米コカ・コーラが代表的3製品のパッケージデザインをミニマルにリニューアル

コーラ

押しも押されぬグローバル・トップブランドの米コカ・コーラ社が、同社の代表的3製品のパッケージデザインを刷新することを、4月初旬に公表しました。「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロ・シュガー」「ダイエット・コーク」の3製品です。世界規模のデザイン変更は、2016年以来5年ぶりとなります。

 

オリジナル、ゼロ・シュガー、ダイエット・コークのパッケージデザイン

コカ・コーラの製品は、国や地域ごとにそれぞれの市場に合わせてマーケティングがおこなわれています。そのため、公表された米コカ・コーラのラインナップは、日本で発売されている製品とは構成が異なります。

コカ・コーラ(Coca-Cola)は、1886年に米国ジョージア州アトランタで生まれました。時代に合わせてレシピを微調整しながら、「オリジナル・テイスト」または「クラシック」として現在も世界中で飲まれています。

2005年には、コカ・コーラの「味」とダイエット・コークの「ノーカロリー」をコンセプトにしたコカ・コーラ ゼロが誕生します。コカ・コーラ ゼロ・シュガー(Coca-Cola Zero Sugar)は、その後継として2017年に米国ほかいくつかの国で発売開始された製品です。日本で発売されているコカ・コーラ ゼロのパッケージにも「Zero Sugar」と印刷されています。

ダイエット・コーク(Diet Coke)は、ノン・シュガー、ノーカロリー飲料として1982年に登場。国・地域によっては、コカ・コーラ ライト(Coca-Cola light)などの名前で提供されています。日本では現在は発売されていません。

赤・黒・シルバーとロゴで構成された大胆なパッケージデザイン

新しいパッケージデザインの特徴は、「ミニマル」であるということにつきるでしょう。ロゴと必要最小限のテキストだけで構成されています。コカ・コーラのブランドデザインの中で、重要なエレメントとしてパッケージやプロモーションツールで使われてきた白い波や赤い丸もありません。そして、大きな役割を果たしているのが色です。

 

認知度抜群のロゴとダイエット・コークロゴの昇格

リボンのような筆記体のワードロゴは、ほんの一時期を除いて130年以上ほぼ同じスタイルを貫いてきました。このため、コカ・コーラのロゴの認知度は圧倒的です。公表された350ml缶では、この世代を超えて親しまれているロゴをパッケージ上部に大きく配置しています。

ダイエット・コークのワードロゴは、発売以来さまざまに変容してきました。コカ・コーラと同じような書体で組まれているときもあれば、「Coke」だけ異なる書体にして、違いを際立たせたバージョンもあります。新しいパッケージでは、ヒューマニスト・サンセリフ系書体の「Coke」とコカ・コーラロゴにスタイルを揃えた「Diet」との組み合わせになりました。

ダイエット・コークのロゴも、オリジナルおよびゼロ・シュガーと同じく、缶の上部に大きくレイアウトされています。これによって、まったくテイストの異なるワードロゴでありながら、他のふたつのコカ・コーラと同じファミリーであることがわかります。

色使いもミニマル化

パッケージの色使いもミニマルに削ぎ落とされています。コカ・コーラ3製品のキーカラーは、オリジナル・テイストが赤、ゼロ・シュガーが黒、ダイエット・コークがシルバーです。

赤はコカ・コーラを象徴する色です。オリジナル・テイストのパッケージは、従来から赤地に白のロゴとテキストで構成されていました。新パッケージもそれを踏襲しています。

オリジナル・テイストの白いロゴとテキストを黒に置き換えたのがゼロ・シュガーのパッケージです。味をわずかに調整したので、赤文字の「New Taste(新しい味)」を白い丸の中に入れてあるのが唯一の追加要素です。コカ・コーラ ゼロ・シュガー、またはコカ・コーラ ゼロについては、オリジナル・テイストと区別するために黒が使われてきました。

