ロンドン在住のデザイナー&イラストレーター “ケイト・モロス” – デザイナーインタビュー

ロンドンを拠点に、イラスト制作からデザインまで幅広く活躍をしているケイト・モロス氏のインタビュー動画(Made by Folk)を翻訳しています。

私はケイト・モロス。ロンドン在住の何でも屋。今日はこの「OFFF」の会場にいる。

インスピレーションの本質って、何かに衝突するような感覚のするものじゃなくて、力が湧くような、熱狂するような、エネルギーがもらえる、ワクワクする感覚だと思うの。「インスピレーション」っていう考えそのものが、自分で見つけ出したり、探したりしなきゃならないものって感じだから。そのせいで自分が求めるものを探し出すのが難しくなってるように思うの。

 

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だから私は下流階級の目線みたいな感じの方が好きで、身の回りにあるものみたいな感じにしたい。わざわざギャラリーにお金を払って観に行ったり、オンラインで探すんじゃなくて、実際に自分に関連しているものとしてそこにあるものだと思うの。

例えば、人生の中で実際に目にしたものから影響を受けて参考にする人もいると思うの。私も実際そうよ。子供頃に見たものからこういう風になりたいな、とか、こういうものを作りたいなって。実際にそこにあったものを見てきたのよ。

私が創作意欲を感じるのは自分が幸せだなって感じるとき。私にとって幸せはギャラリーに行くことではないの。幸せはピザね。あと、ソフトドリンクとか、バッグとか、アクションムービーとかね。そういったものの何かが参考になったというわけではなくて、ものづくりをするための幸せ感を与えてくれるものね。

とてつもなく熱意のあるものでなくてもデザインをすることはできるの。受けないようにはしてるんだけどね。だって最高のデザインをするためには、そのブランドとの関係性がしっかり持てていることが重要だから。

でも音楽に関連するものになると、ほとんどの場合は自分たちが好きな音楽に関する仕事を受けているけど、時にはお気に入りとまではいかないものもあるの。そういう時でも、マーケットへの関連性やアーティスト自身、そのアーティストの過去の作品やリリース後の展開なんかを尊重する。とにかく依頼を受けた楽曲をスタジオで何度も聞き続けるわ。絶対に必要なことだから。

特にミュージックビデオのブロジェクトだったりすると、ずっとその楽曲を聞くの。でも、自分がデザインする作品を全て好きになる必要はないと思ってるかな。そのプロジェクトそのものは絶対に好きにならなきゃダメだけど、オリジナルのアイデアを好きになる必要はないと思う。

 

− ミュージックビデオ作品に関して言うと、最近特に積極的に取り組んでるようにみえますが、従来のイラストレーション作品に求められるスキルセットとは全く異なるものだと思うんですが…

そうかしら?

 

− どうですか?そこが質問でもあるんですが。

どうかな。まぁ、私たちは脱工業化の教育システムに依存しているところがあって、ひとつのやり方を学んだらそのやり方しか知らない。つまり、ある方法のイラストの描き方でトレーニングを受けたら、アイデアそのものはいろいろと形を変えることができるけど描き方そのものは学んだ方法以外のことはできない…という考え方よね。

でも、それって全く真実ではないわ。もちろん技術的な観点で言うと、別のことを学ぶ必要がある。だって静止画を動画に変換するんだからね。私にとって映像っていうのはポテンシャルのあるものであり、ある意味恐ろしいものなの。だってコントロールしなきゃならない要素が本当にたくさんあるでしょ?音楽・グレード・照明・演技・フレーミングとか…。正しく適切なものにしなきゃならない要素がとても多いからこそ、最初は恐ろしさを感じるの。

でも、その後いろいろと実験しつつ作業を始めると、そういった恐怖は少しずつ無くなっていく。結局何にも気にすることはないのよ。すごく楽しいんだもの。ミュージックビデオを作るために映像学校なんかに行く必要はないの。カメラの使い方なんて知らなくていいの。

 

− 何でも屋的な性格みたいなものが、あらゆる異なる分野への興味に影響していると思いますか?

