デザインが指し示すブランドのかたち~台湾の人気デザインオフィスに学ぶブランディング術

台湾にあるTU Design Officeは、代表でありヘッドデザイナーである、TU MIN SHIANG (涂 閔翔)が設立したデザインオフィスです。TU MIN SHIANGは国内外のデザインコンペティションで多くのタイトルを獲得している、台湾の著名なデザイナーの一人。ビジュアルコミュニケーションを得意とする彼は、国立台湾大学でデザインビジネスの講師を務めながら、国内外の企業ブランディングを数多く手掛けています。

TU Design Officeはデザインを「企業を元気にする医師のようなもの」と表現します。デザインはクライアントの抱える問題を解決するのに、もっとも力を発揮するダイレクトな手法といえます。企業の真の価値を明確にし、それをあらわすカタチを多くの人へ伝えることができます。デザイナーたちはその専門スキルを生かし、どうすればその企業の魅力を引き出すことができるか思案し、イニシアチブをとって問題解決へと導きます。

今回はどのようなプロセスを経て、デザインがブランドに活力を与えていくのかを、TU Design Office (涂設計)が手掛けた実例を元にご紹介したいと思います。ロゴデザインからスタートし、ポスターやチラシ、梱包部材や販促品など幅広く制作されていきますが、どの例もポスターやチラシのデザインが際立って目を引くものが多くみられました。※記事掲載はデザイナーの許諾を得ています。(Thank you, 涂 閔翔 – Tu Design Office! )


 ストリートの雰囲気をオリエンタルにアレンジした新業態のブランディング

レストランのブランディング

「Cook BEEF!」は、今までにない新たなスタイルのフランチャイズレストランです。真空調理加工されたビーフステーキをオリエンタルライスにのせた、いわゆる丼ものが主力。日本では見覚えのあるメニューですが、台湾では斬新な料理ということもあり、新たな食のスタイルとしての提案が必要でした。

ロゴの考え方

西洋と東洋の融合のようなこのメニューは、ロゴマークを考える際にも、その両者のカルチャーを意識して作られています。ストリートの壁面で見かけるようなPOPな書体を、筆を用いた書道で表現。この意外とも思える組み合わせですが、筆の勢いと弾むような書体が合わさることで、斬新な躍動感を生み出しました。

ロゴマークの完成イメージ

こちらが完成したロゴマークです。

 

ストリート感あるイラスト

ロゴマークの後に考えられたのが、ロゴと共にビジュアル・アイデンティティを担うイラスト群です。力強くエネルギッシュなロゴマークとは対象的に、繊細かつ緻密なイラストが考案されました。イギリスのストリートの風景を切り取ったようなイラストと、お店で提供される食材やカップ、食器なども同じテイストで描かれます。

 

インパクト大なレストランのチラシデザイン

そして、出来上がったロゴマーク、イラスト群を組み合わせ、デザインしたのがこのチラシ/ポスターです。赤×黒×白のセンセーショナルなカラーの組み合わせが第一印象で度肝を抜く、インパクトの強いチラシ/ポスターデザインです。筆文字の勢いが紙面全体に動きを与え、下部でこちらを睨む不動の犬の姿勢が安定感をもたらしています。英語と漢字が同居するデザインというのはアジアでは当然のスタイルですが、特にこのポスターに限っては、筆文字と西洋のイラスト、漢字と英字による文字情報が入り乱れることで、文化のミクスチャーとも言うべきか、ある意味シュールささえ感じるほどの印象の強さがあります。

 

驚きを表現したポスターデザイン

こちらはエクスクラメーションマークを主体とした別バージョンのポスターデザインです。多くは語らないデザインですが、エクスクラメーションマークの存在がその注目すべき店の存在を伝えています。単体使用では情報量が少なすぎるかもしれませんが、店内ディスプレイとしての利用や、メインのポスターと合わせて貼り出すことで、そのインパクトをより強める効果が期待できます。

 

荒々しい勢いのあるチラシデザイン

こちらは別バージョンのチラシ/ポスターデザインです。筆文字の勢いと飛び散る墨のしぶき。日本でも「肉」というだけで若い世代などはテンションが上がってしまいますが、ある種の高揚感を伝える手法として筆文字というのは、デジタルな書体ではあらわせない味わいをもっています。

 

ビジュアルのブランディング1 ビジュアルのブランディング2

これらデザインをベースに、チラシ・カードや食器など多くのビジュアルが制作されます。どれも、情熱的で勢いのある個性的なデザインばかりです。これだけパンチの効いた絵柄ですから、どの作品も見る人の記憶に鮮烈な印象を残すことでしょう。

 

店舗外観のデザイン

実際の店舗デザインも、あのポスターがポップアップで再現されたような、コンセプトに忠実なデザインです。

内装・ユニフォームデザイン

インスタグラムを意識した撮影スポットもオシャレです!