ダイエット・コークについては、基本的にネガティブスペースはシルバーでしたので、それを踏襲しています。これまで「Diet」の文字を黒、「Coke」を赤とする組み合わせが長く続きましたが、2018年のデザイン変更で、赤帯に白文字となりました。新しいデザインでは、黒はゼロ・シュガーに譲り、帯などのデザイン要素を廃して、シルバー地に赤いロゴとテキストというミニマルな構成になりました。

このように新しいパッケージでは、色についてもミニマルな構成で、3つのカテゴリーが混ざり合う点がほとんどなくなりました。

 

最小限の要素でうまく機能する巧みなパッケージデザイン

パッケージの役割には、内容物の保護、利便性、視認性・販売促進の3つがあるとされています。この視認性および販売促進の視点から、パッケージデザインに求められる条件として、わかりやすいか、誤解を招かないか、ひと目でブランドを認識させられるかなどがあります。

条件を満たすために、それぞれに応える要素を追加する、というのが一般的な流れだと思います。単純に考えると、条件が3つあれば、3つの要素が必要になります。しかし、パッケージのスペースは限られていますので、このままではビジーになりがちです。

コカ・コーラの新パッケージデザインでは、要素を減らしながらも条件を満たす、巧みなアプローチがとられています。

コカ・コーラ製品のファミリー感が強まる

コカコーラのロゴデザインRicochet64 – stock.adobe.com

新しいパッケージデザインでは、ロゴを大きくレイアウトすることで、コカ・コーラであることを明確に認知してもらえます。また、オリジナル、ゼロ・シュガー、ダイエット・コークの3つのカテゴリーで、デザイン構成を統一することで、コカ・コーラ製品全体の訴求力が高まります。

3つのカテゴリーの基本的デザインを揃えるという路線は、従来からとられていました。しかし、2018年にダイエット・コークのフレーバーの種類を増やしたときに、ダイエット・コークだけほかと異なるアプローチのデザインになりました。また、先代のゼロ・シュガーは、黒地と赤い丸を組み合わせて、「Zero Sugar」をおおきくあしらったデザインでした。その結果、3つのカテゴリーのパッケージは、それぞれ個性的な外観になっています。今回のリニューアルで、3カテゴリーの統一感は強くなり、ファミリーとしての緊密度が高まりました。

カテゴリーの区別しやすさも確保

コカ・コーラのパッケージデザインは頻繁に刷新されています。ここ何年かの変遷を見てみると、コカ・コーラファミリーとしての統一感と、カテゴリー間の区別しやすさ、という相反する条件のあいだで揺れ動いてきたように思います。コカ・コーラ ゼロとして登場した初期は、黒地に白または赤のロゴだったものが、最近は黒の面積が小さくなっています。

新しいパッケージデザインでは、赤地に白がオリジナル・テイスト、赤地に黒がゼロ・シュガー、シルバー地に赤がダイエット・コークです。ミニマルな色数で、カテゴリーが明確に区別されています。また、黒はゼロ、シルバーはダイエット、という消費者に広く浸透している認知にも沿っています。

新パッケージの緻密なデザイン処理

先代のパッケージは、それぞれの製品を際だたせようという方向でデザインされています。そのため、コカ・コーラファミリーとしての一体感が少し犠牲になっているようです。

デザイン要素と色でミニマルデザインを実現しつつ、求められる機能を果たしている新パッケージデザイン。さらに細かい工夫がされていることがわかります。

いくつかの国ではゼロ・シュガーの新パッケージはすでに市場に導入されています。オリジナル・テイストとゼロ・シュガーのデザインは、双子のように見えます。缶全体が赤字であることから、つながりを強く感じます。一方で、ロゴとテキストの黒でゼロ・シュガーであることが、リピーターにはほとんど直感的に認識されるでしょう。

「Coca-Cola Zero Sugar」という商品名ですが、「Zero Sugar(ゼロ・シュガー)」をあえてロゴ的な処理をせず、コカ・コーラロゴからの絶妙な位置に置いています。缶の下部には特徴を「No calories(ノーカロリー)」と端的に記しています。