ずっと感じているのは、私はひとつのことに特に秀でているような人間ではないってこと。

全体的にいろいろな分野を少しずつかじるような感じの人間で、学校でもそんな感じだったの。もちろん芸術とデザインは得意分野だったけどね。それが今の私の専門で、芸術・デザイン全体としてということ。実際はその中にサブカテゴリーがたくさんあるでしょ。ただ興味があるだけよ。刺激されるの。

人によっては、それって完全に恐ろしいことでしかないのかもしれないけど、私にとってはそれはたまたま楽しめるもので、好きなものだってことね。

 

 

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− あなたの作品は、どこかしら混沌とした感じのものが多いように感じるけど、実際は秩序のあるものも多くあるように感じますね。過去の展覧会でも、クレイジーで明るいトーンの作品が多くみられますよね…

それはね、だって、シンプルなものを作ろうとすれば見映えは良くなるのよ。混沌を作り出すのは簡単なの。フレーム付きのものより、ずっと安くつくしね。臭いもきついし、テープだらけでしょ。単純に人格の一部だと思うわ。私の人格はそういうもので、何もかもが、ちょっとごちゃごちゃしてる感じ。何もかもがちょっと過剰で、そういうものが私の作品に流れ出てるの。

 

 

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− 皆さんそういうところに惹かれているんだと思いますよ。

どんなデザイナーにもその人の時代みたいなものがあるでしょ。こういう会議のいいところは、自分のデザインとは全く異なるものを見ることができるってことよね。私はここで本当に尊敬する人にたくさん出会ったの。

例えその人の作品がスタイルとして好みのものではなくても、アプローチの仕方とかスキルとか才能とか、なんでもいいんだけど、そういう出会いがあるから。OFFFみたいな会議に来るのはワクワクする。同じことを全く異なる方法でしている人を見つけられるかもしれないから。

 

− 国を特定させるようなわかりやすいスタイルをもつことは、うまく機能していると思いますか?

100%そう思うわ。私のデザインはロンドン以外に住んでいる人にはわからないっていうようなものもある。実際それに対してとても満足しているの。今でもイラストの仕事をしているけど、前よりかなり選んで仕事をしているの。

 

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− 前よりも多様性が出てきている感じがしますね。

そうね。ただ次のチャレンジに進んでいるの。毎日あちこち転々としたいという人間ではないけど、変化は必要よ。同じことだけをし続けていると、凝り固まっちゃうと思うの。だから私の場合は映像をやってみたり、アニメーションをやってみたり、製作関係のことをするスタジオを立ち上げてみたり、そういういろいろなことをするのが好きなの。

 

− 創作において「自分のスタイル」を意識していますか?

してないわ。

 

− その時にぴったりくるものを選んでいるという感じでしょうか?

一番大切なことは、スタイルが見えないようにすることだと思うの。作品を観るときに、全てがまとまってしっくりきている状態であるべき。作品に直接的に関連をもてるようなものはダメだと思う。わかるでしょ。

それと、極力スタイルとかスタイルに関する選択を避けて、ただ「創作する」ようにしてるかな。創作は、今していることに対する反応みたいなものだから。

いつも何かテーマがあるの。色とかイラストとか楽しいと思えるものをがテーマになるから。表現する作品ね。表現がいつもそこにある。でも、絶対に同じことは2回やらないの。自分のスタジオを持っていると、外部から新しい人が入ってくることもあって、その人の表現方法・表現のスタイルがあれば、自分のスタイルを適用させてみるの。そこからひとつの作品に融合させていく。それって、とてもワクワクすることよ。

 

− 本の製作についても話してもらえますか?本を書くというのはどんな感じでしたか?何ページでしたっけ…

26000語よ。すごい量の語数よね。すごく長い期間をかけて書いたの。かなり前に書き始めて…

 

− いずれ書籍化されることを見越して書き始めたんですか?

そうね。出版社とかは決まっていなかったけど、いろいろと書いていたの。で、幸運なことに書き上げることができて、いろいろな偶然が重なって、出版社を見つけて、出版社が私を見つけて、つまりお互いを見つけたの。そこから、今までで出版部数の半分を売り切ったかな。だいたい3ヶ月くらいでね。ということは、何千人もの人が私の本を持ってるってことでしょ。それって変な感じ。

 

− 本を出版したことで、この先「指導」する責任があるように感じますか?

