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フライヤーデザイン

タイポグラフィに独特のセンスが光る中国Reesaw Studioのデザイン作成例

フライヤーデザイン

デザインスタジオReesaw Studio(理所设计事务所)は、中華人民共和国の浙江省寧波(にんぽう)市に事務所を構え、上海など中国各地のクライアントにサービスを提供しています。

Reesaw Studioのデザインは、漢字と英文字を併記したタイポグラフィに特徴があります。中華人民共和国では、ほかの中華圏の国や地域、日本などで使われている漢字よりも簡略化された「簡体字」が公式の表記文字です。

しかし、同スタジオの制作例には、簡体字が使われているものもあれば、香港や台湾などで使われる、画数の多い複雑な「繁体字」も見られます。ここには、上海など、同スタジオが主に活動するエリアの地域性があるようです。

ミニマルなアプローチが多く、シンプルでユーモラスなイラストやグラフィックエレメントとの組み合わせを得意としています。ポップなデザインがある一方で、歴史を感じさせるオーセンティックな雰囲気に、現代的なアレンジを加えたブランディングも見られます。※記事掲載はデザイナーの承諾を得ています。(Thank you, Reesaw Studio!)

 

若者に人気のエリアで開く郷土料理レストランのブランドアイデンティティ

郷土料理レストラン

国土の広い中国にはさまざまな郷土料理があります。中国で八大料理のひとつに数えられる湖南料理のレストランのブランドアイデンティティをReesaw Studioは手がけています。

北京には、「胡同(フートン)」と呼ばれる、昔ながらの横丁が残っているエリアがあります。下町風の古い建物を利用してレストランやカフェ・雑貨店が立ち並び、流行の発信地となっています。

北京のおしゃれな地区にオープンした新店舗

レストランの外観デザイン

レストラン「渔芙南」は、湖南省衡陽(こうよう)市出身のオーナーが2014年に1号店をオープンしました。湖南料理の中でも特に衡陽の郷土料理を提供するプライベート・レストランです。料理のクオリティはもちろんのこと、ブランディングも注意深く行い、おしゃれな店としても人気を得ました。

渔芙南の3店舗めのために選んだのが、后海(ほうはい)エリアです。后海は、北京市内の湖のひとつで、胡同の古い街並みが残る観光地でもあります。早くからバーやカフェが登場した后海エリアは、北京の若い世代に人気のおしゃれスポットとなっています。

隠れ家的プライベートレストラン

レストランのロゴデザイン

新店のオープンにあたって、オーナーが声をかけたのがReesaw Studioでした。オーナーは、3店目のレストラン「渔芙南」(英語名 The Southern Fish)に、「隐海」という、一種のショルダー店名を付けました。英語では「Hide in Houhai」(后海に隠れる)と表現されています。

レストランのロゴデザイン2

背後に拡がるおだやかな湖と、大勢の客が訪れるにぎわいがコントラストを描いているのが后海エリアです。オーナーは、この活気あふれるロケーションのレストランを、湖の静けさを取り入れた空間にしたいと考えました。それが、店名「隐海(Hide in Houhai)」が添えられた理由です。

シンプルでモダンなビジュアルアイデンティ

ブランドカラーパレット

隐海渔芙南のためにReesaw Studioがとったアプローチは、シンプルでモダンなものでした。

カラーパレットは、湖を連想させるブルーと、落ち着いたトーンのグレーです。

ロゴタイプ

「渔芙南」のロゴタイプは、中国古代の篆書体(てんしょたい)にインスパイアされたと思われる、モダンでグラフィカルなデザインです。また、店内に掲げられている「隐海」と「Hide in Houhai」を組み合わせた店名は、ゴシック体の簡体字とサンセリフ体の英文字が使われています。