オリジナル・テイストもテキストの色だけ変えて、瓜二つのデザインにしています。ロゴの下には「Original Taste(オリジナル・テイスト)」、下部には「Delicious & Refreshing(おいしくてさわやか)」の文字です。

 

ゼロとオリジナルのデザインが揃えられた背景

もっとも後発のゼロ・シュガー(当初はゼロ)は、ノーカロリーでオリジナルの味を再現するというコンセプトで開発されました。ですから、オリジナル・テイストと共通のデザインは、ほぼ同じ味であることを暗示していると言えます。

さらに、疾病予防と医療費抑制のために「砂糖税」や「肥満税」を導入する国が増えています。そういった国では、オリジナル・テイストが敬遠される傾向があります。ですから、オリジナル・テイストのパッケージとデザインが瓜ふたつである背景には、ゼロ・シュガーをコカ・コーラの主役級とする意図があるように思います。

現時点では、缶のデザインだけが公表されています。ペットボトルではどのように展開されるのでしょうか。また、日本市場では、カフェインを含まない「コカ・コーラ ゼロカフェイン」やトクホ(特定保健用食品)の「コカ・コーラ プラス」などが販売されていますが、これについてはデザインの変更があるのか、注目したいところです。

シズル感のあるビジュアル、ストーリーを感じさせるデザインコンセプト、「映える」こと意識した色使い、といった一般的な食品パッケージに期待される要素は、コカ・コーラの新パッケージには一切ありません。このような大胆でミニマルなパッケージが成立するのは、世界のトップブランドだからこそではないでしょうか。

 

過去のキャンペーンで白いコーク缶が混乱を生んだことも

ポーラーベアQuality Stock Arts – stock.adobe.com

コカ・コーラの自動販売機で、シロクマのイラストが描かれているものを見たことがあると思います。日本コカ・コーラ株式会社の公式サイトによると、このキャラクターの名前は「ポーラーベア」というそうです。ホッキョクグマの英語「polar bear」をそのままキャラクター名にしています。いまからほぼ100年前、1922年にフランスのコカ・コーラの広告でシロクマが初めて使われました。その後はクリスマス広告のマスコットとして起用されています。1993年からは世界各地で広告キャンペーンに登場するようになりました。

コカ・コーラは2011年に、パンダのロゴで有名な世界自然保護基金(WWF)と共同で、ホッキョクグマ保護キャンペーンを展開しました。このキャンペーンでは、親子のシロクマをレイアウトした白い缶のコカ・コーラを期間限定で米国内で発売しました。しかし、ダイエット・コークが雪の結晶をあしらったシルバーの缶で販売されていたために、シロクマのコカ・コーラをダイエット・コークだと勘違いしてしまうケースが続出し消費者のあいだで混乱を起こしてしまいました。

このエピソードは、ブランドが深く広く浸透している場合、パッケージのリニューアルは慎重に検討すべきであるということでしょう。また、パッケージデザインでもユーザー体験(UX)の視点が必要だということかもしれません。世界のトップブランドに数えられるコカ・コーラであっても、判断を誤ることもあるのですから。


【参考資料】
Coca-Cola unveils “refreshed” packaging design system | Design Week (https://www.designweek.co.uk/issues/12-18-april-2021/coca-cola-design-system/)
Coca-Cola unveils new packaging design | Packaging Scotland (https://packagingscotland.com/2021/04/coca-cola-unveils-new-packaging-design/)
Coca-Cola Gets A Minimal, Slick Redesign | Dieline – Design, Branding & Packaging Inspiration (https://thedieline.com/blog/2021/4/14/coca-cola-gets-a-minimal-slick-redesign?)
Coca-Cola unveils a bold and minimal new redesign | Creative Bloq (https://www.creativebloq.com/news/coca-cola-new-packaging-2021)

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