シーンに合わせて使い分けたい、欧文フォントの種類について

欧文書体の種類について

グラフィックデザイナーにとってはお馴染みの、文字のスタイル「フォント」。広告物を制作する際、多かれ少なかれ登場する文字。文字は情報伝達の手段であることはもちろん、デザインパーツの一つでもあります。同じワードでも、フォントを変えて打つだけでガラリと雰囲気が変わります。今回は、欧文フォントにスポットをあて、その分類とスタイルについて考察していきましょう。

 

セリフ体 ~Serif Type Styles

『セリフ』とは、文字の端々に見られる小さな飾りのことで、日本語フォントの明朝体では「ひげ」や「うろこ」と呼ばれるパーツです。セリフ書体はこのセリフがついている書体の総称で、古代ローマ時代にこのスタイルが完成したことから、ローマン体とも呼ばれています。起源は、イタリアの石碑に彫られた碑文とされており、長い歴史があります。明朝体との相性が良く、デザインでは併用されることが多い組み合わせです。

 

■オールドフェイス ~Old Faces

サンセリフ書体-オールドセリフ

15世紀後半から18世紀にかけてヨーロッパで広まった活字体です。当時、フランスではルネサンスにより芸術活動が盛んに行われており、書体もその影響を受けて洗練された優雅な形へと変化を遂げていきます。

サンセリフ書体-オールドセリフ

セリフの形が滑らかな三角形を描く「ブラケット」になっているのが最大の特徴で、縦ラインと横ラインの太さにあまり大きな違いはありません。神殿の柱を思わせるような、滑らかで優しいカーブは、年月の重みと共に中世独特な美しさをもち、女性的で知性を感じさせるフォルムです。

代表的なフォント

・Trajan
・Century Oldstyle
・ITC Berkeley Oldstyle
・Garamond
・Palatino

 

■トランジショナルセリフ ~Transitional Serifs

サンセリフ書体-トランジショナルセリフ

オールドフェイスから後述するモダンフェイスまでの過渡期に広まったスタイルで、その形も2つのスタイルの中間点にあたります。

サンセリフ書体-トランジショナルセリフ

横のラインに比べ、縦のラインが細くなり、オールドフェイスよりも文字のスタイルにメリハリがあります。また、セリフ部分はブラケットスタイルではありますが、その存在感はやや控えめになり、オールドフェイスの頃と比べると幾分薄くなっています。 品を残しながらも全体に軽やかな印象となり、可読性に優れているためデザイン的にも広く汎用しやすい書体です。

代表的なフォント

・Baskerville
・Century
・Perpetua
・Times New Roman

 

■モダンフェイス ~Modern Faces

セリフ書体-モダンセリフ

トランジショナルセリフが広まったすぐ後、イタリアとフランスで誕生したのがモダンフェイスです。印刷技術や活字製造技術の向上で実現可能になった書体といわれており、横ラインと縦ラインの太さに決定的な違いが見られ、トランジショナルに比べてもそのコントラストの違いは一目瞭然です。

セリフ書体-モダンセリフ

さらに、セリフ部分も細く直線的になり、ほとんどの書体でブラケットが見られなくなります。このカーブを持たない線のようなセリフをヘアラインセリフと言い、ストロークの強い強弱とともに、モダンフェイスの繊細で洗練された美しさを特徴づけています。

モダンフェイスは、雑誌やポスターの見出しに使用されることが多く、ラグジュアリーな雰囲気を演出するのに適した書体です。

代表的なフォント

・Didot
・Bodoni
・ITC Fenice
・Walbaum

 

■スラブセリフ ~Slab Serifs

セリフ書体-スラブセリフ

19世紀に入り、広告表示用に普及したのがスラブセリフです。スラブとは石板の意味で、石板のように厚い板のようなセリフが特徴です。

セリフ書体-スラブセリフ

他のセリフ書体はストロークの太さや滑らかなカーブをもつプロポーションが特徴ですが、スラブセリフの場合、縦横のラインの太さにほとんど違いがなく、それと同じ太さの直線的なセリフがついています。文字の形としてはサンセリフ体に近く、サンセリフに無いはずのセリフを足したような独特のスタイルは、デザインに使用した際、強いインパクトを与えます。可読性が高く、どっしりとした安定感を与えるスラブセリフの代表格「Rockwell」は、1990年代にギネスの公式フォントとして使用されていたそうです。

代表的なフォント

・Rockwell
・Egyptian Slate
・ITC Lubalin Graph
・Clarendon


サンセリフ体 〜Sans Serif Type Styles

『Sans』とは、フランス語で「~のない」という意味で、「サンセリフ」=セリフのない書体の総称です。19世紀に登場したサンセリフ体は、セリフ体より後発にできた書体で、ポスターやチラシ、看板等商業目的として開発されたといわれています。その起源は、セリフ体であるスラブセリフであるとされ、その延長線上に考えられたのがサンセリフ体だという説があります。

フォントの変化

サンセリフ体は、セリフを持たないシンプルな構造と、ストロークに差がない可読性の高さから盛んに使われるようになり、様々なウェイトや文字幅、スタイルが開発され、グラフィックデザインに多用されることで進化し続けています。

 

■グロテスク・サンセリフ ~Grotesque Sans Serif

サンセリフ書体-グロテスクサンセリフ

サンセリフ体の出発点となった、もっとも古典的なサンセリフ書体。あまり飾り気がなく、シンプルかつスタンダードなデザインです。可読性に優れ、世界でもっとも人気があるといわれるフォント「Helvetica」もグロテスク・サンセリフに分類されます。