タイポグラフィは、日本語の明朝体に相当する書体と、それにマッチするセリフ体の英文字、それぞれ1種類のみ。使われているウェイトもほぼ1種類だけです。

レストランのフライヤーデザイン

メニューやオープン告知フライヤーなどでは、ゴシック体の繁体字や、特徴的なセリフ形状を持つアラビア数字を効果的に組み合わせています。

デザインエレメント

グラフィックは、細い水平ラインで湖面を表現したものに、単純な幾何学図形で描いたボートや魚、湖南の山などのエレメントが組み合わされています。波のパターン・山の三角形・市松模様は、ビジュアルアイデンティティの基本エレメントとなっています。

店舗ごとに異なる体験を提供

魚のシンボルマーク

象形文字のような魚のシンボルマークと、ブランド名「渔芙南」のロゴが異質です。これは1号店のオープン時から使われていたものです。最初のレストランのビジュアルアイデンティティは、店のインテリアや備品に色の揃った木製素材を採用し、食器などの質感や形状にも細やかに配慮されています。トータルにコーディネートされたアイデンティティに、シンボルマークとロゴも溶け込んでいました。

レストランのインテリアデザイン

2号店をオープンしたとき、オーナーは1号店とは異なる空間を作りたいと考えました。そして、3号店である隐海渔芙南は、それらとはまた違う体験を来店者に味わってもらいたかったのです。モダンで幾何学的なデザインは、そのために選ばれたアプローチです。一方で、すでに人気レストランとなっていた「渔芙南」と同じブランドであることを明示するために、1号店以来の同じロゴデザインが引き続き採用されました。

渔芙南|北京|2020
项目主理 | 周昕
艺术指导 | 殷颂华
主案设计 | 郭法攀
设计师 | 姚倩
空间设计 | 门里品牌顾问(北京)有限公司
空间摄影 | 周倩倩
项目时间 | 2020.11

 

公園をモチーフにした、点心ブランドの画期的なテーマショップ

点心ブランドのデザイン

餃子・焼売・春巻・杏仁豆腐・マンゴープリン・エッグタルト・蒸しパン……。どれも、すっかり日本の日常に浸透したおなじみの点心だと思います。また、旅行で中華圏の国に行ったときにも、本場の味を確かめたくなるカジュアルな食べ物です。

中国料理店・飲茶専門店・点心専門店・スタンド・屋台など…いろいろな場所で点心は楽しめますが、店舗の雰囲気はだいたい想像できると思います。ところが、それらの先入観を吹き飛ばす、おどろきの点心ショップが2022年に上海に登場しました。

おどろきのテーマショップ「点心公園」

上海を拠点に点心を販売してるブランド「廣莲申」は、商品自体の力で一定の消費者を獲得してきました。しかし、その多くは、いわゆるおじさん・おばさん世代で、ブランドイメージは「地元の老舗ブランド」というものでした。

パッケージデザイン2

廣莲申は、既存のマーケットを失わずに若い世代にアプローチしたいと考えていました。依頼を受けたReesaw Studioは、”見慣れた風景の中で新しい試みをすることで、普通のブランドから脱却する”という戦略をとります。それは、公園の雰囲気を持ったテーマストア「点心公園」として具現化しました。

上海の公園にはさまざまな人が訪れます。早朝から高齢者が運動したり、子供が遊んだりします。楽器を練習したり、チームでダンスをする人たちもいます。「公園で毎日つむぎだされる物語は、街の発展の歴史に刻み込まれている」とReesaw Studioは考えました。つまり、上海と結びついた、ブランド独自の文化的コンテンツを作り出すために選ばれたのが、【公園の風景】です。

市民公園の風景を再現

店員のユニフォーム

点心公園は、店舗の外観から、内装・パッケージ、スタッフのユニフォームまで、公園の雰囲気を出すことを目的に作られています。ベンチやニューススタンド、お菓子売り場、子供用の回転椅子、遊歩道、揺り木馬など、公園で見られる典型的な要素が使われています。