いいえ。ある意味、自分の責任だったと感じているわ。それっていいことだと思うの。本当にたくさんの人にアドバイスを求められて、圧倒されてしまうくらいなの。みんなに応えることができないことで、いろんな人をがっかりさせているような気がするだけみたいな。どんなバカな質問に対してでもね。そういうことが問題になっていたから、本に全てを書き出したって感じ。これがみんなにとって必要なことって感じね。お金稼ぎのためにしていることじゃないの。別に、私は「もう行くから本を買って。取り分をいただくから。」ってなことを言っているわけじゃないの。だって、本の世界ってそういうものではないでしょ。

ただ、この本を書くことでとてつもない時間をかけてみんなに必要なことを全て書いたから、いつでも手にとって読めるわよ…って言う機会を得たってだけのこと。そしたら、読んだ人から「途中で読み止めることができなかった」とか言ってもらえるの。私からしたら、どうしてこれがそんなにおもしろいの?って感じ。例えば、クラブに入る行列に並んでた時の話とかを書いてるだけなんだけど、それがおもしろいみたい。わかんないんだけど。

 

− 怖いと感じますか?

怖いわ。すごく変な感じ。今までで一番変な感覚になる経験ね。トークイベントとかなら理解できるの。ステージ上でふざけてみたり、踊ってみたり、イギリス人がよくするように自分を非難するようなことを話したりしてるから。でも、本ではもっと気持ちに関するようなもので、ムードや感情を誰にも誤解されることなく伝えるのは難しいと思うの。うまくいったんだと思うわ。出版社も喜んでいるし、私も幸せ。

 

− この先、また本を出す予定は?

音楽についての本を出したいと思っているわ。音楽業界の仕事をするのが大好きなの。ただ、絶対的にもっと経験が必要ね。この前の本を出版するのに7年かかったから、音楽ビジネスであと7年は必要かな。そしたら、デジタル時代における音楽のためのデザインについての本を書くわ。これがタイトルね。

 

− デザイン業界で働き始めたばかりの人に対して、デザインやイラストレーションに関するアドバイスとか、今まで学んだこととかありますか?

トークイベントの最後にも同じことを言ったんだけど「怠けないこと」ね。若い才能ある人の大罪といえるのは、「忙しい」と言うのがどういう意味でどういう感じなのか実際理解していないこと。

もし19歳の頃の自分に対して話しかけるとしたら「忙しいって思ってるみたいだけど、今の私のカレンダー通りに生活してごらん」って。それがみんなが当然だと思っていることだと思うの。大学があるから…これしなきゃいけないから…とか言っているけど、それって何でもないことなの。実際の職場での現実と比較したらね。だからこそ別の世界に出たら、現実というものにやられてしまう前に現実に慣れること。

もうひとつは「恐れないこと」。失敗して、間違って、いろんなことをするの。自分が作りたいものを作る。周りとか、大学とか、学位がこうすべきだとか言ってくるのを気にしないこと。やりたいことをやってみること。文字通り、何もあなたを止めることはできないんだから。

 

− 話に出てきたプロジェクトの多くは、少し即興的に突拍子もない感じがするのですが…

全部即興的よ。一部じゃなくて、かなりの割合ね。

 

− メアリー・J.ブライジの撮影でも?

即興よ。

 

− 何か伝えたい皮肉みたいなものがあったんですか?

そうね。生きているとギリギリのラインに置かれるようなことってあるじゃない?ただそうせざるを得ないというか。信心深い人間ではないんだけど、自分には成し遂げられるって盲信しなきゃならないことがあるの。

でね、素晴らしいと思うのは、たとえうまくいかないとしても「最悪なケース」ってどの程度か?ってことよ。もしかしたらお金を失うかもしれないし、誰かをがっかりさせるかもしれない。でも、誰も死んだりはしないの。

 

− 将来、挑戦してみようと計画していることや興味のあるものとか、技術や人など、ありますか?

あるわ。長編アクション映画を作りたいの。私の夢ね。大きな目標なの。聞いてくれて感謝するわ。

 

− アニメ映画みたいな感じでしょうか…

全く違うものよ。アクション映画が大好きで、特に1980年代後半のアクション映画はかなり小さい時から大好きなの。

アクション映画で使われているベストシーンを集めて、ロープでグルっとまとめて「ダイハード10」みたいなのを作りたいの。ブルース・ウィルスが若い時の状態でホログラムで復活して、それで次の「ダイハード」を作るの。10年後先とかにね。あなたの作品らしくないわって言われるかもしれないんだけど、気にしないわ。それはいいわね。1800万回も再生されているの。だったら、これとは違うものもっと作るべきかもねって。

 

− 素晴らしいです。そろそろ終わりにしましょう。ありがとうございます。

ありがとう。

 

参照リンク : An interview with Kate Moross – Made by Folk (CC BY 3.0)
当記事はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(Creative Commons license / CC license)に基づいて編集しています。

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