Androidの新ロゴデザインは「ドロイド」君との組み合わせ
- 2019/9/1
- ロゴニュース
米国Google社は、2019年8月22日(現地時間)に同社のOS「Android」(アンドロイド)の新バージョンの名前を「Android 10」とすることを発表。それと同時にロゴデザインの変更も明らかにしました。今回のAndroidロゴのリニューアルは2014年以来3回目です。公式ロゴが初めてロボットのシンボルマークとワードロゴの組み合わせとなりました。今後はワードロゴの右か上にロボットの頭部のシンボルロゴが必ず添えられるということです。
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初代・2代目のロゴデザイン
新ロゴの前に初代と2代目を少し見てみましょう。
Androidのバージョン1は2008年にリリースされました。マスコットのロボットに負けず劣らず印象的な初代ワードロゴは大文字と小文字で「anDRoID」と組まれています。ステム(stem=タテの線)が省略された「D」と「R」を含む幾何学的なワードロゴは、ロボットのフォルムと調和しています。ワードロゴの色はグレーでロボットはライムグリーンでした。
Googleは2014年にAndroidのOSはバージョン5.0「Lollipop」(ロリポップ)をリリースします。「マテリアルデザイン」を投入してUIを全面的に見直すなど、Android史上最大のアップデートとも言われたエポックメイキングなものでした。その年に2代目のロゴ(真ん中)が生まれました。「Century Gothic」フォントに似たカスタムフォントを使って組まれたロゴはすべて小文字です。「n」と「r」に特徴的な処理が施されています。ロボットのグリーンは少し暗めになり、ワードロゴもそれと同じ色になりました。
3代目ロゴではロボットは頭部だけに
新しいロゴも2代目と同じく小文字だけで組まれています。フォントはおそらく「Objektiv」ファミリーと思われるものに変更されました。各文字のステムの左下はロボットの手足との繋がりを感じさせる丸みが施されています。
そしてブランドロゴとしては、ロボットの頭部が正式にワードロゴに添えられることになりました。ロボットの頭部は、輪郭の曲線、アンテナの角度、目の位置に微妙な変更が加えられています。ワードロゴは黒に変更(背景色によっては白)。ロボットのグリーンは2代目よりもわずかに青味を強められました。
インクルーシブデザインとは
今回のリニューアルに際して、Google社のブランドおよびクリエイティブ部門のリーダーSydney Thomashow氏は、
「ブランドについて検討したとき可能な限りアクセシブルでインクルーシブなものにしたかった」
と述べています。世界で20億人以上ものユーザーを持つAndroidにとって、ブランドは「インクルーシブ(inclusive)」でなければならないというのです。
「インクルーシブ」とは「包括的」「包摂的」という意味で、一部の人々を排除しない、という考え方です。それに基づいたインクルーシブデザインも広がりつつあります。今回Androidのワードロゴをグリーンから黒に変えたのも色覚異常のユーザーにとっての視認性を確保するためです。
また、アクセシビリティを考慮に入れた新たなカラーパレットも準備しました。スイーツのコードネームを廃止したのも、国や地域によってスイーツの名前の浸透度合いに偏りがあることが判明したからです。ロボットの頭がロゴに採用されたのも、ロボットには性別も国籍もなく、文化による受け入れ方の違いもないためだと考えられます。
オープンソースとしてのロボット
マスコットのロボットは「Droid」(ドロイド)などと呼ばれたりしますが、実は正式名称はありません。グーグルのAndroidチームでは「Bugdroid」(バグドロイド)と呼ばれているようです。
Bloomicon / Shutterstock.com
このロボットは2007年に当時Google社に在籍していたデザイナーIrina Blok氏が描いたものです。ロゴにロボットを入れるよう要望があったので、トイレの男性・女性のピクトグラムからインスピレーションを得て作り出したということです。
「Androidプラットフォームと同様にオープンソースにしようという考えのもとに、コミュニティを築くために、通常のブランド・ガイドラインを使わずにリリースしたのです」(Irina Blok氏)
「私たちは世界中のだれもがカスタマイズできるコラボラティブなロゴにしようと決めました」(Irina Blok氏)
ロゴの運用については、デザインや広告に関係している人であればも疑問に感じる点があるかもしれません。
ロボットのシンボルマークとワードロゴの組み合わせがAndroidロゴの基本形なのか?ワードロゴが基本でロボットとの組み合わせはバリエーションなのか?ということです。
上記のようなオープンソースロゴという考え方のもとでは、そういう厳密な運用はしていなかったのかもしれません。ある画面ではロボットだけ、あるデバイスではワードロゴだけ、あるイベントではその組み合わせ…といった使われ方をしてきたAndroidロゴですが、今後はもう少し厳格な運用にシフトしそうです。
今回「ドロイド」君は頭部のみが正式にロゴと一体化したわけですが、ボディも含めた全身のシンボルは今後どうなるのでしょうか。Googleは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのもとでこれまで同様に自由にボディ全体のロボットシンボルを使えるとしています。ただしこれは旧バージョンのロボットについてであって、リニューアルされたロボット頭部と同じ色のボディからなる新バージョンシンボルは提供されないとのこと。
ブランディングの担当はデジタルエージェンシー「Huge」
今回のAndroidのブランディングのリニューアルはニューヨークに本社を構えるHuge(ヒュージ)社が手がけました。
1999年に設立されたHugeの最初の仕事はIKEA(イケア)のサイトリニューアルでした。その後Webサイト制作からUXデザイン全般へと事業領域を広げ、現在は世界の12カ所にオフィスを構え、Google、Gucci、Lenovo、Nikeなどをクライアントとして持ちます。サイトやアプリに限らず、限定グッズ用自動販売機、飛行機の座席スクリーン、UX専門スクールの運営などユーザー体験へのかかわりは多岐にわたります。
コードネームは「Pie」が最後
AndroidにはABC順にスイーツの名前のコードネームがつけられていました。バージョン1.5の「Cupcake」から始まって、1.6で「Donut」、2.0で「Eclair」という具合です(AとBはなし)。マテリアルデザインが導入されたバージョン5.0の「Lollipop」が個人的には記憶に残っています。それぞれのスイーツに扮したドロイド君の画像をネット上で見ることができます。このコードネームは2018年にリリースされた9.0の「Pie」を最後に2019年以降は廃止となりました。
Droidフォントの存在について
Androidのワードロゴは「Droid」(ドロイド)というフォントを使っているという情報をネット上で見ることがあります。しかし、米国Ascender Corporation社が2007年に作成したDroidフォントはAndroidのシステムフォントとして開発されたもので、書体もまったく異なるものです。
また、初代ワードロゴと同じフォルムの文字を含むフリーフォントセットなどがありますが、おそらく初代ワードロゴをベースに第三者がアルファベットに展開させたものでしょう。
design : Huge
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