ロゴマークから店舗デザインまで一貫して力強いデザインで表現されたこの事業は、確実な認知度の向上という、フランチャイズという形態を運営する上で非常に大切な要件を満たしています。


香港から上陸した、カジュアルな点心専門店のブランディング

点心専門店のブランディングDimDimSumは、香港生まれの点心専門店です。従来、点心は中華レストランで提供されるものというのが常識でしたが、DimDimSumはファーストフード感覚で点心だけをオーダーできるカジュアルなお店。その手軽さとメニューの独自性から人気に火がつき、香港から上海、そして台湾へと上陸することになりました。

台湾進出する際、ブランディングを手掛けたのがTu design officeです。元々カジュアルな印象の展開をしていたブランドですが、対台湾向けの戦略として「香港らしさ」や「料理についてのこだわり」を表現するため、ビジュアルデザインは伝統的要素と現代的要素の組み合わせという方向に絞られました。

 

チラシ・ポスターの制作例

香港を感じさせる要素として「電飾看板」や「カンフー」をチラシやポスターのビジュアルデザインに積極的に採用しています。香港の町並みを思い出す時、そこには空間を埋め尽くすほどの色とりどりの看板、その看板に書かれているおびただしい量の漢字や絵。情報の洪水のような印象を思い起こさせます。それらのイメージを念頭に、イラストや写真、漢字、英字など多くの要素を所狭しと配置したチラシ/ポスターデザインが作られました。

構成要素が多く内容がぎっしり詰まっているにも関わらず、まとまりよく整然とした仕上がりになっているのは、書体のウェイトに変化を持たせ、適度なメリハリを効かせているのが大きなポイントです。また、イラストも丁寧に手描きされており、一つ一つの要素を吟味して配置していくことで細部まで行き届いたこだわりを感じる一枚に仕上げられています。

メニューがヒントに

メインキャラクターの豚は、DimDimSumの人気メニューである「カスタード豚まん」から生まれた豚のシェフ「カンフーマスター豚」。料理や看板のイラストと同様に繊細なタッチで描かれています。

 

少しお茶目なチラシデザイン

こちらは、前出のチラシ/ポスターをアレンジして制作されたものです。イラストで描かれたカンフーマスター豚同様、カンフーの構えをきめているのは、DimDimSumの台所で腕を振るうマスターシェフたちです。カンフーの達人並みに卓越した技術を誇るシェフたちの、普段は見ることのできない姿を掲載することで、お店に対する親しみ、そしてこのユニークな試みで顧客の心に大きな印象付けをすることを目的としています。

 

同様のデザインをベースに、イラストと文字だけに絞り2色刷りにしたテーブルマットも制作されました。クラシックな雰囲気が引き立ち、味わい深い印象をもたせます。
飲食店のショップカードデザイン ショップバッグのデザイン

全体を通し統一されたビジュアルコンセプトに則り、チラシ・ショップカードや、メニュー、テイクアウト用バックなども制作されています。どれも共通した要素を使いながらも一工夫凝らされており、手間ひまかけられた丁寧な仕事ぶりが印象的です。

 

レストラン外観デザイン 看板デザイン

そうしたビジュアルコンセプトは、店内外装にも生かされており、天井には香港の町並みをイメージした沢山の看板が設置され、壁やテーブルは懐かしい雰囲気のタイル張り。看板や店内ポスターには、カンフーマスター豚やシェフたちが舞っています。

レストラン内観デザイン

このようにブランディングされた店舗は、台北で大きな反響を呼び、連日行列ができるほどの大盛況だそうです。


感覚的なコンセプトを表現したアイスクリームカフェのブランディング

アイスカフェのブランディング台湾でアイスカフェを展開する新ブランド「Yo Go Bee」は、「幸福感」「sweet」「ぬくもり」という感覚的なワードをコンセプトとし、ビジュアルデザインが進められました。豊富な果物を使って作られるアイスクリームは、どれも新鮮で自然の恵みを感じさせるフルーティーな味わいなのだそうです。

 

マスコットキャラクターのデザイン

これら商品の特性を伝えるため、ミツバチをベースに可愛らしいマスコットキャラクターが生まれました。蜂は、花の蜜や花粉を運び、巣で蜂蜜を生産するという生物的な役割が一般的なイメージとして浸透しています。

 

可愛いアイスのチラシ制作例それらのイメージをキャラクターに重ね合わせ、ハチが果実からアイスクリームを生産し、出来上がったアイスクリームを届けるというストーリーをイラストにし、ポスター・チラシデザインが制作されました。

イラストを使用したブランド展開1 イラストを使用したブランド展開2

随所に正六角形を象ったハニカム構造を登場させた、ハチたちのアイスクリーム作りのイラストがシリーズ化されています。

 

色鉛筆のイラストの柔らかさ

丁寧に色鉛筆で描かれたイラストは、どれも優しく淡い色調で描かれ、見るものに幸せを感じさせるような絵柄です。果実の色合いをベースに配色されているので、その甘みや香りを視覚を通してイメージすることができます。

 

アイスカフェのロゴデザイン

テイクアウトパッケージデザイン カップスリーブのデザイン

そのような基準でピックアップされた色味でロゴマークが展開され、テイクアウト用のカップやペーパーバックが制作されています。

 

キュートなデザイン

キャラクターのハチは、アイスクリームはもちろん、甘くて美味しいものを食べた時に感じる「幸せ」な気持ちも一緒に運んでくれます。見ていて心が温まるような優しいデザインは、子供から大人まで愛される癒しのブランドとなることでしょう。


いかがでしたでしょうか。どの事例も丁寧で配慮の行き届いた仕事ぶりが印象的でした。クライアントの持つ思いを見事にカタチにし、妥協をしない徹底した職人気質な仕事は、顧客側にとっても信頼を寄せられる確かなものなのではないでしょうか。Tu design officeが多くの企業から信頼され、数多くの実績を残しているのはそうしたことの積み重ねであることは間違いありません。

design : TU Design Office ( Taiwan )

 

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