ブランドのグラフィック

アイデンティティカラーは、春の公園をイメージしたグリーンです。ビビッドな色とともに、躍動的なタイボグラフィが目を引きます。タテヨコのプロポーションが、文字ごとに極端に変えられいるため、公園でよく目にしている器具や標識などが、特別なものに感じられます。

パッケージデザイン

文字以外のグラフィックな要素は、最小限にとどめられています。それらの要素は、幾何学的でミニマルなデザインです。標識に似せた、自転車に乗る人や、犬を散歩させている人は、ピクトグラム風に描かれています。あらゆるアイテムやグッズが、「普通であってはいけない」という強迫観念に駆られてデザインされているかのようでおもしろいです。

点心公園は、廣莲申の3番目のテーマショップです。今後も別のコンセプトで、新しいテーマショップが作られていく予定だということです。

廣蓮申·点心公园|上海|2022
项目主理 | 周昕
艺术指导 | 殷颂华
创作指导 | 陈雯
设计师 | 江佳妮、冯昊阳
空间设计 | 或者设计
产品摄影 | 冯小超
物料摄影 | 温馨
项目时间 | 2022.02

 

建設現場をテーマにしたベーカリーショップのブランディング

ベーカリーショップのデザイン

安徽(あんき)省の省都である合肥(ごうひ)市を拠点とする、焼き菓子製造企業「安徽菜迪軒グループ」は、1990年代に創業。中国東部の直営チェーン店は、これまでに300店舗を超えるまでになりました。直営ショップは、ブランド名「巴莉甜甜」(Berry Sweet)で展開されています。

新しい体験を提供する実験的な店舗「Berry Project」

プロジェクトロゴ

ブランドイメージ

安徽菜迪軒グループは、品質向上やサービスのレベルアップに非常に熱心です。公的農業期間や大学との共同改革による技術革新を行うとともに、新しい製造プロセスの採用や、最先端の生産ラインの導入を続けています。サービスや管理のレベル向上のために、特別チームを編成して、国内だけでなく、日本・韓国・台湾からの吸収も怠りません。

前面が陳列・販売スペース、バックヤードに厨房、というのが従来からの店舗構成です。これとは異なる、新しいコンセプトの店舗が「Berry Project」の名前で計画されました。そのアイデンティティデザインをReesaw Studioが手掛けています。

都市の建設現場をモチーフにしたアイデンティティデザイン

ベーカリーのデザイン

Berry Projectの店舗は、快適レジャーエリア、ギフトボックス陳列エリア、季節もの展示販売エリア、ケーキDIY…など、従来にないスペースが設けられています。また、フードの提供についても、配膳、焼き作業、ドリンク、ドーナツ、ゴマ茶飲料、バースデーケーキオーダーなど種類や目的ごとに細分化された構成です。

Berry Projectの訪問客は、伝統的なベーカリーやスイーツショップとは異なる体験を味わうことになります。その体験を視覚的にサポートするために、Reesaw Studioは、【都市の建設現場】をモチーフとして採用しました。

ユニフォームデザイン

建設現場がモチーフのパッケージデザイン

ブランディング2

ブランディング1

店舗のインテリアから、什器、スタッフのユニフォーム、パッケージ、販促物まで、徹底してコンセプトに基づいて展開しています。パンあるいはスイーツと建設現場という、とても異質なものの組み合わせは、とても印象的です。

それと同時に、発展を続ける都市の建設現場シーンはブランドの姿勢も示しています。つまり、先進的なアイデアや技術の導入に貪欲で改革の歩みをとめない、というブランドの姿勢を正しく伝えるメッセージでもあります。

巴莉甜甜|合肥|2022
项目主理 | 周昕
艺术指导 | 殷颂华
创作指导 | 郭法攀
设计师 | 江凡
空间设计 | 或者设计
产品摄影 | 卤咸
物料摄影 | 温馨
项目时间 | 2022.09

 

design : Reesaw Studio (China)

 

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