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商標登録出願後の流れについて ~ 弁理士がお答えします。

商標登録出願後の流れについて ~ 弁理士がお答えします。

商標登録出願後の流れについて ~ 弁理士がお答えします。

商標登録出願後の流れについて

弁理士の加藤です。今回のコラムは前回の「商標登録出願したら…どうなるの?」の続きを説明したいと思います。

前回は、 “特許庁へ商標登録出願をすると、特許庁ではその出願に対して1件ずつ形式的な審査と実態的な審査が行われて、商標登録できない理由があるかないかを判断する” と説明しました。

では、この審査は商標登録出願がされてからどれ位の期間がかかるのでしょうか?

審査結果が通知されるまで1年!?

2020年現在は、【審査結果が通知されるまで1年以上の期間を要する】とアナウンスされています。

特許出願件数の推移

特許出願件数の推移

【参考】経済産業省「特許庁ステータスレポート2020」
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331014/20200331014.html

これは、近年の商標登録出願の件数が急激に増加したことによると言われています。数年前は半年程度で審査結果が来ていましたが、近年は審査結果の通知まで時間がかかっています。

今回のコラムでは、審査結果の通知までの期間を短くする方法や審査結果が来た場合の対応について説明していきます。

 

1.審査結果を早く得ることはできないの?

最初に審査結果の通知まで1年の期間を要すると説明しましたが、特許庁では審査未着手の案件について、着手見通し時期を公表しています。

特許庁 商標審査着手状況(審査未着手案件)

【参考】特許庁 商標審査着手状況(審査未着手案件)
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/status/cyakusyu.html
※コロナウィルスの影響でさらに遅れが生じる可能性があります。

この表を見ると、審査の着手が始まるまでに1年以上の期間を要することがわかります。

そのため、特許庁では早期に審査結果(権利化)を希望する出願人に対して【優先審査制度】や【ファストトラック制度】の活用を推奨しています。

早期審査制度やファストトラック制度は、一定の要件を満たすことで、審査・審理を通常に比べて早く実施する制度になります。ちなみに早期審査制度の要件は下記になります。

特許庁 商標早期審査・早期審理の概要

【参考】特許庁 商標早期審査・早期審理の概要
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/soki/shkouhou.html

 

私はクライアントとの打合せで「商標登録出願をすると審査結果の通知まで1年以上の時間がかかります。」と説明すると「そんなにかかるのですか?」と驚かれます。

そこで「早期審査制度を利用することで審査結果の通知を早くすることができます。」と言い【優先審査制度】や【ファストトラック制度】を提案しています。

早期審査制度では一定の要件を満たした上でさらに別途書類を提出することが必要です。ちなみに、ファストトラック制度は要件を満たすだけで大丈夫です。

そして、早期審査制度やファストトラック制度を利用することで通常は1年の審査・審理期間が3ヶ月~半年程度に短縮することができます。

これらの制度を利用することで、審査・審理期間の短縮が可能となるため、早期に審査結果(権利化)を希望する場合には、早期審査制度やファストトラック制度の利用を検討することをおすすめします。

 

2.商標登録ができないと判断された場合はどうなるの?

商標登録ができないと判断された場合について

特許庁において登録できない理由が発見された場合には、特許庁から出願人(又は代理人)に対して、拒絶理由が通知されます。

例として、商標登録出願した商標が他者の登録商標と類似する商標であったため、特許庁から拒絶理由の通知があったとします。

出願人(又は代理人)はこの拒絶理由の通知に対して、引例に挙げられた他社の登録商標と商標登録出願をした商標とは非類似である旨の意見を述べたり(意見書の提出)、指定商品・指定役務を補正したり(手続補正書の提出)する対応を取ることが出来ます。

また、指定商品・指定役務の補正等について審査官に意見を聞きたい場合には、電話又は面接で聞くことができます。詳しくは特許庁にある面接ガイドライン【商標審査編】をご確認ください。

【参考】特許庁 面接ガイドライン【商標審査編】
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/mensetu_guide_syohyo.html

上記以外にも拒絶理由の通知には数多くのパターンがあります。

このコラムで1つ1つ解説することは省略をさせていただきますが、拒絶理由の通知があっても意見書や手続補正書を提出することで登録査定を得ることは可能です。もし、拒絶理由の通知が来て対応にお困りでしたら、ぜひ専門家に一度ご相談いただければと思います。

 

3.商標登録ができると判断された場合はどうなるの?

商標登録ができると判断された場合

2とは逆に、特許庁において登録できない理由が発見されない場合には、特許庁から出願人(又は代理人)に対して、登録査定が通知されます。

登録査定を受け取っただけでは手続きは完了していません。

所定の期間(30日)以内に設定登録料を納付しなければ、商標権の設定登録はされません。

設定登録料は商標登録出願の区分数によって金額は異なりますが、決められた登録料を10年一括納付または5年ごとの分割納付とて納付する必要があります。詳しい費用については、下記を参照ください。

商標登録料

商標登録料について

【参考】特許庁 産業財産権関係料金一覧
https://www.jpo.go.jp/system/process/tesuryo/hyou.html

 

また、納付方法は書面(特許印紙や振込用紙など)やオンライン(口座振替やクレジットカードなど)など様々な方法で受付けてくれます。ここで設定登録料が支払われない場合には出願が却下されてしまいますので、ご注意ください。

設定登録がされると、設定登録日から2週間後に特許庁から登録証と設定登録証が郵便にて発送されます。

【参考】特許(登録)料支払期限通知サービスについて
https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/settei_nagare.html

商標権は更新をし続けることで半永久的に権利を存続させることができます。ですが、10年後(分割納付の場合は5年後)に更新登録申請料(分納額)を支払わなければ権利消滅となります。このような支払いを忘れないためにも特許には登録料支払期限通知サービスも用意されていますので、こちらもぜひご利用ください。

納付者への登録通知(設定登録通知書) 見本

納付者への登録通知(設定登録通知書) 見本

「特許(登録)証」及び「登録原簿」 見本

「特許(登録)証」及び「登録原簿」 見本

【参考】特許庁 権利化のための特許(登録)料の納付の流れについて
https://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/kigen_tsuchi_service.html

 

4.まとめ

今回のコラムは前回の「商標登録出願したら…どうなるの?」の続きで書かせていただきました。

近年、特許庁への出願件数増加により審査着手までの期間が長くなってきております。出願する場合には計画的にすることと、早期審査制度などを活用して効率的な権利取得をされることをお勧めします。

① 特許庁に審査・審理を早くしてもらうために、【早期審査制度】や【ファストトラック制度】を利用して早期の権利化が可能です。

② もし拒絶理由の通知があった場合には意見書や補正書を提出して反論することができます。

③ 登録査定が通知された場合には、登録料を納付することで設定登録されて登録証が発送されます。また、権利の更新のためには更新申請手続きが必要です。

ご質問等ありましたら、ご連絡ください。

 

※コラムは執筆時の法令等に則って書いています。※法令等の適用は個別の事情により異なる場合があります。本コラム記事を、当事務所に相談なく判断材料として使用し、損害を受けられたとしても一切責任は負いかねますので、あらかじめご了承ください。


<プロフィール> 加藤拓司(弁理士)加藤国際特許事務所 代表
大学卒業後に一般企業でSE(システムエンジニア)として勤務中に弁理士資格を取得して独立起業。現在、主に中小企業向けに起業や新規事業の立ち上げの支援や商品・サービス企画段階で知的財産権を活用したアドバイスを行う。趣味は音楽鑑賞や旅行、サイクリング、妻と娘1人、名古屋市在住。

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