サンセリフ書体-グロテスクサンセリフ

大企業のロゴタイプや、交通機関のサイン等によく使用され、日常生活で目にする機会が多い書体です。

代表的なフォント

・Helvetica
・Univers
・Franklin Gothic
・DIN

 

■ヒューマニスト・サンセリフ ~Humanistic Sans Serif

サンセリフ書体-ヒューマニストサンセリフ

セリフ体のスタイルを汲むサンセリフ体です。無骨さが目立つグロテスク・サンセリフと比べ、柔らかな曲線やストロークの強弱など、セリフ体が持つ特性を備えた人間的な温かみを感じるラインが特徴です。

サンセリフ書体-ヒューマニストサンセリフ

可読性を維持しながらもそれぞれの個性を主張できる書体です。

代表的なフォント

・Frutiger
・Gill Sans
・Optima
・ITC Goudy Sans

 

■ジオメトリック・サンセリフ ~Geometric Sans Serif

サンセリフ書体-ジオメトリックサンセリフ

サンセリフ体の中でも、幾何学的な図形をベースに作成されたものを指します。

サンセリフ書体-ジオメトリックサンセリフ

ストロークの幅は均一で、文字そのものの形よりも図形としての形を優先しているため、読みやすさは他のサンセリフ体に劣るといわれていますが、未来感のある独特なシェイプはデザイン的に突出したものがあり、数多くの企業のロゴマーク等に採用されています。

代表的なフォント

・Futura
・Avenir
・ITC Bauhaus
・Harmonia Sans


スクリプト体 ~Script Type Styles

手書き文字がベースとなって開発された書体全般を指します。文字同士が連なるように表示されるのが特徴で、日本語では筆記体や連綿体とも呼ばれています。

 

■フォーマル・スクリプト ~Formal Scripts

スクリプト体-フォーマルスクリプト

17世紀から18世紀の習字教師の描いた文字をベースに作られた書体。当時の羽ペンや金属ペンで書かれた独特の筆跡を生かし、風格ある高貴な印象を与えるプロポーションが特徴。招待状や証書など、フォーマルなシーンで使用されることが多い書体です。

代表的なフォント

Bickham Script
Elegy
Kuenstler Script
Snell Roundhand

 

■カリグラフィック・スクリプト ~Calligraphic Scripts

スクリプト体-カリグラフィックスクリプト

筆文字を再現した書体。ベースとなる筆記具によってその表情は異なり、文字の形と筆の質感で個性的なデザインを表現することができます。

代表的なフォント

・Belltrap
・Blaze
・Mistral
・Vivaldi

 

■ブラックレター・スクリプト ~Blackletter Scripts

ブラックレター

日本でゴシック体というとサンセリフ体のことを指しますが、西欧諸国では、このブラックレター・スクリプトのことを指します。この書体で埋め尽くされた紙面は印字面が多く、真っ黒に塗りつぶされてしまうことから「ブラックレター」と呼ばれるようになったそうです。

文字の持つイメージは、まさに日本人がもつ「ゴシック」のイメージに相応しく、重々しいヨーロッパ中世の雰囲気が漂います。アンティークなデザインやファンタジーな世界を表現するような場面によく登場する書体です。

代表的なフォント

・Fette Gotisch
・Agincourt
・Cresci Rotunda

 

■カジュアル・スクリプト ~Casual Scripts

カジュアルスクリプト

20世紀初頭に現れた手書きを文字ベースにした書体。ブラシで描いたような筆跡が特徴で、フォーマル・スクリプトとは正反対に自由で活発な印象を与えます。

代表的なフォント

・Brush Script
・Kaufmann
・Freestyle Script


■装飾体 ~Decorative Styles

手書き文字をベースとして、絵的な見栄えを強く意識して装飾性を高めた書体です。その時代の音楽ムーブメントに影響を受けたデザインがよくみられます。グランジ、サイケデリック、グラフィティ、の3ジャンルを紹介します。

 

■グランジフォント 〜Grunge Font

グランジフォント

Grunge Font(グランジ=「汚れた」フォント)は、文字面や周囲をこすったり、スプレーで描いたかのように荒々しく表現しているのが特徴です。文字の並びもわざと崩したようにして不安定なイメージを演出します。1990年代にアメリカで流行したグランジロック・ムーブメントから発祥したとみられます。ホラー映画のオープニングロゴやロックミュージックのCDジャケットデザインによくみかけます。

 

■サイケデリックフォント 〜Psychedelic Font

サイケデリックフォント

Psychedelic Font(サイケデリックフォント)は、1960年代後半に流行したヒッピー/サイケデリックムーブメントに由来し、当時のミュージシャンやデザイン業界から幅広く影響を受けています。

 

■グラフィティフォント 〜Graffiti Font

グラフィティフォント

Graffiti Font(グラフィティフォント)は、ストリートグラフィティとして知られるスプレーで壁に描かれる装飾文字に近い書体です。ヒップホップカルチャーとつながりを持っています。踊るような文字運びが特徴で、袋文字風の表現やグラフティ風の影をつけることも多くみられます。


まとめ

書体には歴史的背景や文化に育まれた様々な表情があり、デザインコンセプトに合わせて使い分けることで、より的確に、また奥深く表現していくことができます。 これを機に、膨大なフォントの海にチャレンジし、より豊かな表現をデザインにフィードバックしてみてはいかがでしょうか。

 

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