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BMWの新ロゴ

ドイツ自動車メーカーBMWがロゴマークをリニューアル




タグライン「駆け抜ける喜び(Freude am Fahren)」が印象的なドイツの自動車メーカーBMW(ビーエムダブリュー)社が1997年から使われてきたコーポレートロゴをリニューアルしました。

同社は2020年3月3日(現地時間)に新しいEV(電気自動車)「コンセプト i4」を発表。これは2021年量産予定の「i4」のコンセプトモデルです。そのフロントにはフラットデザインの新しいエンブレムが装着されていました。

 

歴代ロゴを貫くデザインコンセプト

今回のリニューアルでBMW社のロゴは6代目(右)となります。1917年の初代ロゴから基本的なデザインコンセプトはあまり大きく変わっていません。4分割された円が白と青に塗り分けられ、その外側のリングの上部に「BMW」の文字が配置されるという基本的構成はずっと保たれてきました。

リングのアウトラインの色・太さや青の色合い、「BMW」の書体などが世代によって異なります。1997年の5代目だけが立体的で実物のエンブレムのような表現になっています。

 

100年余りの歴史の中で初めての透明リング

BMWのロゴ

・馴染み深い旧ロゴ – ifeelstock – stock.adobe.com

BMWの新ロゴ

・フラットな新ロゴ / “>bublik_polina – stock.adobe.com

1997年ロゴと今回のロゴの大きな違いは、先代が3Dデザインだったのに対して今回はフラットデザインであることです。

しかし、ロゴの変遷を初代から見ていくと5代目以外はすべてフラットデザインでした。今回のロゴが歴代のロゴと大きく違う点は、5代目までは黒だったリングが今回初めて透明になったことです。同社カスタマー&ブランド部門担当役員Jens Thiemer氏は、従来の黒いリングを透明リングに変えたことについて次のように述べています。

「新しいロゴはさらに開放的でわかりやすくなりました。新しい透明ロゴでこれまで以上に多くのカスタマーをBMWの世界に招き入れたいと考えています」

オフライン、オンラインを問わず、若い世代との接点を拡充することを目指してデザインを適正化したというのが、今回のリニューアルの大きな理由です。また、新ロゴは要素を極限まで減らしたミニマルデザインでもあります。

実際の車に装着されるエンブレムでは、青白の真円・ワードロゴ・ボーダーに厚みがあり、デジタルデバイスの画面や印刷物のフラットデザインとは少し印象が異なるものとなります。また、画面や印刷物に比べて、従来のエンブレムとの違いがひときわ大きいので、今後どのように評価されるか興味をひかれるところです。

 

「BMW M」「BMW i」のロゴもフラットデザインに変更

今回のロゴリニューアルにともない、高性能スポーツモデルの開発を行っているグループ会社のBMW M社のロゴもフラットデザインにリニューアルされました。




また、EVやハイブリッド車(HV)など持続可能な次世代モビリティの専門ブランド「BMW i」のロゴも同じくフラットなデザインに変更されています。BMW iのロゴは2011年のブランド設立時から「i」の文字部分が透過(あるいは「ヌキ」)になっていましたが、今回のリニューアルによって、BMWロゴとの親和性・統一感が従来より増したように感じます。

 

自動車業界で3Dロゴがトレンドだった今世紀初頭

2000年代初頭、自動車業界では実物のエンブレムを3次元的に再現したロゴへの変更が一種のトレンドとなりました。自動車に装着されているエンブレムと同じようなリアルなロゴを世界中の名だたる自動車メーカーが採用しました。なめらかなグラデーションによるメタリック感と光の反射の表現が特徴です。

顧客とのコミュニケーションの中心が印刷メディアであった時代には、印刷品質に左右されずに視認性を確保するために、ロゴにグラデーションを用いることはまれでした。

2000年代に入るとインターネットの普及やパソコン画面の描画能力が向上など大きな変化がありました。2001年にはアップル社からMac OS X(テン)がリリースされ、アイコンデザインの美しさに人々は驚きました。そのスタイルは現実世界の事物をリアルに再現したスキューモーフィズム(skeuomorphism)と呼ばれるものです。グラデーションによる立体的な表現がコンピューター画面でひときわ魅力的に見えました。このスキューモーフィズムデザインが、自動車メーカーを始め多くの企業ロゴの3次元化に直接間接になんらかの影響を与えた可能性が考えられます。

 

スキューモーフィズムからフラットデザインへ

2010年代に入るとマイクロソフト社のメトロデザインやGoogle社のマテリアルデザインなどミニマルなフラットデザインが大きな潮流となりました。iPhoneやiPadをリリースしたアップル社もほどなくiOSのアイコンをフラットデザインに刷新しました。

自動運転

自動車業界は100年に1度と言われる大変革期を迎えていると言われています。そのうねりは「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared/Service(シェア/サービス)」「Electric(電動)」の頭文字「CASE」と呼ばれています。その中で自動車とデジタルデバイスとの結びつきはますます強くなることが予想されます。デジタルデザインの新しい考え方やテクノロジーが今後もロゴデザインに反映されていくのは自然な流れでしょう。

すでにBMW社のブランド「Mini」は2018年にいち早くフラットデザイン化しました。フォルクスワーゲン社も2019年にミニマルでフラットなロゴにリニューアルしています。このトレンドは今後も続くでしょう。

 

ロゴマークの青と白はバイエルンのシンボルカラー

BMWは1917年にドイツ南部のバイエルン州ミュンヘンで創業しました。当初は航空機用エンジンメーカーでした。のちにオートバイ、そして自動車の生産を手がけるようになります。モータースポーツへ積極的に関わっていることでも有名です。

ロゴに使われている青と白は同社発祥の地であるバイエルン州のシンボルカラーです。旗や紋章でも青と白が使われています。市民旗や州旗として使われている旗には2種類あって、ひとつはストライプ、もうひとつはひし形を市松模様のように連ねたものです。

■バイエルン州の紋章

バイエルン州の紋章

■バイエルン州の州旗

バイエルン州の州旗

バイエルン州の州旗

ひし形タイプのデザインは公式な州旗としては「左上のひし形は白でなければならない」とされています。

一方、BMWのロゴでは左上は青です。これは、バイエルンの紋章などをロゴマークなど用いることがロゴ作成当時の商標法で禁止されていたためです。

 

BMWロゴはプロペラであるというのは都市伝説?

BMWのロゴは回転するプロペラをモチーフにしたものであると広く信じられてきました。実際、1929年の航空機用エンジンの広告では飛行機のプロペラがロゴマークに見えるイラストが描かれています。また、1942年にBMWが発行した印刷物にも回転するプロペラにエンブレムが合成されたイラストが掲載されました。BMWもロゴとプロペラとの関連性について90年以上とくに否定することがありませんでした。

しかし、同社の自動車博物館「BMW Group Classic」のFred Jakobs氏は「BMWのロゴはプロペラをデザイン化したものだと多くの人が信じていますが、事実は少し違います」と言っています。

前項で説明したように、青と白で4分割された真円はバイエルンの旗に由来するものだからです。

 

※公式WEBサイト情報もあわせてご確認ください。



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