クリーンで爽やかなイメージを伝えるミネラルウォーターのロゴデザイン制作例

水。それは、この地球上になくてはならないもの。そして、私たちが生きていくために必要不可欠なもの。そのイメージは、清らかで美しく、自然からの恩恵を感じるものです。 今回ご紹介するロゴデザインは、そんな水に関するもの。ミネラルウォーターをボトルや宅配で販売しているウクライナのメーカー「РОСЯНА」のロゴマークとブランディングについてです。サンフランシスコでビジュアルデザイン・ブランディングを行うRoman Vynogradnyi 氏の作成からご紹介します。 ※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。（Thank you, Roman! ）

フレッシュな植物のイメージを纏った、親しみやすい宅配ミネラルウォーターのブランディング

ブランド名「РОСЯНА」は、ウクライナ語での表記で、英語圏では「Rosiana」と呼ばれています。ブランドのロゴデザインは、親しみやすくシンプル。丸みを帯びたサンセリフ体をベースに「水」をイメージした水色で色付け、「O」の文字の真ん中を水滴のモチーフで埋めています。

そして、上図のデザインが、宅配ボトルのパッケージデザインにもなっているビジュアルです。ロゴデザインを水滴のフォルムで囲み、水が跳ねるエフェクトをつけ、周りに花やグリーンを散らしています。ロゴマークを置いてある中央部分は濃いブルーで塗りつぶし、周りを明るいカラーで飾ることで互いの存在感が増し、デザインとしての相乗効果を生み出しています。

旧デザインと新デザイン

上図は旧ロゴを使った旧パッケージデザイン、下図は新しいロゴを使った新パッケージデザインです。旧デザインと新デザインでは、同じ「滴」をデザインのモチーフにしているものの、全く異なるデザインイメージです。 旧デザインは背景のグレーが重く、水らしからぬ暗いイメージ。ロゴマークの中に水滴の加工が施してはあるものの、細かすぎて目に入ってきません。周囲に弾けるような水のイメージを配置したかったという意図は汲み取れますが、残念ながらあまり効果的とはいえません。

新デザインのコンセプトは、大きく捉えると旧デザインと変わってはいません。ただ、表現の方法を明るく現代的にアレンジするだけで、随分と印象は変わります。

ビジュアルの刷新に伴い、パンフレットやグッズ、チラシデザインなどもすべて新しく作りなおされました。シンプルでクリーン、そしてわかりやすさを兼ね備えた、すべての年代の人に受け入れられるユニバーサルなデザインです。

自然のイメージを取り入れたミネラルウォーターのロゴデザイン

ご存知のとおり、自然の中での水は森林によって蓄えられ、ミネラルたっぷりの美味しい水を育みます。その、森林と水との関係性をデザインに生かしたのが、ミネラルウォーター「Феофанівське Джерело ( Feofania Spring )」のロゴマークです。

赤いロゴタイプの上にある森林のようなデザインは、まさに水を育む木々をイメージしたもので、上図のように実際の森林の写真から着想を得て描き起こされています。木々のイラストにたゆたうような水面。とてもわかりやすく、親しみやすいロゴデザインです。

新たなロゴデザインをパッケージにした商品画像です。透明のフィルムに木々のシルエットをデザインし、その中にロゴマークを置いています。森に抱かれる水のナチュラルなイメージと、クリアで爽やかな味わいのイメージを両方実現した、ミネラルウォーターらしいパッケージデザインです。

こちらは、デザインの刷新に合わせ新調されたグッズデザインです。雄大な自然のイメージを形にしたレターセットは商品のイメージと見事に合致します。

また、キャップに施されたデザインは商品名の中にあるキリル文字「Ф」をモチーフに、その先端から噴水のように水を吹き上げているというもの。ちょっとした遊びゴコロが程よいアクセントになっています。

この2つのデザイン作例は、実は同じ会社の別ブランドです。同じ水をテーマにしながらも、宅配用と小売り用でデザインイメージを使い分け、それぞれに商品の特性を活かしたブランディングを仕掛けています。

家庭用や業務用としてニーズのある宅配用は、多くの人から好意を抱かれるようなユニバーサルで親しみを感じるデザイン。コンビニエンスストアや自動販売機で売られるボトルは、一目でミネラルウォーターだと判別しやすいシンプルなデザイン。 同じ商品でも、ロゴデザインやパッケージデザインを工夫することで、ターゲットとする購買層に効果的にアプローチすることができます。ロゴデザインをする際は、これらの作例を参考に、ターゲットを意識したデザインアプローチをしてみてはいかがでしょうか。

design : Roman Vynogradnyi ( USA )