質を背後に組み入れながらのカラーリングやフォントの変更を成し、新しい感覚の誰にでも分かりやすく覚えやすいデザインとなっています。

カラーも統一


まとめ

駆け足でマウリッツィオ・パニョッツィの作品をみてきましたが、いかがでしたでしょうか。

とあるインタビューで、「ロゴを制作にあたって一番気をつけていることは何ですか。」の問いに、パニョッツィは「良いロゴというのは『機能する』ロゴです。この『機能するロゴ』を作るには、デザイナーは(クライアントから)与えられたマテリアルや情報の中から正しい選択し、デザインに活かすべきであると思います。」と答えています。

伝えたいイメージを明確にし、独自のデザイン表現によってその効果を一回りもふた回りも大きくさせるロゴをデザインしているパニョッツィの姿勢は、ロゴデザインをする全てのデザイナーにとっても参考になるのではないでしょか。

 

Designer : Maurizio Pagnozzi ( United Kingdom )

・この記事は制作者に許諾を得て掲載しています。

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